ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

少しでも役に立てたらと思いまして……。


 まずはじめに、本日雪組『ALL BY MYSELF』 が初日を迎えました。

 雪組リサイタルチームの皆様、初日の幕開けおめでとうございます!

 my初日はまだまだ先なのですが、無事に千秋楽まで走り抜けられますように。観劇できる日を楽しみにしています!





 そしてここからが本日の本題でございますが、私は今回の月組公演2本立てが大好きなんですね。


 しかしながら、『Eternal Voice 消え残る想い』 を初めて見たとき、(月組生のお芝居は最高だけどなんかわからないまま終わってしまったな???)という気持ちになりました。


 ですが、歴史的背景や宗教問題を勉強したうえで観劇すると、 (え、この作品、めちゃくちゃ面白いよね???)ということに気づけてしまいました。


 けれどもお芝居終わりの幕間中、 「わからなかった」 と 「眠かった」 の感想をやっぱり何度も耳にします。月組生のお芝居を見てほしい人間としては、寝られるのが本当に本当に切なくて……。


 けれど私は1回目の観劇のとき、「わからなかった」と思った側の人間だったので、なんか難しいよね……と共感もしてしまうわけです。


 だけど、こんな私でも話を理解して「面白い」って思えるようになったので、少しでも 「わからなかった」誰かに届けばいいなと思い、 付け焼き刃ではありますが、 ざっくり 「知っておいた方がいいこと」をここに記しておきたいと思います。





 今回の舞台はヴィクトリア女王 (梨花さん) 統治下のイギリスです。


 しかしながら、 まずキーポイントになるのは、そこから200年以上も前に生きた 「メアリースチュアート」( 白河りりさんの役)なんですね。


 逆に言えば、 メアリースチュアートのことを知ったら、この物語はグッと分かりやすくなります。



 ということで、勝手に語るのですが、イギリスが「南のイングランド王国」と「北のスコットランド王国」とに分かれていたころ。


 メアリースチュアート(りりちゃん)はスコットランド王である父が急死したことにより、生後6日で「スコットランドの女王」になります。


 まだ幼く、いつ拉致され政治利用されてもおかしくない状況だったメアリースチュアートを、母は自分の母国であるフランスへ逃がします。


 そのためメアリースチュアートは「スコットランドの女王」でありながら「フランス」で暮らし、熱心な「カトリック信者」として育ちます。


 そのまま15歳でフランス王太子と結婚し、フランス王が亡くなったため、16歳でフランス王妃になります。


 しかしながらわずか数年で夫は他界。亡き夫の弟がフランス王になることも決まり、メアリースチュアートはスコットランドに帰る選択をしました。


 その後、さまざま大変なことがあれど、メアリースチュアートは23歳のときにイングランドからやってきたダーンリ卿と結婚。息子が生まれます。


 しかしながら「ダーリン卿」は暗殺されます。


 それからまもなく、メアリースチュアートは「ボスウェル伯」と結婚します。


 ですが、ボスウェル伯は「ダーリン卿を暗殺したのではないか」と疑われている人物でした。


 メアリースチュアートがその男と再婚したため、メアリースチュアートにも非難が集まります。


 そして王殺し討伐のための内乱が起きます。


 メアリースチュアートは夫と共に逃げ出しましたが、捕まります。

 そしてメアリースチュアートは、スコットランドに残した自分の息子※に王位を譲る書類に無理矢理サインさせられます。


 反乱軍に敗れたメアリースチュアートは、遠縁であり、イングランドの女王である【エリザベス女王】の助けを求めてイングランドに亡命します。


 ここで大切なことなのですが、「メアリースチュアートはおじいちゃんがイングランドの王だったので、イングランド王位継承権」を持っています。


 そんなイングランドでは「プロテスタント」と「カトリック」の宗教対立がありました。


 エリザベス女王の前の女王は「熱心なカトリック信者」であり、「プロテスタントを迫害」するなど、残虐非道な行為を繰り返していました。ので、エリザベス女王は即位してすぐに宗教改革に取り組みます。


 エリザベス女王カトリックではない。けれど、極端なプロテスタントでもない。


 その結果、イングランドは穏便な「プロテスタント国家」として落ち着きをみせはじめます。


 ですがそこに、「カトリック信者であるメアリースチュアート」がやってくるわけです。しかもイングランド王位の継承権を主張できる存在が。


 「カトリック復権」をもくろむ勢力は、エリザベス女王ではなく、「熱心なカトリック信者であるメアリースチュアート」を担ぎ出そうとします。


 ここで、「プロテスタント派のエリザベス女王」と「カトリック派のメアリー・スチュアート」という対立関係が浮かびます。

 
 「カトリック信者であり、王位継承権を持つメアリースチュアートの存在」はとても厄介だけれど、追い出すわけにもいかなかったエリザベス女王はメアリースチュアートを幽閉します。


 そして、カトリック復権を狙う勢力によって、エリザベス女王に危害を加えるようなさまざまな陰謀事件が起きます。


 カトリック信者たちの盛り上がりを恐れた家臣たちはメアリースチュアートの処刑を支持します。


 かつてはスコットランドの女王であったこと。さらに遠縁ということもあって、エリザベス女王は長きにわたりメアリースチュアートの処刑をためらいましたが、最終的にメアリースチュアートを処刑することに決めます。


 その引き金こそが「バビントン陰謀事件」。「エリザベス女王を殺してメアリースチュアートを王位につけたい」と画策する事件のことです。


 この暗殺計画を担当したとされたのが「熱心なカトリック信者であった『アンソニーバビントン』」。

 このアンソニーバビントンとメアリースチュアートの手紙のやりとりが証拠とされ、メアリースチュアートは処刑されることになります。


 そしてもっと後のことにはなりますか、エリザベス女王は独身のまま亡くなります。


 そのため、「※」で記した「スコットランド王であるメアリースチュアートの息子」が、「スコットランド王とイングランド王を兼ねる」ことになります。


 その子孫こそヴィクトリア女王 (梨花さん) なのです!



 ……どうでしょうか。ここまででも少しは参考になったでしょうか。



 そしてここからはネタバレを含んだ話をします。





 ということで、みちるちゃんの言う、「親愛なるアンソニー!」は暗殺計画の首謀者とされてしまったバビントンアンソニーのことだと思われます。


 みちるちゃんとあみちゃんはこの「アンソニーの末裔」。


 アンソニーのためにヴィクトリア女王を呪い殺そうとするけれど、先述した通り、「ヴィクトリア女王はメアリースチュアートの息子の子孫」なので、じゅりちゃんがみちるちゃんとあみちゃんに 「馬鹿ねえ」 って言っていたのはこのあたりの歴史を知らなかったから。

 
 また、ヴィクトリア女王梨花さん)は夫であるアルバートをとても愛していました。


 けれど、アルバートは42歳の若さで亡くなります。ヴィクトリア女王の悲しみは大きく、何年も隠遁(俗世間を逃れて隠れ住むこと) 生活をしていたとされています。


 ので、みちるちゃんたちの呪いでヴィクトリア女王が隠遁していたのかどうかは神のみぞ知る……。

 れいこさんとうみちゃんを讃えるときも、ちゃんと喪に服したような黒色の格好だったので、この作品のヴィクトリア女王も愛ゆえの隠遁であったのでは? と私は思っています。







 整理するとこの物語は、「宗教の対立などによって争いをするべきではなかったこと」を死ぬ寸前後悔するように打ち明けるメアリースチュアート(りりちゃん)を軸として、

 メアリースチュアートのその気持ちを「この命消えてもその想いだけは残し、そして語り継ぐ。女王様の空虚を満たすために……」と決意する侍女アンナクリフトン(泉里ちゃん)。


 そしてそのアンナクリフトンの末裔がうみちゃんであり、不思議な力はその思いを受け継ぐためのもの……。


 王室不要論を掲げ、カトリック総本山のバチカンを後ろ盾にカトリック復権を目論む人たち(ヴィクトリア女王が5年も公務についてない事実も自分たちが有利になるよう降霊術を用いて利用しようとする)によって、再び宗教戦争が起きてしまうかもしれない恐怖を訴えるメアリースチュアート。


 彼女の遺品に触れたことによりその想いを、れいこさんとうみちゃんは果たして聞き取ることが出来るのか……。そしてその争いを無事に防ぐことは出来るのか……。


 というのがざっくりした流れだと思っているのですが、


 メアリースチュアートとアンナクリフトンのやりとりが終盤にあったり、うみちゃんがアンナクリフトンの末裔であることも最後らへんで教えてくれる仕様なので、何かを聞き逃すと訳が分からなくなってしまうんですよね。笑


 初めて本作を見たとき、「なんでうみちゃんが心臓掘りに来たんだ?」「うみちゃんはいつれいこさんを呼んだんだ?」「カトリックがなに? プロテスタントがなに? え、なになになに??? 待ってみんななに???? あれ、なんで急に表彰されるんだ???」みたいな感じになったんですよ。私の頭がついていけなくて。


 でも、ちゃんとうみちゃんはぱるくんにメモを渡していたし、心臓が埋められたときの夢を見たってうみちゃんはちゃんと話しているし、2回目見たときの、「私が理解できてないだけだった……!」のあの衝撃は忘れられません……笑



 いや〜説明が下手で申し訳ないのですが、最高の月組お芝居が「眠かった」で見逃されるのは本当にさみしいので、ちょっとでもこの物語が分かる手助けになったらいいな……と思い、記しました。もしも間違った記述があったら本当に申し訳ありません。


 最後まで読んでくださった方がいらっしゃれば、拙い説明についてきてくださりありがとうございました! ひとりでも多くの月組ファンの人がこの作品を楽しめますように祈っています。




 そして! 本当にわたくしごとですが! 世界一大好きな貸切公演である加美乃素さん貸切に当たっていました!!!


  すべての抽選と貸切にハズレた……と思っていたら最後の最後に世界一大好きな貸切公演が当たって本当に幸せです! 大切に見ます! 加美乃素さん本当にありがとうございました!!!!! 今週の月組公演も楽しみです!!!!!




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