ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

苦手な演出家の先生と有限なジェンヌさんたちについて


 先日、KAAT 神奈川芸術劇場 (神奈川県) の千秋楽を迎えた『ELPIDIO』が、 12月3日(土)からいよいよ梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ (大阪府) にて初日を迎えます。


 東に遠征できず、ライブ配信も我慢し、梅芸DCでの開幕を今か今かと待ちわびているのですが、ドキドキが止まらないです。



 鳳月さんをはじめとする月組生たちの新しい舞台への期待と楽しみ半分、そして、謝先生のオリジナル作品という不安半分が綯交ぜになっていまして……。



 神奈川で観た友人たちが「面白かった!」というポジティブな感想をくれるので、今では期待の方が上回っているのですが、実際に自分の目で観るまではやはりドキドキします。



 というのも、謝先生が作・演出・振付を担った礼真琴さん・舞空瞳さんのお披露目公演、『眩曜の谷~舞い降りた新星~』 (2020年)の脚本が、わたしは好みではなく、(礼さんと舞空さんの魅力がもっと溢れるお披露目公演が良かったなあ……)と、消化不良な感情を抱えた観劇だった記憶が色濃く残っておりまして。

 『眩曜の谷』という「物語自体」にハマらず、「謝先生の作るお話と自分は相性が悪いんだな」という固定観念なるものが生まれてしまいました。



 謝先生のダイナミックで格好いい振り付けや、『黒い瞳』や 『激情』といった、謝先生が織りなす「柴田先生の作品の演出」 はかなり好みなのですが、「謝先生のオリジナル作品」に対する苦手意識はなかなか抜けず、『ELPIDIO』演目決定時も「せっかくの鳳月さん主演作がどんな脚本になるのだろう……」という期待と不安が綯交ぜになっていました。



 演出家の先生と言ってもひとりの人間なので、その先生の思考やセンスや趣味なんかが結構色濃く舞台に反映されます。その結果、だいたいの演出家の先生は「その先生の特徴が表れる舞台」をつくられます。


 なので、苦手な演出家さんだと判断した「要素」はその先生の新しい舞台にも出現するため、「苦手な演出家の先生は苦手な演出家の先生のまま」なことが多いです。

 そして、それは逆も然りで、好きな演出家の先生は新しい作品でも好みな作品を作られることが多いとも感じています。


 しかしながら、あくまで舞台の良し悪しは主観であり、誰かがその作品を猛烈に批判してもなお、自分が「良い!」「楽しい!」と思えたら、それでその舞台は自分にとっては「良い」わけで。


 だからこそ、宝塚の世界において「苦手な演出家の先生を得意になれたらこんなに嬉しいことはない」のですが、先述したとおり苦手な演出家だと判断した「要素」は「その先生の新しい舞台にも出現」するため、苦手な演出家の先生は苦手な演出家の先生のままなことが多いという打開策のなさ……。



 つまり、苦手な演出家の先生を得意になるのは、先生のセンスもしくは自分の感性がかなり「変化」する以外方法がないようにも感じるのですが、ジェンヌさんが宝塚にいてくださる時間は有限です。

 入団時から退団へのカウントダウンは始まっているので、苦手な先生の演出であっても、「今の組」が織り成す1作1作をしっかり大事にしたいですし、観客の一人として楽しみたいです。



 なので、まずは『ELPIDIO 』にて、謝先生のつくるオリジナル作品が好きになれたら本当に嬉しく思います。



 『ELPIDIO』に対する友人たちのポジティブな感想を聞きますが、実際に自分の目ではまだ拝見していないので、友人たちの称賛が「脚本もいいのか」はたまた「鳳月さんをはじめとする月組生たちの芝居力で熱を帯びているのか」は定かではないのですが、「月組生の素晴らしさだけではなく、謝先生の脚本自体」も楽しめたら良いな、と思います。

 

 また、謝先生は来年、彩風咲奈さん・夢白あやさんのお披露目公演、『ライラックの夢路』-ドロイゼン家の誇りー を担当されることがすでに決定しています。


 どれだけ偉大なトップさんであろうと、どれだけジェンヌさんたちが頑張ろうと、「作品や演出家」によって、その組や生徒さんたちの魅力が半減するようなとんでもないものが過去の宝塚作品にはありますが、謝先生のつくる作品が、今回の月組生たちを、そして次回の雪組生たちをこれでもかとばかりに輝かせる作品に仕上げてくださっていたら幸いです。



 観劇日までドキドキが止まりませんが、まずは何よりも、月組公演『ELPIDIO』 が、梅芸DCにて幕開き、一度も欠けることなく完走できますことを心の底より願っています。



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