予習のために読んでいたわけでもなく、元々『蒼穹の昴』という小説が大好きで、宝塚での舞台化が決定したとき、大はしゃぎしてしまった人間なのですが、そんな人間が今日、雪組『蒼穹の昴』宝塚大劇場初日を観劇させていただきました。
まずは、雪組の皆様、専科の皆様、大劇場初日おめでとうございます！
原作ファンとしての感想なのですが、（これが宝塚での舞台化……！）と、初めて宝塚に行ったかのような感動を覚えました……。
まず緞帳が凝っていて感動し、舞台セットや衣装、中国の街並みがそこにあり、宝塚の舞台化素晴らしい……の感情でいっぱいになりました。どこを切り取っても絵になる素晴らしさで胸がいっぱいです。
公演が決まった当初、長い物語かつ主人公変更かつ原作であまり出番のない李玲玲をトップ娘役の役にするということで、不安要素はたくさんありました。
不安点全部をクリアしているかと言われたら、やはりそれは難しかったですが、宝塚の一本物作品としてはかなり良い舞台に仕上がっていると感じました。
物語としては、文秀と春児を中心に原作通りに展開されていきました。内容もとても分かりやすくされていて、役名を覚えているor雪組生に詳しかったら、原作を読んでなくてもしっかり楽しめると思いました。
というより、原作を読んでいる人間の方がもどかしさを感じるような気がしました。
なぜなら個人的に、とにかく登場人物たちの感情描写がカットされている印象で、「何がコンプレックスでこの人は何を気にしていているのか」など、「原作を知っていた方が遥かに面白いのではないか」と感じさせられ、「蒼穹の昴の面白さをしってほしい」という観点からは、すこしだけ物足りなかったからです。
だけれど、脚本として筋は通っていて、上手にまとめられていて、壮大な物語を華やかに宝塚らしく作り上げていて、個人的には大満足な仕上がりでした。特に大階段を使った紫禁城の場面が最高でした。どの曲もとっても良かったです。
取り敢えず今回はメイン３人について記させていただくのですが、彩風さんが本当に梁文秀で、わたしはもう感動してしまいましたよ……。
そして、スタイル抜群の方はどんな衣装でもとびっきり素敵に見えるのだと改めて再確認いたしました。彩風さんのバランス感覚の良い梁文秀が大好きでしたし、１幕ラストの大熱唱に心打たれました。
そしたら２幕の辛いことが色々あった後の歌も本当に心打たれて、（ああ、彩風さんが好き……彩風さんが好きで泣く……）の感情になって泣きました。
兄的存在の要領のいい明るい彩風さん文秀、本当に素敵で、チャイナを着こなす彩風さんに惚れ惚れしました。
原作ではほぼ出番がなく、ちゃんとしたヒロインなのか気になっていた朝月 希和さんの李玲玲なのですが、やはり全体的に出番が少なく感じました。役柄的に仕方ないのですがお衣装もヒロインぽくはないのですが、ぼろぼろの衣装でも歌い上げる銀橋ソロが素敵で素敵で堪りませんでした。
可愛くて綺麗で、朝月さんに向けられる拍手がとっても大きくて、わたしも泣きながら拍手いたしました。出番は少なくても、とっても素敵で、本当に、本当に素敵な娘役さんだと改めて感じました。
原作では主人公の朝美 絢さん演じる李春児なのですが、スチールからニッコニコな春児が可愛くて可愛くて。最初こそ質素で汚れたお衣装なのですが、そこからの京劇役者としての変化の華やかさが素晴らしくて、この誰もが応援したくなる役柄がとってもハマっていると思いました。めちゃくちゃ愛らしかったです。
京劇チームのお稽古、とても大変だったと思うのですが、その分とっても見応えのあるシーンに仕上がっていて感動しました。今回のお芝居に朝美さんとの相性が良すぎて本当に胸震えました。素晴らしかったです。
また、雪組生はもちろん、専科さんの圧が素晴らしくて、「これが宝塚の蒼穹の昴〜！」と山に向かって叫び出したくなりました。やっぱりこれだけ専科さんが集まると、元々良かった雪組生のお芝居の質も更にまた向上しているように感じられました。
その反面、役が多くて展開がいっぱいなので覚悟はしていたのですが、雪組ファンとしての観点から言わせていただくと、「もう少したくさんの雪組生の上手い使い方ありましたよね？？？」の気持ちにもなりました。（ですが、一禾あおさんがとっても大活躍されていたことは個人的にとても嬉しかったです。）
特に娘役さんたちの出番は少なくて少なくて台詞も少なすぎたのですが、フィナーレの娘役のさんたちは本当に素敵でした。退団者３名のピックアップ場面もあって嬉しかったです。
原田先生のフィナーレがやっぱり素敵すぎるので、原田先生には是非ショー作品も作って頂きたいなと感じました。
歌唱指導の和希そらさんは、歌唱指導をしてきて100年目なのかと思うほど素晴らしかったです。歌が上手いだけでなく、惹き込まれる歌なのが本当に良くて、赤色のお衣装もお似合いでした。
また、デュエットダンスなのですが、彩風さんと朝月さんが手を繋いで大階段を降りてこられたことに涙が止まらなかったです……。物語で足りないトップコンビとしての形をとっても素敵に表現されていました。
朝月さんの幸せそうな顔が本当に本当に幸せそうで、本編の出番の少なさを浄化させてくださるほど、本当に素敵な表情をされていました。また、デュエダン影ソロが本公演で退団される羽織夕夏さんなのですが、その歌声でも泣きました。フィナーレをあと１００0回は観たいです……。
階段降りはエトワールの千風カレンさんからはじまり、咲城さん・夢白さん・諏訪さん→縣さん→和希さん→凪七さん→朝美さん→朝月さん→彩風さんの順番でした。
彩風さんと朝月さんと朝美さんの豪華なパレード衣装が素晴らしすぎて大好きでした……最高の豪華絢爛お衣装です。
全員羽根がないのは少し寂しかったのですが、専科さんもいて銀橋がぎゅうぎゅうだったので、怪我をしないためにも配慮した仕様だったと思われます。
そして、羽根の代わりに真ん中３人は豪華なマントを羽織っていらっしゃいました。
大まかに初日の感想を記したのですが、時代の流れに翻弄されつつ、数奇な運命を辿ることになる文秀と春児の姿にわたしはめちゃくちゃ泣きました。豪華絢爛の舞台、とても見応えがあって、この舞台に通えるのが本当に嬉しいです。
胸いっぱいで、これからしっかりプログラムを熟読したいのですが、本日幕が開きました『蒼穹の昴』が、新人公演含め、東京大千穐楽まで無事上演できますことを、退団者４名が無事に大階段を降りて来られますことを、心の底より願っています。
