ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

星組『ベアタ・ベアトリクス』を観劇して

 本日、『ベアタ・ベアトリクス』を観劇いたしました。


 まず、本作がバウデビューの熊倉 飛鳥先生について。 最初に名前を見たとき、勝手に女性の先生だと思い込んでいた申し訳なさを個人的に感じているのですが、 「期待以上に素晴らしい作品だった」 と、観劇後は良き余韻でいっぱいでした。


 指田先生や栗田先生など、 女性の若手演出家バウ作品が大好評を博していく中、たくさんのプレッシャーがあったと思うのですが、彼女たちとはまた違う、 「宝塚のオリジナルに相応しい作品」 を作ってくださったと思います。


 まず、ポスターからは想像できないほど、 「物語自体が面白かった」 です。 舞台の使い方、話の盛り込み方、説明の分かりやすさ、メリハリ加減など、バウデビューとは思えない 「完成度の高さ」 が窺えました。


 特に、絵画が出来るまでをダンスで表現する場面が大好きなのですが、 「バウホールでは狭いのではないか」と感じさせるほど、 空間全体を使った演出が上手い印象を受けました。

 この先生はどんなふうに大劇場を彩るのだろう。盆をどんなふうに使うのだろう。と、既に熊倉先生のつくる未来の作品がとても楽しみになりました。 個人的に、衣装やセットのセンスも大好きでした。


 あと、この作品に見え隠れする先生の「美しい思考」とでも言うのでしょうか。 それが宝塚という世界にぴったりハマるような感覚があって、 ジェンヌさんたちに言わせたくないような変な台詞などもなく、「宝塚の演出家はこうあってほしい」 とも思わせてくださいました。


 絵画について知っていた方がより楽しめる、 知識があればあるほどより楽しめるのはもちろんなのですが、物語が丁寧に展開されていき、たくさんの星組生に見せ場があり、「バウホール公演」 として、 本当に大満足の作品でした。



 さて、バウホール初主演の極美慎さんについてなのですが、 極美さんは、「きらきらな星組の王子様」と言っても過言ではない、ビジュアルに特化した、本当に美しい方だという印象があります。

 そんなきらきらな極美さんにバウホール公演の主演として今回当てられたのが「人間味のある苦悩する役柄」 なのが、 個人的に凄く良かったなと思いました。


 極美さんに当てられやすい役から離れた役だからこそ、得られるものがとても大きかったように感じます。バウホール公演は挑戦の場であり、チャレンジの場であり、成長の場です。

 今日が1回目の観劇だったので、比較はできないのですが、今までの作品で観劇してきた極美さんと比べて、 本公演の極美さんは「良い意味でいつもと違う歌やお芝居」 だと感じさせるところがいくつもありました。


 そんなふうに歌えるんだ、そんなふうにお芝居をするんだ、 と 「知らない面」 を知っていく感覚が楽しかったです。

 今回、 「ひとめぼれ」 をダイレクトに伝えるシーンがあるのですが、そのセリフ回しがとっても素敵だなあとにんまりしてしまいました。(スカステの初日映像にてこのシーンがあったので、興味のある方は是非チェックして頂けたら幸いです)



 若手主演のバウホール公演はまさに 「成長の場」であり、 今回星組下級生が 「しっかりとしたお芝居の作品」を経験できたこと、 本当に素晴らしい財産になると思います。


 また、そんな成長の場で、ヒロインの小桜ほのかさんの実力が素晴らしく、小桜さんをはじめとする 「星組の上級生が舞台を引っ張っていくバランス」 もとても良かったと思います。
 上級生が安定しているからこそ、下級生が思い切ってお芝居に没頭できることが伝わって来るようでした。


 ヒロインの小桜さんの歌や芝居からは「品性」が漂ってくるようで、本当に素敵な娘役さんだと改めて感じました。

 また、個人的に碧海さりおさんはダンスのお上手な方、歌も歌える方という印象だったのですが、「お芝居めちゃくちゃ良い……お芝居めちゃくちゃ良いよ」 と、急激に心惹かれています。 あたたかいお芝居、すごく心に沁みました。


 こういう、「下級生に対するたくさんの発見」が、観劇された方の数だけあるんだろうな、と思うと、本当に嬉しくてたまりません。


 上級生は勿論のこと、下級生はこれからの宝塚を支える大切な存在です。 彼女たちの幅を広げるためにも、観客に 「見つけてもらうため」 にも、若手バウホール公演は、どの組も年に1回は上演されるといいな、と改めて感じました。


 9月19日(月・祝) 14:30〜ライブ配信がありますので、 ぜひ星組下級生のつくりあげる『ベアタ・ベアトリクス』の世界に浸っていただけたら幸いです。



 星組の皆様、 熊倉先生、下級生を中心とした星組の素敵な舞台を本当にありがとうございました。どうか、本公演が千秋楽まで無事に完走出来ますことを、心の底より願っています。


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