集合日恐怖症に陥るヅカファンはとても多い。なぜなら、退団者の発表があるからだ。
19日(火)午前のわたしは月組ギャツビーのチラシの麗しさにこれでもかとテンションを上げている無敵状態の人間だった。ので、何が起きても今日はずっとハッピー。そう信じて疑わなかった。
しかし、午後三時。
宝塚公式HPには無慈悲にも花組退団者のお知らせが掲載された。
誰が退団してもショックなのだが、恐る恐るクリックをすればそこには大好きな四人の名前があった。
飛龍つかさ、若草萌香、音くり寿、芹尚英。
四人の名前を確認して絶望した。
そこには、わたしの特に大大大大大好きなジェンヌさんの名前があったからだ。
音くり寿ちゃん。
音くり寿ちゃんが。
音くりちゃんが退団なんて。
花組の歌姫を失う事実に打ちひしがれ、力も入らないほどにはショックだった。今、花組の若手娘役たちの中に埋もれている歌姫がいることは理解している。まだ芽を出し切れていない歌姫たちがいることを知っている。分かってはいるが、ショックだった。
だって、音くりちゃんの唯一無二の歌声。あの歌声が聴きたくて、どれほど花組に通ったことだろう。花組に通う理由のひとつは間違いなく音くりちゃんの美声だった。
それが、次の公演で最後だなんて。(せめてもの救いは二本立てでショー『Fashionable Empire』があること)
いろんな人に、特に若手が注目されるようにエトワールを振り分けて欲しい派の人間なのですが、今回ばかりは、音くりちゃんに……。音くりちゃんのエトワールを最後聴けないと成仏できないので、どうか……。
そうか。そうなのか。退団なのか。
どれだけ嘆いてもこの決定が覆ったことは今まで一度もないので(当たり前)、音くりちゃんが今まで務めた素敵な役を呟きたいな……。
やっぱり『金色の砂漠』は外せないですよね。おてんばなきつい性格の三女。それを見事にやり遂げ、なおかつ素晴らしかったのは影コーラス。
「こ〜の〜砂漠の〜」と音くりちゃんが歌うだけで、ロマンと哀愁が漂ったあの日のことを忘れることはありません。
狂気系な役と言えは花より男子の桜子さんとマスカレードホテルの長倉麻貴。復讐に燃える姿の、身体の隅々までが黒く焦げ付いているように嘆き歌う姿は「圧巻」以外の言葉が見当たらないほどの凄まじさでした。
蘭陵王で洛妃というメイン役を演じてくれたのも嬉しかったなあ。CASANOVAとはいからさんのエトワールなんて、エトワール部分だけ何回も何回も再生しちゃうほど美しい歌声だったなあ。
そうか。あの歌声がもう、宝塚の世界で聴けなくなってしまうんだなあ。
どんな役でもこなしてしまう音くりちゃんには、いつか専科として全組で活躍することをわたし自身勝手に望んでいたので、「そっか……」と俯いてしまう。本当に、宝塚の、そして花組の、宝物のような娘役さんだったなあ。
音くりちゃんはダンスもピカイチで、ファシネイションでは新鮮に、「歌よりダンスメインの音くりちゃん」が観れたのですが、あの手足の捌き方。
歌もダンスもお芝居も何でもできて、花組上級生が抜けた分も、同期のトップ娘役二人のことも、順番にしっかりと支え続けた音くりちゃん。花組上級生娘役が一気にいなくなった時、どうなるんだろうと心配にもなったけれど、私たちの不安を払拭するように舞台で輝く音くり寿様の存在はとても力強くて格好良くて可憐でした。
あなたのいる花組が、わたしはとても大好きでした。あなたの歌声が聞きたくて、花組公演にたくさん足を運びました。もちろんこれからの花組も大好きですが、あなたの歌声が起こす奇跡のような瞬間を、忘れないようにしていきたいです。
願わくば、外部でご活躍される道を選ばれていますように……。宝塚という世界ではなくても、音くりちゃんの歌声を聴ける機会があれば幸いです。
退団はとても寂しいですが、もしかしたら音くりちゃんが「レ・ミゼラブル」に出てくれるかもしれなという希望を抱いて生きようと思います。
宝塚最後の公演で、良いお役、良い場面がたくさん回ってきますように。『巡礼の年〜リスト・フェレンツ、魂の彷徨〜』のチケット、しっかり入手します。
今は、「音くりちゃんのラスト公演を応援するぞ！」の気持ちと、「劇団よ、今までの音くり寿さんの功績を讃えてミュージックサロンのひとつやふたつ開催してくれないか！」の気持ちでいっぱいです。
音くり寿さんが最後まで宝塚で輝ききれますように……！（コロナ頼むから邪魔しないでくれ）中止などにならないよう、神社でも行って祈ります。
退団される四人ともに、素晴らしい大千秋楽が待っていますように。
