ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

『グレート・ギャツビー』キャスト別感想③

 月組公演『グレート・ギャツビー』キャスト別感想③です。
 こんなにも長すぎる感想にお付き合いくださっている稀有な方がいらっしゃるならば本当に有難いことです。ありがとうございます。


 ③では、誰を取り上げようか悩みに悩んだのですが、今回は輝月ゆうまさん、彩海せらさん&きよら羽龍さん、白河りりさん、蓮つかささん&結愛かれんさんについて記したいと思います。






 昔ギャツビー(月城かなとさん)を拾った暗黒街の男、ウルフシェイムを演じているのは輝月ゆうまさんです。


 これほど専科行きに納得の生徒さんがいるだろうか、と思うほどには昔から芸達者で、 専科生として現在大活躍の輝月さん久しぶりの大劇場は、ふるさとである月組だったわけなのですが。


 やっぱり、 月組でのお芝居に馴染むこの安定感、この安心感、このお髭の似合い具合〜! と、懐かしさに楽しくなりました。



 友情は生きている間だけ。 暗黒街ではあるものの、 それをモットーに生きてきているウルフシェイムは、裏街道を生きる人間にとって、上手な生き方のお手本のような男でした。

 余裕のあるマフィアのボスがこんなにも似合う方いる? って驚いてしまうほどの似合い具合だったのですよ。



 ウルフシェイムを中心とした、 『俺たちの見る夢』というAKIHITO先生振付のナンバーがあるのですが(煙草を持って踊るシーン)、ここの男役たちが全員、それはまあ格好良くて格好良くて、おかわりしたくなる格好良さです。

 格好良すぎる男役たちを率いるウルフシェイムは、白髪混じりの髪だし、髭もあるし、葉巻の似合う男だし、だけどバリバリセクシーに踊られるので、イケオジ好きな人はみんなウルフシェイムにどハマりすると思います。(ウルフシェイムにどハマりした女より)


 派手な役でも大きく目立つ役でもないのですが、存在感から台詞回しから佇まいから、すべてにおいて、やはり「上手いな〜」と思わせる男役だと改めて惚れ惚れしました。これからも全組でご活躍されますように……!






 デイジー(海乃美月さん)の妹であるジュディをきよら羽龍さんが、ジュディのイトコであり、ジュディに恋心を抱くエディを彩海せらさんが演じています。


 なぜセットで記すのかと言えば、この幼くて、恋になるかならないのか微妙な関係性のふたりがまあ可愛くて可愛くて、お似合いのお2人すぎたので、一緒に記したかったわけなのです。



 ジュディを大好きなエディの所作ひとつひとつがかわいくて、彩海エディは恋する少年がびったりな役どころだと思いました。丸メガネでも可愛らしい彩海エディの顔面はすごい。


 そんなエディに悪気なくはっきりした態度のジュディは、母からの教えをまだ信じて疑わない幼さとおませなところが見て取れますし、相変わらずきよらさんの声がかわいくて美しくて、天使のような歌声でした。
 お怪我が治って、愛らしい姿を舞台上で拝見でき、本当に嬉しかったです。



 ジュディはまだ幼すぎるので、「ブローチ……もらえないわね……」という、究極の空気の読めない発言をしてしまい、 デイジーの苛立ちに触れてしまうのですが、そのとぼけた台詞がまあ上手で、「きよらさんウマッッッッ!」の感情になります。

 そして、ジュディのそのセリフに、(ジュディさすがに今それは言っちゃダメ……)みたいな表情しているエディの細かい表情が最高なので、この二人は本当に最高のペアだな……と惚れ惚れしました。



 彩海さんは可愛らしいエディとは打って変わって暗黒街の男たちと踊ったり、2幕初めの華やかなシーンに出演したりと引っ張りだこなのですが、どの場面でもそれぞれ違う顔を見せてくださり、(百の顔を持つ男役……)と驚きました。

 月組大劇場デビューだとは思えないほどの馴染み具合で、出る場面出る場面大活躍の月組大劇場デビューだったと思います。



 新人公演にてギャツビーとデイジーを演じることに驚きが隠せないほど、 かわいらしいエディとジュディでした。新人公演は、役柄のギャップも含めて二人の役者魂を楽しみたいなと思います。







 マートル (天紫珠李さん)の妹であるキャサリンを演じたのは、白河りりさんです。

 まずフラッパーな白河さんが可愛いことを先述しておきたいのですが、 本当に可愛いんですよね。 まだ姉のマートルほどには擦れていなくて、 隙あらば良さげな男にアピールしちゃう素振りはチャーミングでした。


 しかしながら、姉と同じほどには衝動的になれない、まさに「姉という存在を見て育った妹役」が上手すぎます。


 キャサリンの最後の台詞は、 マートルの悲しき事件の後にあるのですが、 (この妹は、姉のことが大好きで大好きでたまらなくて、 そして、 姉を馬鹿にされたくなかったんだろうなあ)という切なる感情がひしひしと伝わってきます。


 最後のキャサリンの嘘っぱちのセリフにて、観客には (マートルのことを美化しすぎだよ) と思わせるキャサリンですが、それだけ(たったひとりの家族である姉を正当化したい) 気持ちが見えてくるようで、 その哀れさがとても心に沁みました。

 妹の中では、姉はいつだって「愛されるべき悲劇のヒロイン」だったんだろうな……。


 新人公演では、そんな姉マートルを演じられるのですが、白河さんの迫力ある歌声が聴けそうで、今からとっっっても楽しみです。







 さてここで、暗黒街の男、 スレイグルを演じた蓮つかささんと、ショーガールのヴィッキーを演じた結愛されんについて。



 本作の2幕第2場にて、トム(鳳月杏さん)という男がどういう男かを表現するために、スレイグルとヴィッキー、二人のお芝居のシーンがあります。

 そして、このふたりが、まあ〜良いんですよね。文句なしに良いんです。


 ヴィッキーは、夜な夜なギャツビー邸のパーティーに出かけては、一発逆転を狙えるような男、それもギャツビー邸に初めて訪れる男を狙ってはめげずに声を掛けます。

 そんなヴィッキーを疎ましく思っている女性たちの視線にも負けず、ヴィッキーはそこでトムを射止めます。


 それなのに、昔から関わり合いのある男スレイグルにトムとのひとときを邪魔されるわけなのですが、蓮さんと結愛さんが上手すぎて、このふたりの過去が見える見える。



  多分、ヴィッキーはスレイグルがいなくなったら空っぽになるタイプの、結局はヤバい男にしかハマれないタイプの女の子なんだろうな……。

 そして、スレイグルもスレイグルでそれを分かっていて、普段はヴィッキーの好きにさせているくせにいざとなったら束縛を発動するのだろうな……などと少しのシーンでかなりふたりの密度を感じたので、是非ともヴィッキーとスレイグルの番外編を観劇したいなと思いました。



 とにもかくにも、「お前は俺から一生離れられないんだ」のスレイグル蓮つかささんボイスを、良い値で買うので売って欲しいです。
 あと結愛かれんさんがあちこちで活躍していてとても嬉しかったです。(小池先生ありがとうございます!)


 急に差し込まれるシーンではありますが、役者が上手いと物語を壊さないんだな〜と感じさせる、ふたりの月組芝居に痺れっぱなしでした。





 思い出せば思い出すほど、恍惚とした感想と余韻の生まれる本公演は、現在中止期間中ではありますが、8月4日より、月組公演『グレート・ギャツビー』の幕が開くことを、心の底より願っています。



 また、本日記したメンバーのうち3人(彩海さん、白河さん、きよらさん)は、先述のとおり新人公演に出演します。

 この3人に加え、月組下級生全員、とてつもない役作りを丹精込めて練り上げているはずなので、どうか、その成果を表現できる新人公演という成長の幕が、無事に開くことを願います。



 過去最多の感染者が全国で記録されていますが、どうか、全組の生徒さんが元気に舞台に立てる日が早期にやって来ますように。


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