ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

餞別なら普通に別箱主演がいい話

 昨日、初日を迎えた星組全国ツアー公演 『バレンシアの熱い花』 『パッション・ダムール・アゲイン!』を、本日梅田芸術劇場にて観劇させていただきました。


 凪七さんと星組生という新鮮な組み合わせは、 お芝居でもショーでもお互いの良いところを掛け合わせたかのような舞台を形作ってくださり、 また、お芝居もショーも好みの作風ということもあって、 「福岡のチケットも取っておいてよかった〜」 の気持ちになりました。


 まずはお芝居についてなのですが、 バレンシア地方を舞台にした復讐劇が基盤の本作。

 結末に賛否ある作品でありますが、わたしはとにかく本作の歌が大好きで大好きでいつも口ずさんでしまうのですが、やっぱり名曲はいいですよね。(と言っても、名曲と言えば主題歌の『バレンシアの熱い花』 かもしれませんがわたしはイザベラの歌う 『死んでもいい』 が大好きでございます)



 他の方が「そうそう!」と共感してしまうような素敵なキャスト別感想を記されているので、わたしは真ん中のお3方に絞ってざっくりとした感想を記したいです。


 まずは凪七さん演じるフェルナンド・デルバレス役について。

 バレンシアの前領主だった父親が現領主のルカノール公爵に暗殺され、復讐を誓う青年役を上級生として余裕たっぷりに演じられていました。 凪七さんはいつまでもお若い役が似合っていて凄いなと単純に感心してしまいます。 あとお顔が小さすぎて軍服を身に纏っているところが何頭身のスタイルなんだろうととても眩しかったです。



 次に舞空さん演じるイサベラ役について。

 酒場の踊り子であり、フェルナンドに惹かれる最高の女を、舞空さんが強くそして切なく熱演してくださいました。早期にトップ娘役に就任した舞空さんも、すっかり大人の女性役が得意になったんだなあと感慨深く思いながら、観劇中ずっと、イイ女すぎるイザベラのことをとても愛しく感じました。



 最後に、瀬央さん演じるラモン・カルドス役について。

 イザベラに惚れていて、 妹ローラをきっかけに、 フェルナンドの仲間になる陽気な男であり、わたしはこのラモンという男が好きすぎるんですが、 瀬央さんが骨太に、荒々しく、でもどこかチャーミングに演じられていて感謝の気持ちでいっぱいになりました。イザベラがフェルナンドの歌にうっとりしているのを見てしまったラモンの表情が好きすぎて、最高すぎてどうしようかと思いました。


 他のキャストの方々も魅力あふれるお芝居をされていらっしゃいましたが、とりわけ、今回抜擢されたマルガリータ役の乙華菜乃さんが心に残りました。フェルナンドの婚約者であり、いじらしいマルガリータというお役を抜擢に見合うほど可憐に演じてくださいました。




 続いてはショーについて記したいのですが、本作は、岡田敬二先生の 「ロマンチック レビュー」シリーズの名場面を集めて2020年に凪七さん主演のバウホール公演『パッション・ダムール-愛の夢』として上演されたものを全国ツアー公演版として再構成されたものです。


 わたしはこの、宝塚愛に溢れる凪七さんが雪組下級生とともにっくりあげた 『パッション・ダムールー愛の夢-』という作品が大好きだったので、上演前から期待でいっぱいだったのですが、 今回も期待以上に好き場面の連続で、「宝塚のショーを観たぞ〜!!!」の満足感でいっぱいになりました。

 宝塚っていいなあと原点回帰できるような素晴らしきショーでございます。


 また、2020年版は凪七さんが目が回るほど大忙しすぎる出番だったのに対し、今回は星組生にもかなりの出番が振り分けられていると感じました。舞空さん、瀬央さん、極美さん、天飛さんをはじめ、星組の皆様の魅せ場もたくさんあって嬉しかったです。
 何といっても、凪七さんの気品と星組生のエネルギッシュさによって、とてもバランスの良いショーに感じられました。


 そして、ここで少し瀬央さんについて記しておきたいのですが、今回のショーで瀬央さんは白燕尾を身に纏ったり、 大劇場では背負わなかった大きな羽根を背負っていらっしゃいました。

 凪七さんと同様、大きな羽根を背負って出てこられた瞬間、「我が人生に一生の悔いなし」と感動してしまうくらいには眩しく感じましたし、感無量だったわけなのですが。


 そう。瀬央さんが大きな羽根背負っていらっしゃったんですね。


 今まで背負せてもらえなかった大きな羽根を背負って登場されたんですよ。
 さらには、デュエダンの頃合いに瀬央さんが白燕尾で登場され、そこが瀬央さんの見せ場になっていたわけです。

 そして『1789 』はサヨナラショーが出来る日程だと公演日程発表時からざわつかれていて、つまるところ、 「瀬央さんが退団されるんじゃないか」 というざわつきが、劇場のトイレに並んでいても聞こえてきたわけです。


 (余談ですが、 トイレに並んでいる逃げ場のない時にジェンヌさんや組への悪口が聞こえてくるのが本当に嫌で嫌で仕方ないのですがなんとかなりませんかね……。みんな誰かのファンなので、ちょっとその辺の配慮をお願いしたいと切に願っています。)



 率直に申しまして、果たしてその会話は、宝塚ファンはもとい、瀬央さんのファンもたくさんいらっしゃるだろうトイレ待ちの今このときに話す内容なのか?と、わたしには疑問しかなかったのですが、まあそれは置いておいて。


 個人的に『1789』にて瀬央さんが退団されることには首を傾げるばかりなんですよね。それはひとえに、瀬央さんに退団して欲しくないという気持ちゆえかもしれませんが、今? と首を傾げてしまいます。


 そしてただ単に、「退団餞別なら、瀬央さんの別箱主演公演が良い」んですよ。


 去年、瀬央さんは『ザ・ジェントル・ライアー』にて東上初主演を果たしましたが、バウホールの方はコロナで中止となってしまう辛い出来事がありました。


 もしも本当に退団餞別なら、公演中止のリベンジとして、今度こそ完走できるようにという願いを込めた別箱主演くらい、担わせてくださると思うわけですよ。


 今回は凪七さん主演と言えど、お芝居ショーともにかなり大きな立ち位置に瀬央さんはいらっしゃいました。いらっしゃいましたが、どれだけ出番が多くても、それでもやっぱり「餞別なら別箱主演じゃないと嫌だ」と。そう思わせてくださるほど、瀬央さんは星組に貢献してきてくださったお方です。


 『1789』の集合日まで確かなことは誰にも分からないですし、宝塚は発表があるまで何が起こるか分からないことは百も承知なのですが、わたしは「羽根も白燕尾の見せ場も餞別なのではなく瀬央さんの努力と実力で勝ち取ったものであり、退団とは関係ない」と考えたいと思います。


 なのでわたしは深く考えずに、今回の全国ツアーを楽しませていただく所存なのですが、主演である凪七さんの愛と包容力が素晴らしく、その上で星組生がのびのびと舞台を彩っていることが客席に伝わってきて、本当に心地よくて楽しい全国ツアーにぴったりの公演でした。


 千秋楽でもある福岡市民会館は、まだ宝塚公式でもぴあでもチケットがゲット出来ますので、気になるなあという方々は、ぜひぜひチケット販売状況をチェックしていただけたら幸いです。



 それでは、凪七さんと星組生の化学反応が素敵な星組全国ツアー 『バレンシアの熱い花』 『パッション・ダムール・アゲイン!』が、元気と健康に恵まれ、千秋楽まで無事走り抜けられますことを心の底より願っています。



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