初日延期という悲しみを乗り越え、昨日無事に幕を開けた月組公演『グレート・ギャツビー』を、本日観劇させて頂きました。
マチネは通常公演・ソワレは加美乃素さんの貸切だったわけなのですが、マイ初日でいきなりギャツビーをマチソワしてしまったわけなのですが。
極上の月組公演がまた新たに誕生してしまったな……と、心が熱く燃えています。グレート・ギャツビーの物語自体にはあまり心惹かれないのですが、月組の織り成すこの『グレート・ギャツビー』が素晴らしかったです。
幕開きとともに、1920年代のアメリカがそこにある、 とばかりの月組生のなりきり具合。
月城かなとさん率いる月組の安定感は、波のように下級生にまで広がっているのだな、と改めて思いました。
ひとりひとりが芝居のプロすぎて、あちこち褒めて回りたい……。月組に入ったらお芝居が上手くなる魔法でもあるのかって言うほど、下級生に至るまで「素晴らしい」の一言でございました。
こう、端の人物まで過去が見えると言いますか。その方の背景が見えてくると言いますか。それが上級生から下級生に至るまで波及していて、まさにノンストレス。
1920年代という時代背景もあり、共感しにくい登場人物であふれているわけですが、 「共感できないから面白くない」なんて陳腐なことを言って敬遠するには勿体ないほど、 最高品質の役者が揃った舞台だな、と感じました。
デイジーを愛するが故に、良い意味で一途、悪い意味で執着的な男、ギャツビーを演じる月城かなとさんの芝居の安定感たるや。
また、沢山のスーツがどれも似合う似合う。何度も主題歌を歌われるのですが、最後に歌う「朝日の昇る前に」が本当に絶品で、暫く余韻に浸りたいほど素敵でした。
絶世の美女であり、ギャツビーに一途に思われる海乃美月さんは、若かりしデイジーの白い衣装のときが可愛くて可愛くて。その若かりしときに歌う「女の子はバカな方がいい」にて、あふれ出るような感情が痛いほど伝わってきて、個人的には本作のギャツビーの中で一番好きな歌です。嫌な役だと言われるデイジーを真正面から演じる海乃さんは流石の一言でした。
きちんとしたキャスト別感想は長くなるので後日改めて記すのですが、トップコンビはもちろんのこと、鳳月杏さん、風間柚乃さん、彩みちるさん、天紫珠李さん、光月るうさんをはじめ、 「ぴったりのハマり役だと思わせる上手さ」がそれぞれあって、本当に魅せられました。一人一人について長く長く語りたくなる素晴らしさでした。(後日記させてください)いやはや、本当にすごかった……。
いや本当……こんなに素晴らしいか……と、いつまでもいつまでも拍手していたかったです。物語自体の内容は、わたしは本当に好みではないのですけれど、月組生の役者魂が光っていて、見ていてとても楽しかったです。
また、大勢の場面も多くて、2階センターブロックでの観劇をお勧めしたい……ってなりました。見応えが凄いです。
あと、新人公演を卒業している月組生たちそれぞれの見せ場をしっかり作ってくださった小池先生に感謝を述べたいです。ありがとうございます。
まだ観劇していない方も多いと思うので、あまりお話の内容には触れずにフィナーレの話をさせて頂くのですが、歌唱指導の鳳月杏さんから「ま〜〜〜最高!」のフィナーレがはじまるわけですよ。ソロでオーソドックスな鳳月さんの歌は本当に絶品ですね。
ロケットはお衣装も可愛かったですし、たくさんの下級生に見せ場があって、笑顔もきらきら輝いていて素敵でした。
また、小池先生 × 月組は、大人格好いいフィナーレをつくるイメージだったのですが、 月城さんを中心とした娘役群舞がとっっってもかわいくて、ギャツビーの報われない物語の最後にこんなにきゅんとするとは思っていなかったです。
かわいくて、爽やかで、何度でもリピートしたかったです。かわいいは正義!
それから、 羽山先生の振付で男役群舞があるわけなのですが、 珍しいジャケットプレイの男役群舞。ジャケットを着る時にそれぞれがピックアップされたりと、目がふたつでは到底足りなかったです。格好良い……っ!
デュエットダンスは赤い衣装を纏ったトップコンビの、「これが宝塚のデュエットダンスです」の見本のような美しさでした。
宝塚ではよくある衣装でも月城さんと海乃さんには新鮮な衣装で、とても似合っていて「こういうのが見たかった……!」になりました。
派手なステップやリフトがあるわけではないのですが、優雅に、エレガントに、そして麗しく魅せる落ち着いたデュエットダンスが、とてもとても綺麗でしたし、「魅せ方が綺麗だなあ」と恍惚としました。
エトワールは一乃凛さんで、相変わらずとても綺麗な歌声でした。ロマ劇の際に休演されていてとても寂しかったのですが、こんなに美しい歌声を響かせてもらえて本当に嬉しかったです。
また、礼華はるさんが彩みちるさんと天紫珠李さんと階段を降りてきたときには驚きつつも、とっっっても嬉しかったです。礼華さん階段下りデビューおめでとう!
礼華さんはよくダンスシーンに出演しているのですが、異次元のスタイルを活かして踊る様子がとても素敵なので、是非探してみてください。(手足が長く、顔がとても小さいのですぐに見つかると思います)
月組大劇場デビューだった彩海せらさんは夢奈さんと蓮さんと階段下りしたのですが、同じく新人公演主演経験者の英かおとさんが階段下り出来なかったことが個人的には切なかったです。
だけれど、英さん、本編で大活躍でしたし、真ん中からではなくてもキラキラの笑顔で降りてきてくださっていたので、センチメンタルにはならないようにしておきます。本編でピアノ弾きをしているので良かったら注目してみてくださいね!
過去の『グレート・ ギャツビー』とはまた違う、新たなるギャツビーだったのですが、最高品質で極上の舞台でした。それは、月組生と、専科のお二方の役者魂が、舞台の端々に感じられたからだと思います。
月組の皆様のお芝居に向ける情熱をひしひし感じ取れる、新たなる『グレート・ギャツビー』。
本当に素敵で、本当に素晴らしかったので、ひとりでも多くの方がこの舞台を観劇できたらいいなと思いました。
観劇したばかりで、興奮していて、何も記せていない感想にもなっていない感想になってしまいましたが、「月組が大好きだ!!!」の気持ちが更に強まりました。本当に素晴らしかったです。
こんなにも素敵な舞台が、どうかどうか中止になりませんように。東京大千穐楽まで完走できるよう、心の底より願っています。