ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

星組『JAGUAR BEAT』に対するどうしようもない本音について


 以下、今回の星組公演のショー『JAGUAR BEAT』に対して、個人的に(やっぱり齋藤先生と合わないなあ……)という話を記すので、読みたくないなあという方はブラウザをそっと閉じていただけたら幸いです。











 さて、暁さんの星組大劇場デビューもあって、 基本月組しか観ない友人ふたりが、早速星組を観劇しに行きました。


 お芝居はふたりともかなり好感度高めで、それぞれ「礼さんのディミトリが〜」 「舞空さんのルスダンが〜」 「やっぱり礼さん本気で歌が上手くて〜」 「星組の下級生で気になる子を見つけて〜」と、楽しそうに感想を述べてくれました。


 しかしながらショーについての感想になると、 友人Aは 「お芝居の涙が引っ込む、ジェンヌさんの魅力が演出と衣装と電飾で伝わってこないめちゃくちゃなショーだった」と述べ、 友人Bは「派手派手派手で、 一周回ってにぎやかで楽しかった」と述べました。


 同じ回を隣の席で観た友人たちが、ここまでショーに対して両極端な感想を持つのだと驚きつつも、やっぱり意見が真っ二つに分かれるんだな……としみじみ感じました。



 そもそも感想というのは、その人の主観に基づくものなので、バラバラで当たり前だと思うんですね。

 だから、 誰かにとっての好きなショーは、誰かにとってのつまらないショーだし、誰かにとっての面白かったショーは、誰かにとっての取っ散らかっているショーなわけで、観客全員が100%満足できるショーなんてこの世にはないんだということを、 宝塚を好きになってから身をもって痛感しています。


 実体験ですが、 大劇場でも映像でも繰り返し観ていた自分の大好きなショー作品を、つまらない駄作と評されたときの衝撃とかショックはなかなか忘れられないものです……。



 だから一概に、あまり悪い方の感想は記したくないのですが、現時点で2回観劇済みのわたしは、今回のショーが今の所どうしようもないほど合わなくてですね……。「久しぶりに、うっと目を細めたくなるショー作品だな」と感じています。


 端的に言うと、衣装をはじめとする色彩はもちろん、「斎藤先生の駄々洩れすぎる趣味が見ていられないショー作品」だと思っていて、最近で言うと『NOWZOOMME』(齋藤先生演出の望海さんのコンサート)にて、こういうものが観たいと本気で思われているのですか??? という戸惑いにも似たものを感じました。


 個人的に、望海さんのコンサートはあんなにも戦隊モノやコントに時間を割かず、もっと宝塚らしくてクラシカル、もしくは男役の魅力あふれるものに仕上げてほしかったですし、単純に宝塚の曲にもっと時間を割いてほしいな……という気持ちになったのですが、あれもかなり 「斎藤先生の趣味」が演出のあちらこちらにあったように思えます。


(真彩さんがゲストで登場した際の「ランベスウォーク」や 「私が踊るとき」のデュエットなど、こういうの! こういうのでいいの! こういうシンプルなのがいっぱい観たいんだよ! と思ったあの歯がゆさが懐かしいです……。)




 話が脱線しましたが、 『JAGUAR BEAT』 も、 本当に、「演出家が誰かを知らずに観劇しても斎藤先生だと分かる」ほどには、隠すことのできない、隠すつもりもない 「サイトウヨシマサ先生のつくるショー」でした。


 齋藤先生の趣味とは「合わない」確率が高かったのですが、今回は特に「齋藤先生の趣味とセンスを引くことなく加算し続けまくったショー」だったので、齋藤先生の趣味と合わないわたしにはどうしようもなく合わないショーでした……。


(こんなことを記すと非のない星組の皆様には申し訳ない気持ちでいっぱいになります。本当にすみません。)



 宝塚のショー作品は、出演者たちの個性とは別に 「演出の先生の個性」がかなり目立ちます。(これはお芝居の演出でも同じことが言えるのですが)

 ひとりの先生が場面や脚本や演出全般を手がけているので、その人の色が出るのは当たり前のことだと思います。


 そして、この「先生ごとに異なる豊かな個性」が、宝塚のショーの良いところなのですが、「その先生の個性や趣味の主張が激しすぎる」ときがありまして……。今回のショーでは、特にその主張を感じてしまいました。


 「個性と趣味の主張」も、1作品に2場面程度ならいいのですが、今回のように(ストーリー仕立てだからなのでしょうか) 全場面斎藤先生の個性が押し出されていると、「合わない」人間には逃げ場がなかったです。


 さらには、こんなにも個性的で魅力的な星組生がいっぱい在籍していて、それぞれ出番も多かったのに、わたしの『JAGUAR BEAT』 初観劇の感想は 「斎藤先生のショーすぎる」というものでした。


 素晴らしすぎる礼さんの歌声や舞空さんのスタイルの良さや瀬央さんの衣装の着こなしや暁さんのダンスの上手さや極美さんの成長ではなく、 真っ先に「斎藤先生のショーすぎた……。」という、生徒さんたちを凌ぐ大きな感想を持ってしまいました。


 『JAGUAR BEAT』は「斎藤先生のショー」だということが目立ちすぎているため、星組の皆様の素晴らしさとは関係なく、斎藤先生の趣味やセンスに「合う」か 「合わない」かで、作品が「好き」か「苦手」かも決まってしまうように感じました。


 そして先述のとおり、わたしはこのセンスに 「合わない」 タイプの人間なので、(いやなんでこの場面がこんな……)と思うことの連続でした。


 もちろん全場面が 「合わない」 わけではなかったですし、舞空さんはトップ娘役になってから1番ショーで出番があった作品なのではないかな、と嬉しかったですし、斎藤先生の退団者への思いやりも感じました。


 ですがやっぱり、「斎藤先生色」が目立ちすぎているなあと感じざるを得ませんでした。


 宝塚には「スミレコード」というものがありますが、退団した演出家の先生方が頻繁に口にするように、宝塚の演出は結構、「OK なゾーン」 が広いです。


 「個性」というのは大切なものなのですが、ひとつの作品の中で演出家の先生の個性の濃さに行き過ぎることがあるのならば、それを止めてくれる「ブレーキ係」のような人を用意しておいてほしいな……と、「合わない人間」だからこそそう思ってしまいました。


(しかしながら、逆に齋藤先生と合う方々にとっては、とっっっても楽しいショー作品だと思うので、今回の意見は合わない人間の戯言だと捉えてくだされば幸いです)



 さてはて、『JAGUAR BEAT』 は引き算や緩急がない分、次々といろんな星組生が歌い踊り、たくさんの組子が総出で活躍してくださいます。

 また、 星組の皆様がこのショーを楽しんで取り組んでいることがひしひしと伝わってきます。



 当たり前ですが、大劇場には、文句を募らせるためではなく楽しむために、ジェンヌさんの眩しさを浴びるために足を運んでいます。

 『JAGUAR BEAT』 の斎藤先生の演出の「趣味や感性やセンス」に寄り添うことは難しそうなのですが、まだ観劇予定がある『JAGUAR BEAT』を、これからはもっと星組生のことだけ考えて楽しめるようになりたいと思っています。



 最後に、『JAGUAR BEAT』というショーが、人生で一番思い出深い作品になるという方もいらっしゃると思います。今回記したものは本当に個人的な感想なので、どうかお気になさらないでくだされば幸いです。



 いろいろ思うことはあるショーなのですか、舞空さんがいつも以上にとびっきり可愛らしく見えるショーだとも思っていますし、そんなふうに今回のショーでの星組生の良さをどんどん前向きに見出していきたいなと思います。



 ネガティブな話を長々お読みいただきありがとうございました。ビカビカな電飾に負けない星組生の輝きをひとりでも多くの方が浴びれますことを心の底より願っています。


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