ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

宙組『夢現の先に』ライブ配信感想


 本日は、宙組 宝塚バウホール公演『夢現(ゆめうつつ)の先に』のライブ配信を拝見させて頂いたのですが、純粋に「素敵な作品だ〜!」と画面越しに感動してしまいました。素晴らしかったです。


 素敵過ぎてなにから感想を記したらいいのでしょうか。


 というのも、絶対にネタバレなしで観劇した方が良いタイプの作品で、ネタバレなしでどうやってこの「良さ」を感想として記したらいいのかが難しい……と思い悩んでしまうのですが、今まで宝塚になかったタイプの「素敵なバウ作品」 だなあと心に沁みました。


 (※観劇予定がない方々も、円盤は発売されなくてもスカステで放送されるはずなので、そのときに何の知識もなく観てほしいので、以下、ネタバレは無しの方向性で記していきます)



 1幕はとにかく想像よりもずっとずっと可愛らしくて、そして面白くて、だけどどこか感じるほんのりとした暗さと不穏さゆえに、どんな物語になっていくのだろうかと掴めなかったのですが、2幕からは急展開のようにお話が繋がっていき、「あ、あ」と気づきながら魅入ってしまうような作品でした。


 「あれにはこういう意味が含まれているんじゃないかなあ」と誰かと語り合いたくなるような作品で、先生は文学と共に叙述トリック系のミステリー小説とかがお好きなんじゃないかなあと勝手に感じました。


 物語を知ればタイトルも秀逸だなあと感心してしまうのですが、「あえて意味のあるはずの台詞や演出」の直接的な伏線回収がなくて 「余白部分」があるところも、感想を言い合いたくなるミソになっていると言いますか。

 正解と言うよりも、人の数だけ解釈がありそうで、(語り合いたい……誰かと語り合いたい……)という気持ちでいっぱいなのに語り合える観劇済みの友人がいないので、観劇した方々の感想をこれから読み漁りたいと思います。楽しみです。



 さてはて、幕開けと共に感じる近代的でいて夢がモチーフだからこその不思議な感覚。ファンタジーよりなのにメッセージが地に足付いていて、だけれど絵本のような世界観。


 台詞のテンポの良さと楽曲の良さと分かりやすいストーリー。
 それでいて、主要人物たちの出番はもちろんのこと、 影ダンサーが格好良く、ダンサー以外では最下級生に至るまで台詞があり、 バウにぴったりの物語というか、「生駒先生、これがデビューってすごいなあ」としみじみ感心してしまいました。


 衣装にまで意味合いが含まれていて、生駒先生が一生懸命練って形作ったものに鷹翔さんをはじめとする宙組の皆さまがそれぞれの息を丁寧に吹き込んだ。そんな素晴らしい唯一無二の舞台でした。



 歌劇に掲載されていた生駒先生と鷹翔さんの対談が印象的だったのですが、「外部でこれを上演するとストレートすぎるかもしれないけれど宝塚だからうまくいく」というようなお話をされていて、この感覚がとっても好きだなあと感じたのと、実際に本作を拝見して、やさしい世界ではあるものの 「宝塚だからといっても『ストレートにもやりすぎない』 塩梅」も感じることが出来て、「絶妙な匙加減」が良いな、と感じました。




 また、主演の鷹翔さんにこのピュアな役を「今」演じさせる良さを感じずにはいられませんでした。

 わたしは鷹翔さんの格好いい声が大好きなのですが、声が格好良すぎるからこそ、「渋い役」 が回ってきやすいかなあとも考えていたわけです。

 しかしながら「今」この「タイミング」で、今回のような「僕役」が出来たことは、これからの鷹翔さんに当てられる役の幅をぐぐぐっと広げてくださったようにも思えます。


 シャイでピュアで不器用で純粋で、とっても良い人な「僕」。鷹翔さんだからこそ、先生は「僕役」を与えたのだと思いますし、 「このメンバーだからつくれた物語」という文言に、こんなにも頷けることはなかなかないな、と感じます。


 そして、わたしは元々鷹翔さんの声質ファンなのですが、芝居も良く、歌声も良く、ダンスも良く、本当に素敵な男役さんだなあ、バウ主演が回ってきて本当に良かったなあとしみじみ感じました。 改めまして、鷹翔さん、バウ主演本当におめでとうございます。とてもとても素敵な主人公でした。



 「彼女」役の山吹さんは本当に 「誰もが憧れる美しき宝塚の娘役さん代表」 と言いたくなるほど、本当に美しくて可憐で目を惹かれまくる娘役さんです。

 『夢千鳥』を拝見したときから、宝塚ファンには好き嫌いの分かれそうなほど「声」がとても特徴的な娘役さんだなあと感じていたのですが、 山吹さんは歌がとてもお上手なので(この声が好き……) と感じてくださる方も多いのではないでしょうか。

 今回は明るくて可憐な「彼女」役を、初々しさと共にかわいらしく演じていらっしゃって、とっても素敵なヒロイン像でしたし、もうほんとうに夢中になってしまいました。 大好きです。



 また、亜音さん演じる 「僕」がかなり重要で、天真爛漫で眩しすぎる笑顔と翳った表情の落差、その役どころが分かるにつれ、(良い役を与えてもらったなあ) とじんわりしてしまいましたし、今回の役柄を経て、亜音さんのことが個人的に大好きになってしまいました。とてもとても良かったです。



 そして、泉堂成さんの活躍もすごかったのですが、もうこのあたりからネタバレなしでどう 「良さ」を伝えたらいいのか分からないのですが、とにかくとにかく良かったです。
 107期の風翔さんの声の綺麗さとソロの上手さとダンスのキレとイケメン具合も知れて嬉しかったですし、102期の輝ゆうさんの圧の強さも最高で最高で、バウはたくさんの人たちが輝けて本当に嬉しくなってしまいます。


 本作でのかわいくて個性あふれる羊たちのひたむきさとか、鷹翔さん演じる「僕」と亜音さん演じる 「彼」の関係性や「僕」の変化の魅せ方など、切なさも入り混じる温かな世界に心が包まれました。


 そして、なんと言っても、本公演で退団されてしまう朝木さんの歌声がデュエットでも影ソロでも聴くことが出来て本当に本当に幸せでした。 生駒先生、最高の起用をありとうございます。



 物語は切なさがあれど根本的にピュアでハートフルでかわいくて、なおかつ瑞々しい若さを感じる作品だったのですが、最後には格好いいフィナーレが待っていて、これぞバウホール公演での完璧な流れと言いますか。

 配信でこんなに満足してしまっているのですが、結末を知った今、「もう一度観たい!」と思わずにはいられません。



 鷹翔さんと山吹さんを筆頭に、「生駒先生の繊細な世界観を完成させるべくとても丁寧に」演じていらっしゃっていて、役者と演出家がきちんと「この物語を成立させるにはどうしたらいいのか『分かり合っている』」ように感じ、とても雰囲気の良い稽古場だったのではないかな、と勝手に感じてしまってはなんだかとても幸せな気持ちになりました。



 最後に、配信を視聴後に買っておいた本公演のプログラムを拝見させて頂いたのですが、生駒先生のコメントに泣いてしまいそうになりました。

 それと同時に、素敵な演出家の先生がまたひとり、 宝塚でデビューしてくださったのだな、 と。とても嬉しい気持ちでいっぱいになりました。


 そして、 本当は本日が千秋楽だったわけなのですが、本公演の追加公演が実施されることになって本当に本当に良かったな、と改めて感じるに至りました。

 

 ネタバレなしの感想は難しかったのですが、素敵なお芝居が本当に心地よかったです。



 ではでは、1月17日〜1月21日にかけての追加公演も無事に上演されますことを、本作で退団される朝木さんが悔いなく最後の日まで舞台に立てますことを、とにかく宙組夢現の先に』に携わる方々が元気で健康でありますことを心の底から願っています。


 配信ではありましたが、素敵な時間をありがとうございました!



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