ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

星組『ディミトリ』を5回観ての感想


 暁さん星組大劇場デビューなので、できる限りチケットを取っているのですが、『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』および『JAGUAR BEAT-ジャガービート-』の観劇回数もいよいよ5回目を迎えました。


 5回観てもなお、ショーに余韻が持っていかれがちで、なかなか感想を記すタイミングを逃していたのですが、大好きすぎるディミトリの感想をようやっと記させていただきたいと思います。



 いやはやこの物語、まずは星組組長である美稀 千種さんの「物乞い」を語らずにはいられません。


 見た目も演技も抜群に素晴らしくて、美しい舞台において異端者のように目立つ「不気味な物乞い役」。 そしてこの物乞いこそが、 ディミトリという物語のストーリーテラーを担われます。


 よくある 「達観した仙人のような老人」ではなく、もっと謎めいて、不気味で、それでいて「戦いが起こる世界でも生き残ってしまえた人間感」があって、異質なはずなのに浮かないその存在が、 本当に見事でした。

 ディミトリの物語を味わい深いものにする役割を一身に担っているほど、その不気味な所作や佇まいが素晴らしいです。

 冒頭をはじめ、要所要所でわたしたちに物語を把握させるストーリーテラーとして、声色を変化させても台詞も明瞭で、 本当に物語にグッと引き込んでくださる素晴らしい役柄でした。



 また、物乞いと同じく、冒頭をはじめ出番のあるリラの精。 小桜ほのかさん、瑠璃花夏さん、詩 ちづるという星組の素敵すぎる娘役3人が紫の衣装を身に纏い、歌い、喋り、 踊るわけなのですが。 この三人の声色がまあ〜〜〜綺麗。


 物乞いとリラの精という、メインキャストではない部分、からもうすでに素晴らしい舞台なので、 観客の皆様には開演までのご着席を絶対にお願いしたいです。



 また、主人公のディミトリなのですが、 わたしは礼さんの「さわやかさのある歌声」 が大好きで、 ディミトリという優しき男から聞こえるさわやかさのにじむ歌声の素晴らしさが本当に良かったことをまず声を大にして言いたいです。

 生田先生のお芝居は 「歌」がかなり多いですが、 喜びも悲しみも苦しみもにじんだ様々な楽曲をすべて歌いこなされていて、(あ〜素敵すぎる〜) の気持ちで客席にて満たされていました。


 一番好きなシーンは、ディミトリの帰る場所がなくなってしまう、けれどそれでも愛する土地の為、愛する人の為、やらなければならないことがある、と前を向くシーンなのですが、いや〜も〜本当に「良い」んですよ。あのあたりの礼さんディミトリ、愛するものを守りたいひとりの人間として本当に格好いいです。



 そして、舞空さん演じるルスダンもディミトリに帰る場所がなくなってしまうと気づいてしまうところが本当に良くて……離れていてもそういう「事実」に気づいてしまうあたり、ルスダンのディミトリへの想いも感じ取れて最高でした。


 舞空さんはかわいらしいお顔立ちなことと、若くしてトップ娘役になったこともあり、少女のような役の方が似合う印象がありますが、大人になったルスダンが、まあ〜〜〜とっても素敵で、 エリザのシシィがルドルフを亡くすシーンを演じてほしいほどには、 「大人になってしまってからのルスダン」が大好きです。

 原作ではルスダンが主人公なこともあり、礼さんと同じくらいの出番がありますが、それに応える素晴らしい熱演でした。、



 そして、途中から登場してくださる亡国ホラズムの王、 瀬央さん演じるジャラルッディーンについてなのですが。 これがまあ〜はまり役で、もう瀬央さんの役柄の中でも1、2を争うほど素敵で、渋い演技が良すぎて、「落ち着いた大人の男」を得意な役柄として記してくださいとこっちから頭を下げたくなるほど良くてですね。 もう、物語が締まる締まる。


 一見怖そうな人かと思えば、それだけではない器の広さのある役柄。畏怖さを大袈裟に誇っても、かと言って優しそうな人に見えてもダメなジャラルッディーン役は塩梅がかなり難しいと感じる役柄に思うのですが、「ちょうど理想ど真ん中」のジャラルッディーンを魅せてくださり、なんだか良い塩梅すぎて感動してしまうほどでした。

 今回の演目は、瀬央さんの存在無くしては成り立たないと思えるほど、 頼りになりすぎる演技力だと改めて感じられました。


 また、ジャラルッディーンに仕えるアン・ナサウィー役を天華えまさんが演じているのですが、 これがまた素晴らしいほど台詞が明瞭。 本当に器用になんでも演じられるジェンヌさんだなあと感じ、瀬央さんと一緒に披露される歌声もとても素敵でした。



 アヴァク・ザカリアン役の暁千星さんは、 ギオルギ王だけに仕えるソングが本当に大好きなのですが、 やはりなんと言ってもジョージアダンスで踊る姿(戦いのシーン) が本当に格好いいです。

 回るたびに裾の広がる衣装も素敵なのですが、 桜嵐記などの格好いい戦闘シーンに暁さんは不参加だったので、 戦っている暁さんをこれでもとばかりに目に焼き付けました。戦うジェンヌさんたちはやっぱり格好いいです。



 さらには、綺城さん演じるギオルギ王と有沙さん演じるバテシバの存在感、はたまた本作でもう大ファンになってしまった藍羽 ひよりさんのタマラ王女。 「美しすぎることに説得力がありすぎる」 美しすぎる極美さんのミヘイル。


 語りつくせない、語りつくせない良さがあちこちにあるからこそ、上手く感想をまとめられずに頭を抱えてしまいます。良かったからこそ、「良い!」という感想になってしまうんですが、本当に全てが良くて素晴らしい舞台で、たくさんの人に宣伝して回りたい気持ちでいっぱいです。


 また、「ディミトリの足跡」 を 「前半 ・ 半ば ・ 後半の三ヶ所」で見事に活かしてくるのですが、「ピックアップされる台詞に意味がある物語」は本当に素敵だなあとしみじみ感じました。


 時間の制約もあり、舞空さんルスダンと極美さんミヘイルのとあるシーンに 「え???」 と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、 それ以外は本当に引っかかる部分もなく、そして分かりやすく、さらには歌やダンスの素晴らしさも相まって、たくさんの人におすすめしたくなる素晴らしい作品になっています。


 生田先生の舞台にしては舞台装置や色味が地味めではありますが、 それが大事な「紫」を映えさせ、 逆にこの物語の美しさを際立たせています。



 いや〜もう。 今の星組の皆さまが織りなす『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』、本当に本当に大好きな作品だなあと、観劇できる喜びを毎回毎回噛みしめています。



 感想を記すのが下手くそなので、良かった部分の100分の1も上手く言葉にできなかったことが悔しいのですが、どうかこの素晴らしき公演が東京大千秋楽まで完走し、ひとりでも多くの方の元に届きますことを心の底より願っています。


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