ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

稲葉茶と体感を通した月組エトワールの話


 月組公演 『Deep Sea -海神たちのカルナバルー』のエトワール役替わりも早4人目。


 現在(2月23日 (木・祝)~2月28日(火)) は、 月組の歌姫、咲彩 いちごさん ( 104期)がエトワールを担っています。


 『川霧の橋』での主題歌影ソロ、 『FULLSWING!』 での代役エト、その他公演ごとに美声を披露してくださる咲彩さんのエトワールは、それはそれは美しくて、大劇場がうっとりと、その声色に恋をしてしまうかのような素晴らしさです。


 天愛るりあさん→白河りりさん→桃歌雪さん→咲彩 いちごさんと続いてきている役替わりエトワール。
 まだ順番が回ってきていないのは、3月2日から千秋楽までを担うきよら羽龍さんのみとなりました。


 ということで、そろそろエトワール役替わりを体験して感じたことを記しておきたいのですが、体感したこととともに、「先日開催された憧花 ゆりのさん(元月組娘役・組長・現宝塚ホテル支配人)のトークイベント、【ゲスト稲葉先生回】」にてうかがったお話も引っ張り出しながら記させていただこうと思います。



 まず、エトワール役替りを実際に客席で体感して、「この取り組みは、今後全組に広がってほしいな」 と。 いちファンとして、純粋に心の底からそう感じました。


 決定当初、この役替わりに懐疑的な方や、あまり賛同していない方も見受けられました。

 何かのテストなんじゃないかと疑っている方もいらっしゃいましたが、わたしは純粋に、「この素敵な娘役さんたちを、日程は限定しても、たくさんの人に見てもらいたい」という稲葉先生の純粋な愛情だと感じるに至りました。


 そして、トークイベントにて、さまざま多岐にわたるエピソードが繰り広げられたのですが、その中で今回のエトワール役替りについてのお話もありました。


 「事前オーディションで選ばれた5人中5人ともが、最終オーディションにて『絶対にエトワールをゲットする』という強い気持ちがあって、そういうポテンシャルを育む土壌が今の月組にはあって、そして最終オーディションで選びきれなくて役替りにした。今回のエトワールは5人5色で本当に素晴らしい!(要約)」と稲葉先生が熱弁してくださいました。


 また、抜擢された人に対する次公演の考え方など、ジェンヌさんたちへの愛が深すぎて、すべてをここに記すには長くなりすぎるので割愛させていただくのですが、本当にお話の隅々に至るまで感動いたしました。憧花さん、稲葉先生、素敵なお話をありがとうございました。



 いやはや、もちろんですよ。もちろん、ジェンヌさんたちがエトワールだけではなく、お芝居やショーの中身で活躍できるのが一番良いことだとは分かっているんです。


 分かっているのですが、 1組最低でも70人以上の出演者がいる中で、とりわけトップスター、トップ娘役、2番手男役、3番手男役と、「この人たちの出番はこのくらいは絶対に必要だよね」 という分量が宝塚にはあります。


 さらには、新人公演主演を担った男役、新人公演ヒロインを担った娘役 、 管理職や上級生など、出番が振り分けられる 「見えない順位」 なるものが、宝塚のシステム上、否応なしに発生いたします。


 今回、エトワールを担っている桃歌 雪さん、天愛るりあさん、 白河 りりさん、きよら羽龍さん、咲彩 いちごさんの5人の中で、新人公演ヒロインを担っている白河さんときよらさんは、毎公演しっかりとした役があり、その美声を、楽しみにしている方々は多くいらっしゃいます。


 役が少ない演目ならば、実力も知名度もあるこのふたりに優先的に歌唱場面が与えられることは、誰もが納得するほど、おふたりは素敵な歌声を持っています。


 ですが、新人公演ヒロインを担っていなくても、歌の上手い娘役さんはたくさんいらっしゃいます。

 でも、役が少ないから、複数人コーラスにはいらっしゃるけれど、優先順位によって、なかなかソロ歌唱の出番は回ってこない。お芝居だけでなくショーに至っても。


 これって、本当に、とっても勿体ないことだと思うんですよ。


  上手いのに、出番がなくて、見つけてもらえない。

  「生徒さんを応援するシステム」で成り立っている側面のある宝塚にとって、「ひとりでも多くのジェンヌさんにひとりでも多くのファンがつく」ことは、とても大切なことですし、生徒さんにとっても、「自分を見てくれている人がいる」というのは、何よりのやり甲斐になってくると思います。


 エトワールという注目されやすい場所で、見つけてもらいやすいポジションで、その実力を発揮できることは、そのジェンヌさんのこれからの宝塚人生にとって、絶対にターニングポイントになると思いますし、注目されやすいポジションだからこそ、舞台度胸も備わります。


 お芝居やショーの中で、 娘役さんや下級生たちにもきちんとした役割がある。
 それが一番良いことではあるのですが、どれだけ願っていも、たくさん在籍しているジェンヌさん全員を活躍させることは、どの演出家の先生であってもとても困難なことです。

 そして、それを分かっているからこそ、素敵な歌声を持つ娘役さんたちに、役替わりの出番を与える。

 今回は「5人の月組娘役さんたちのポテンシャルの高さゆえ選びきれなかった」ことが理由ではありましたが、結果的に宝の持ち腐れをしないその取り組みは、本当に素晴らしい発想だと思います。



 また、今回の取り組みで改善してほしかったのは、「エトワールの役替わりはチケットの先着販売前くらいには教えて欲しい」ことでした。

 チケット完売後の発表だったので、残念ながら桃歌雪さんのエトワール回のチケットを持っていなかったからです。


 しかしながら、トークイベントの稲葉先生の話で、その点に関してもお話がありました。


 「どうしてもエトワールのオーディションはお稽古の終盤頃になってしまう。なのでチケット完売後の発表になってしまった。5人をオーディションして選びきれずにその日にプロデューサーに役替りを相談してプロデューサーさんも上と掛け合ってくれて、その日の夕方に公式HPで発表というハードスケジュールだった(要約)」ことが判明したのです。


 最終オーディションのその日に役替りを決定し、公式HPで発表するという仕事の速さに脱帽しつつ、何も知らない人間が我が儘言ってで申し訳ありませんの気持ちになりました……。

 桃歌さんエト回は東京に駆けつけさせていただきます!



 さてはて、5人5色のエトワール。

 稲葉先生の話を聞き、告知が遅かったことには大納得したのですが、「円盤に全員のエトワールを特典として収録して欲しいな〜」という願いは捨てきれなくてですね。(我が儘で本当にすみません)


 恐らく、 ① 「天愛さんのエトは大劇場初日映像で」

     ②「桃歌さんのエトは円盤で」

     ③ 「きよらさんのエトは大劇場千秋楽映像で」

     ④ 「咲彩さんのエトは東京初日映像で」

     ⑤ 「白河さんのエトは東京大千秋楽映像で」


 と、スカステと円盤を駆使することによって全員分のエトを拝見できる仕様になっていると思うのですが。

 このままでは①と④のフルバージョンが映像として残らないことになるので、円盤で特典として入れてほしいなあ……と。

 わがままだとは自負しているのですが、 せっかくの晴れ舞台、 そうなってほしいなあと願っています。



 最後に。わたしは、現時点で天愛さん、白河さん、咲彩さんのエトワールを客席にて傾聴させていただきましたが、 同じ歌なのに、それぞれの歌い手によって、こうも受け取り方が異なって来るのかと、新鮮な体験がとても楽しいですし、どの娘役さんもとても楽しそうにエトを担っているのが、観ていて本当に幸せです。


 ショーの休演から復帰したきよらさんのエトワールも、東京で聴けると信じている桃歌さんのエトワールも楽しみで楽しみで仕方がないのですが、今回の取り組みがたくさんの方に支持され、オーディションで選べない際には、全組でこのような役替わりが実施されますことを、1人でも多くの娘役さんたちの活き活きとした笑顔がこういった取り組みによって報われ続けますことを心の底より願っています。


 稲葉先生、トークイベントでの素敵なお話をはじめ、行動力に長けた素敵な取り組みを本当に本当にありがとうございました!



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