ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

トップ娘役退団公演としての『蒼穹の昴』について


 原作ファンという視点で、宝塚で舞台化された『蒼穹の昴』は本当に有難いほど最高でした。

 雪組大好きの視点でも『蒼穹の昴』はやり甲斐のある役柄が多く、お衣装や舞台セットが豪華ということで何度観劇しても感動しますし、胸が熱くなります。何回観ても、圧巻の一言です。


 ただ、本当に。一本物なら余計仕方がないのですが、「これは雪組トップ娘役朝月希和さんの退団公演」という雰囲気が一切漂っていません。

 同じく、今回退団される千風さんと羽織さんと花束さんについても、今回が退団公演なのだとは思えない仕様です。


 短いフィナーレの中、娘役群舞やデュエダン、パレードにて感じられることはあるのですが、ほとんどそれのみと言っても過言ではないと考えます。



 こればっかりは仕方のないことですしね、作品のスケジュールなどはトップ娘役さんではなくトップスターさんを中心に考えられるものですし、朝月さん以外の3人の娘役さんは本公演の内容を分かった上で退団を選ばれています。


 だから仕方のないことですし、文句なんてお門違いなのですけれど、雪組の素敵な娘役さんたちの退団公演だと考えると、蒼穹の昴という物語は本当に相応しくないな、というのが個人的な感想です。


 原作があるがゆえに、退団される生徒さんより、物語の世界観を強く優先された脚本は、娘役に関して配慮するような柔軟性には乏しかったです。


 トップ娘役の退団公演が酷いものは今までもたくさんありましたが、本公演はその中でも稀に見る出番の少なさだなと思います。個人的には、出番が少ないあまり、寂しさと切なさを感じるほどでした。


 じゃあ理想的なトップ娘役の退団公演があるのかと言われたら、これがあるんです。

 出会いは、2019年。

 わたしはあまりにも理想的なトップ娘役の退団公演に出逢いました。それこそ、元花組トップ娘役である仙名彩世さんの退団公演『CASANOVA』です。


 こんなにも理想的なトップ娘役の退団公演があるのか、と。初見時は度肝を抜かれましたし、あまりにも嬉しすぎて幸せすぎて号泣したのが懐かしいです。衣装も音楽も台詞も何もかもが大好きで、赤いドレスを着たラストもとっても素敵。


 この公演の凄いところは、仙名さんだけでなく、副組長を担っていた花野じゅりあさんや新人公演ヒロインなども経験された桜咲彩花さんなど、仙名さんと同時退団される名だたる花組の娘役さんをもしっかり美しく輝かせていたことです。


 トップ娘役として、娘役の退団公演として、これ以上の公演はないのではないかと思うほど、本当に素敵で、満足感でいっぱいの公演でした。


 ジャンルも違うので比べることこそ愚かなのですが、『CASANOVA』を基準に考えると、『蒼穹の昴』はトップ娘役退団公演として、娘役さんたちの退団公演として、比べるまでもないほど劣っていると思います。なぜなら、蒼穹での朝月さんの出番は、CASANOVAの仙名さんの半分以下だと思われるからです。


 出番や衣装やポジションなど。昨日の朝、Blu-rayで『CASANOVA』を拝見し、本日『蒼穹の昴』を観劇したことにより、トップ娘役の退団公演としてのあまりの違いをひしひしと感じてしまいました。


 トップ娘役退団公演という観点を抜けば、蒼穹の昴は本当に素晴らしい舞台だと思います。
 ですが、もしもフィナーレがなければ、あの素敵なデュエットダンスがなければ、「これはないだろう…….っ!?」と喚いていたかもしれないので、宝塚のフィナーレにはいつも救われています。ありがとうございます。


 蒼穹の昴が大好きで、雪組の皆様と専科の皆様で織り成してくださるこの骨太の舞台に夢中なのですが、視点を変えれば複雑な心境もあることを吐露せずにはいられず、今回記すに至りました。
 不快に思われた方々がいらっしゃいましたら、本当に申し訳ありません。


 宝塚では昔から、娘役さんの退団に関しては、最後報われないことも多いので、慣れているには慣れているのですが、慣れていいことではないな……と。改めてそんなことを考えました。



 しかしながら、朝月さん筆頭に娘役さんの出番が少ないからこそ、出来るタイミングでは思いっきり、力いっぱい、「今まで素敵な舞台をありがとうございます」の気持ちを込めた拍手を送りたいな、と。

 今回退団される大好きな雪組の娘役4名の方を思っては、今日も精一杯拍手を送らせていただきました。


 お芝居は想像以上に出番がありませんが、朝月さんにはこれからミュージックサロンとサヨナラショーがあります。そして、サヨナラショーでは、千風さんと羽織さんと花束さんをピックアップされた場面もあると思われます。

 本公演では叶わなかった、4人の娘役さんの素敵な姿がたくさん詰め込まれていたら幸いです。



 誰を、何を中心に観劇するかによって、本公演の満足度はかなり違ってくると思います。


 今日は、トップ娘役さんをはじめとする娘役さんの退団公演という観点だったため、マイナスな発言を多くしてしまいましたが、『蒼穹の昴』自体は、完成度のとても高い、雪組の皆様と専科の皆様の熱演が光る本当に素晴らしい公演だと思います。


 ただ、手放しにこの公演を「大好き」と言うには、娘役さんたちの出番に対していろいろ思うことがあったので、本内容を記させていただきました。

 原田先生の歴史モノや偉人シリーズは個人的には好きなのですが、これからの娘役さんの退団公演にはあまり当たらないでほしいな、と正直感じてしまいます。


 ネガティブな話をしてしまいましたが、決して誤解してほしくはないのですが、雪組蒼穹の昴』は見応えのある、本当に本当に素敵な作品です。今日も、雪組の皆様・専科の皆様が更にパワーアップしていて、舞台全体がますます引き締まり、本当に素晴らしかったです。



 どうか、このまま東京の大千秋楽まで、一度も止まることなく上演されますことを、そして娘役さんたちにとって素敵なサヨナラショーが待っていますことを心の底より願っています。



にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村