ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

批判をされ続けた凪七さんの起用について思うこと


 抜擢されると批判がつきもの。 これはもう、「誰かを、そして、どこかの組を応援している宝塚ファンの方々」 にとって、切っても切り離せないものなのだということは理解しています。


 理解していますが、「凪七さんが星組公演にて全国ツアーの主演を担うこと」。これを受けて、ちらほら見かける批判を目にしては、かつての凪七さんへの誹謗中傷を思い出し、胃のあたりがジクジクと痛くなります。



 まず、現在専科生としてご活躍中の凪七さんは、首席入団された89期生の男役さんです。 たくさんの人気スターを輩出した 89期生も、在籍しているのは今や凪七さんおひとりになってしまい、月日の流れの早さを感じます。


 そんな凪七さんですが、 月組で初舞台を踏んだ後、宙組に配属。 阪急阪神初詣ポスターに起用されるなど、下級生の中では注目度の高い男役さんでした。


 しかしながら、新人公演主演がなかなか回ってこない凪七さんにまわってきたのは、まさかの2009年月組公演 『エリザベート』のヒロイン「シシィ役」。


  他組の、まだ番手もついていなければ新人公演主演も果たしていない男役さんが瀬奈じゅんさんの相手役として、しかもあの『エリザベート』にヒロインとして出演されるという異例の大抜擢。(※このとき、 月組トップ娘役は不在でした)


 ですが、 月組にも素敵な娘役さんや男役さんがいらっしゃるわけで、それなのにトップ娘役を置かない月組人事はただでさえ批判の的であり、この抜擢により知名度をあげた凪七さんに白羽の矢が向いてしまうのは誰にでも容易く分かることでした。


 つまるところ、凪七さんに対して厳しい目を向ける方も多く、2009年のエリザベートを観劇した際、トイレの列で堂々と批判する声が聞こえるたびに胃のあたりが痛くなりました。
 それは、ひとりのジェンヌさんに向けていい罵詈雑言の数ではなくて、ほとほと居心地の悪さを感じながら幕間の時間を過ごしたのを覚えています。


 娘役に転向するのではないか、と騒がれた凪七さんですが、『エリザベート』出演後、宙組公演 『カサブランカ』にて、新公ラストチチャンスを見事ゲットし、 新人公演初主演を果たします。


 そのまま、2010年宙組 『ジュ シャント』でバウホール公演初主演を担った凪七さんは、知名度抜群のまま宙組にてご活躍され、 2013年に月組への組替えが決定します。


 2014年の月組 『THE KINGDOM』 では、 星組から組替えしてきた美弥さんとともに東上公演ダブル主演を果たし、さらには、2015年の専科公演 『オイディプス王』 にて、轟さんの相手役としてバウホール公演初ヒロインを担います。


 男役さんとしても娘役さんとしても活躍できる凪七さんは、 月組の歪な人事に振り回されつつ、 2016年に専科への異動が決定します。


 このあたりになると、 批判の対象が「サイコパスな人事を長年繰り返し続ける月組」と、「早期抜擢となった珠城りょうさん」 に向かい、人事に振り回されまくる凪七さんを批判する人などほとんど見かけませんでした。


  (※当時、珠城さんに向かう批判もとんでもないものだったので、このことに関しても胃が痛くてたまらなかったのですが、それを語ると話が逸れてしまうので、ここでは割愛いたします)



 専科に異動してからの凪七さんは、轟さんとまでは行かずとも、宝塚を引っ張るスター専科な上級生としてご活躍され、2018年の花組公演「蘭陵王」にて東上公演単独初主演。

 2020年のバウホール公演では『パッション・ダムール』という凪七さん主演のコンサートが雪組生と共に上演されました。



 『壬生義士伝』や『ロックオペラモーツァルト』 『アウグストゥス』に『心中・恋の大和路』そして、現在上演中の 『蒼穹の昴』。 各組大劇場・別箱問わず、主演以外の主要な役として出演し続けた凪七さんですが、主要な役を演じても大きな批判の声はあがらなくなり、安堵した今日この頃。



 そんなときに発表されたのが、2023年の星組全国ツアー公演『バレンシアの熱い花』『バッション・ダムール・アゲイン!』でした。


 星組別箱公演の、しかも全国ツアーを、トップ娘役である舞空瞳さんと共に主演として回ること。


 誰もが予想していなかった発表に、また凪七さんへの批判の声を見かけるようになりました。


 というのも、別箱主演がただの別箱ではなく全国ツアーであることにより、凪七さんがトップになるのではないか、という憶測。
 さらには、轟さんはトップになってからの専科入りであり、トップになっていない凪七さんと轟さんをこの先同等の扱いにしていくのはおかしいといった意見など。


 宝塚ファンは未来を見通して心を落ち着かせるのが常ではありますが、突如現れた可能性にモヤモヤとしたものを感じた方々もいらっしゃったようで、今回の凪七さんの起用に、なかなか辛辣な声を投げる方もいらっしゃいます。


 応援している組や応援しているジェンヌさんがいるからこそ、長年宝塚を好きで居るからこそ、疑問や批判がうまれるのは重々承知しているのですが、 凪七さんの宝塚人生は、振り返ってみるだけで、異例尽くしであることが分かります。


 本当に異例尽くしで、当時の凪七さんの心境を考えるだけで、批判の声を思い出すだけで泣きたくなるような、本当にさまざまなことがありました。



 ここに来ても、こうやって批判されるのだなあ、ということがなんだかとても悲しいのですが、「どれだけ素敵なジェンヌさんであっても、抜擢に批判はつきもの」です。
 現トップスターやトップ娘役などに対しても、理解できないような腹立たしい批判をする人たちはいらっしゃいます。抜擢される方々というのは、悲しくも、身勝手な批判を向けられやすいのです。



 ですが、憶測のうちのひとつ、凪七さんのトップ就任疑惑ですが、わたしは、凪七さんがトップになるのではなく、星組の2番手問題や、星組トップコンビが長期だからこそのマンネリ防止、さらには別箱で有沙さんを起用するために、今回の別箱公演が決定したのではないかな、と考えています。

 個人の考えなので、ここに正解はありませんし、正解は誰にも分かりませんが、分からないことで批判されるのは、本当に苦しいだろうな、と感じます。



 トップ経験者ではない凪七さんの立ち位置が分かりにくいことは確かなのですが、強くてまっすぐな宝塚愛と、下級生たちからの信頼が厚いことから見えるお人柄。先日、バレンシアの先行画像が公開されましたが、今回のお化粧は、学年差のある舞空さんを意識して、若く見えるお化粧にされているのも窺えます。


 そんな、自己研鑽を絶やさない凪七さんは、誰が何を言おうと、本当に素敵なジェンヌさんであり、下級生たちの見本となるような上級生だな、と思います。



 ただ、どんなに素敵なジェンヌさんであっても、「専科さんが主演として起用されるということは、その組の生徒さんの活躍をひとつ奪うことと同義」なので、その組のファンが面白くないと感じることも至極当たり前だということです。


 5組に順番に回すのならまだしも、最近、専科さんの主演公演は星組に偏っていると感じます。
 このことにモヤモヤする人がいるのは当たり前だと思うので、無駄な批判が専科さんたちに向かないように、そのあたりは劇団側がうまく調整してほしいな、と。そんなふうにも感じました。



 ですが、今回の星組全国ツアー公演、個人的にはとてもとても楽しみでして、バレンシアのクセになる歌はもちろん、『パッション・ダムール』が大好きだったので、全国ツアーで、アゲイン!として再構成されるのが、本当に本当に楽しみで仕方ありません。


 凪七さんと星組の皆様が輝きまくられるだろうロマンチックで情熱的なステージが、今から本当に楽しみです。


 少し長くなってしまいましたが、ここまでお読みくださりありがとうございました。星組全国ツアー公演、チケットがゲット出来るように頑張りたいです。



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