ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

トップ娘役不在発表を受けての個人的な思いの話

 昨日のトップ娘役を置かない発表を受けて。


 ことなこ好きとしては礼さんの正式な相手役が舞空さんだけであることにはエモさを感じるし、礼さん率いる星組が変わらず素晴らしい舞台を届けてくれると確信もしていますが、トップ娘役が置かれないこと自体は個人的には芳しく思いません。


 ので、そのことについて一応記しておきたいのですが、まず、トップ娘役を置かない理由は「ことなこを唯一無二にするため」であってはなはないんですね。


 というのも、トップ娘役が不在ということはことなこが唯一無二であり礼さんにとって舞空さんが特別な存在なんだ、という方程式を昨日からよく見かけます。


 でも、私はその方程式が理由で星組次期トップ娘役が置かれないなら、「いや、トップ娘役就任させてやってくれよ」と思います。


 だって、例え後任が置かれても置かれなくても「ことなこ」が唯一無二であったことには変わりはないじゃないですか。


 「後任が置かれないから礼さんにとって舞空さんが特別」だった証になるわけではなく、「後任が置かれても礼さんにとって舞空さんは特別」なわけです。

 何年も一緒に組を率いる立場であり、一緒に高め合ってきた二人の舞台を見て、それは充分感じ取って参りました。



 そのうえで、舞空さんは礼さんと同時退団ではなく先に退団することを選んだわけであり、礼さんもそれを止めなかった。それならば、後任はいてもおかしくない。むしろ、宝塚のシステム的には、星組娘役たちのためにも後任は置くべきなんですね。


 そして後任を置いたところで「ことなこの価値が薄れることもない」わけです。



 そもそも、トップスターがいない組なんて考えられないのに、どうしてトップ娘役は不在でもいいのか。こういうイレギュラーな瞬間こそ、「トップ娘役の価値は劇団の中ではまだまだ低いままなだろうな」と感じざるを得ないわけです。


 例えば、「トップスターを不在にします」って発表をしたら、相当クレイジーですよね。なぜなら、トップスターがいてこその宝塚だからです。


 私はそれと同じように「トップ娘役がいてこその宝塚」であってほしいわけで、トップ娘役を置かないことはクレイジーだと認識しています。

 
 瀬奈さんトップ下では、長いことトップ娘役不在期間があり、その頃在籍していた月娘たちが、「私たちは何かが足りなかったからトップ娘役に選ばれなかったのかな」という複雑な旨を退団後に吐露していました。


 ヒロイン的立場であっても他組の娘役のようにトップ娘役とは称されない。あのやるせなさったらないわけです。



 また、ここで朝夏さんに後任の相手役が置かれなかったときのお知らせを引用しますが、


 『実咲 凜音の退団後、固定的なトップ娘役は当面の間設けず、公演ごとに柔軟な配役を行って参ります。
 作品ごとに配役を行うことで、様々な娘役がそれぞれの個性を発揮し、バリエーション豊かで魅力的な公演をお客様にお届けして参りますので、今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。』


 以上のような内容でした。


 はい。今回の星組お知らせと全く一緒ですね。


 私はお知らせが全く一緒なことによって、この方針については期待値が薄くなっています。


 というのも当時の宙組において、公演ごとに柔軟な配役が施された記憶はありません。また、「作品ごとに配役を行うことで〜」も何も、実咲さんが退団した次の大劇場で朝夏さんも退団されたので、そんな機会すらなく。


 結果として朝夏さんの退団公演は上記の通りトップ娘役を置かずに実施されました。けれど、実質的ヒロインはトップ娘役候補でもあった伶美うららさんでした。


 しかしながら劇団は絶妙に、「この人はトップ娘役ではないんです」と念押ししてくる仕様にしていました。もちろんデュエットダンスもありませんでした。あれは正直、複雑な公演でした。




 私は基本的に、「宝塚はトップスターがいてトップ娘役がいるもの」だと思っています。トップ娘役を添え物だとか、そんなふうには思えません。


 なので、朝夏さんのとき、トップ娘役を置かないのならちゃんと、「トップ娘役を置かないのに納得できるような演目を劇団は持ってこいよ」と思ったわけです。



 例えばレミゼラブルという演目なんかを期待しましたよね。

 コゼット、ファンティーヌ、エポニーヌ。この3人のうち誰がヒロインなのか。これは悩ましく、観劇した人々の主観によって答えの違う作品なわけですから。


 けれど、結局そういう演目は回ってこなかった。



 朝夏さんの退団公演を見た感想は、(あの柔軟な配役のお知らせはただ端に、「トップ娘役を置きたくないんです」という劇団のメッセージを綺麗に装飾したものだったんだな……)でした。そしてそれと同じ文章が提示されたことで「これはただの定型文なのだな」と理解できます。



 そもそも、舞空さんというトップ娘役がいてもなお、ことなこは別箱で組まされないことが多かったのだから、トップ娘役がいたところで柔軟な配役を劇団はしていたわけですし……。(そのときにちゃんとことなこで別箱組ませてよって話だったのですが)


 
 そういういろいろが合わさり、過去、トップ娘役不在にさまざまな感情を抱いたことも併せて、トップ娘役不在は芳しいとは思いません。いろんな娘役がまた中途半端な扱いを受けるのは悲しいです。


 しかしながらトップ娘役不在は決定しました。なのでせめて、トップ娘役不在に納得できるような相応の演目が来ること、そして星娘たちが傷つかないこと、モチベーションが阻害されないような相応の理由がそこにあることを心の底より願いたいと思います。


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