ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

月組全国ツアーマイ楽『ブラックジャック』感想


 本日は、月組全国ツアー公演 『ブラック・ジャック 危険な賭け』および 『FULL SWING!』福岡初日マチネを観劇させていただきました。


 福岡出身がピノコ役の美海そらさんおひとりなのですが、方言を使ったピノコばりに可愛らしすぎる挨拶をしてくださり、客席全員メロメロになりました。本当に可愛かったです。


 そして、その可愛らしさを真似て月城さんが裏声を使いながら挨拶してくださったのですが、本当に面白いトップスターさんすぎて客席中が笑いと幸せに包まれました。お芝居もショーも、そして挨拶に至るまで本当に最高でした。


 梅芸、広島と観劇させていただき、本日でマイ楽を迎えてしまった月組全国ツアー。
 楽しかった思い出がいっぱい出来たのですが、マイ楽も迎えたので改めてしっかりとした感想を記したいなと思います。



 今回はお芝居の方『ブラック・ジャック 危険な賭け』についての感想を記したいです。



 まず、舞台セットが漫画のコマ割りを意識していたり、モノトーンの衣装で纏められていたり、モノクロを基調とした漫画原作『ブラックジャック』という作品への敬意を感じられ、とても素敵でした。



 女王の手術に成功したブラックジャックについて、「ブラックジャックブラックジャック♪」と記者さんたちがバチバチに踊りながら歌うのですが、男役はもちろん、天紫さんや結愛さん、羽音さんを筆頭に、娘役がスーツでキレキレに踊っているのがまず好きすぎでして……。
 月組生の歌もダンスもまとまりも最高なところが凝縮されていてもうまずここをエンドレスリピートしたかったです。


 そして月城さんブラックジャックが歌う名曲「かわらぬ思い」は、客席全体が包まれる感覚が本当に素敵です。

 ブラックジャックの影役である一輝さんも一緒に歌われるのですが、梅芸のときよりも広島のときよりも福岡の方が安定感増し増しで、下級生の成長を実感できたことがとても嬉しかったです。影としてのダンスシーンは相変わらずすべてしなやかで美しかったです。


 今回、専科にて凛城 きらさんが出演してくださっているのですが、お芝居の方向性が似ているのか、ずっと月組にいらっしゃったかのような馴染み方で、また月組にいらしてほしいなあと感じました。


 凛城さんはスノードン卿という、海乃さんや風間さんの役の上司役なのですが、月城さんとの序盤の小気味いいやり取りが大変心地よかったです。ここのブラックジャックの捻くれ者っぽさがとっても大好きです。



 月城さんブラックジャックは、とってもクールな見た目なのですが、特に物語後半、からだの中に血肉が通っていることの分かる演技と言いますか。

 ブラックジャック先生はたくさんのことを経験しているため、物事に達観しているのですが、月城さんはこの達観の演技が本当に素晴らしいです。

 出会う人々の価値観を揺るがすセリフの説得力も凄いですし、「人の傲慢さ」や「命」について熱く語る姿勢、そしてクスッとしてしまうコメディ部分に至るまで、まるで漫画のようにあれよあれよと物語を引っ張っていってくださり、本当に頼もしかったです。

 月城さんはほとんど出ずっぱりなのですが、世界観を一度も壊さない佇まいが本当に見事で、ブラックジャック先生も見事に「ハマり役」だと言われるほど自分のものにしていらっしゃるなあと恍惚としました。




 海乃さんはアイリス中尉(本役)と恵(ブラックジャックの過去の想い人)の2役を演じられるのですが、ここの役の切り替え時間がとても短いのに本当に見事で、拍手したくてたまらなかったです。

 恵の出番は僅かなのですが、その僅かで伝わる娘役らしい美しさ。そして、アイリスの大人っぽくて弱みを見せない強情さもあるところがとても素敵ですごく似合っていました。

 月城さんとのセリフの掛け合いはいつも通り素晴らしかったのですが、今回は風間さんとの掛け合いもあり、海乃さんと風間さんというあまりなかった組み合わせがかなり素敵でした。

 また、海乃さんの紙を自然に落とす演技がうますぎて、なんで毎公演こんなに上手に紙を落とせるんだろうと尊敬していることがやっと記せたのですが、本当に上手いのでぜひ注目していただきたいです。




 風間さんは過去、頭に弾を撃ち込まれ、無茶をしてはいけない身体になったケインを演じているのですが、ナチュラルリアルな男の人というか、この世にある全ての正塚先生作品に出演して欲しいほどの似合いっぷりが本当にお見事でした。

 ケインがしている「賭け屋」やケインの「発作」によって物語が動くので、まさに今回のブラックジャックの中心人物なのですが、本当に上手くて素晴らしいです。

 月城さんとも、海乃さんとも、礼華さんとも、花妃さんとも、光月組長とも、誰とお芝居してもやっぱり上手いですし、また一段とお歌が上手くなったように感じられました。

 アイリスの手術中〜術後のお芝居のすべてが絶品すぎて、お芝居で魅せるってこういうことだよなあ、とその男くささすら感じる演技力に今日も魅せられました。




 礼華さん演じるジョイは風間さんと相棒のような友人のような関係の青年なのですが、礼華さんに「リア恋枠の青年を演じさせたら右に出るものはいない」ほどには、とても素敵な青年に仕上がっていました。

 特に、アイリスの手術中に花妃さん演じるローラとのやりとりがあるのですが、あそこの優しさの滲む声色と言い方が大好きで大好きで。
 リアル等身大ジェンヌさんだなあと感じましたし、コロスで魅せてくださるダンスがお上手でお上手で、品が漂ってくるような動き方が本当に素晴らしいな、と思います。



 コロス出演者は場面によって違うのですが、(ブラックジャックのシルエットの入ったコロスの服、とっても素敵ですよね)
 ライトの当たるときと当たらないときの差が激しく、特に下級生がコロスを演じているとき、舞台が暗めで素敵なコロスが見えない(そういう仕様だから仕方ない)ところもあって、自分の目が夜行動物のように暗闇も得意だったらいいのにと口惜しくなるくらい、どの月組生のコロスも素敵でした。



 そして、光月組長のサザランドと、朝霧さんのボーディと、天紫さんのジョアンは3人で一緒にいる役柄なのですが、この3人組のバランスがこれまた素敵なんです。

 リーダー的存在であるはずなのに3人の中で1番苦労するんだろうことが目に見えるサザランドと、この3人の中で何をやらかすか一番わからないやつだと思わせるボーディと、「パスワードがないとアクセスできなぁい」と、パソコンにしか興味なさげなジョアンの3人、クセの強い2人と自己肯定感の低いサザランドは一応敵役であっても、漫画に出てきそうな3人組感が醸し出されていて、本当に素晴らしかったですし、3人ともかなり好きな役柄でした。



 また、真面目に規律を守る女医のベリンダ役を結愛さんが演じられていたのですが、真面目で、クールで、仕事に真剣で、大人で、わきまえのある、大好きになる要素しかない役柄でした。

 結愛さんはダンスが上手すぎるあまり、ダンサーとして活躍しがちですが、お芝居もとっっっっても上手いので、今回のような見せ場のある役柄が回ってきて本当に嬉しかったです。



 また、結愛さんと同じ病院で看護師をしているヨランダ役を白河さんが演じていらっしゃるのですが、ブラックジャック先生のサインが欲しいミーハーな看護師を、これまたとっっっても上手く、そしてチャーミングに演じていらっしゃいます。

 お仕事には一生懸命で、だけど好奇心も強そうな白河ヨランダさんの動きやセリフのタイミングや声の大きさがバッチリで、コメディ部分も担っていて、本当に器用な娘役さんだなあとニコニコしてしまいました。



 ピノコ役の美海そらさんが可愛らしいことはもう決定当初からわかっていたのですが、要所要所で出てくる「先生と電話をする先生の奥さん気取りなピノコ」が本当に可愛いです。
 ピノコ役なのでセリフを崩しまくって喋らなければならないのですが、「何を言っているか全部わかる、滑舌の良い人にしか出来ない技」を意図も簡単に成し遂げていて、本当に素晴らしいなと感じました。
 美海さんはコロスでもしっかり踊っていらっしゃるのですが、本当にダンスも上手くて、それでいてあんなに可愛らしくて、これからもたくさん活躍してくださったら嬉しいなと感じます。




 そして、麗泉里さんのヴィクトリア女王様役なのですが、出番は少なくても凛とした姿が本当に女王様で、背景まで見えるような説得力が素晴らしかったです。
 綺麗な声が活きる役柄ですが、こういう娘役さんがいるから月組のお芝居はさらに素晴らしいんだと思わせてくださる、本当に本当に素敵なお芝居、そして素晴らしい存在感でした。
 


 本作、「命」というものをしっかり語るのですが、分厚いお芝居の中で、手塚先生原作のクスッとしてしまうエッセンスが脚本のあちこちに散りばめられています。

 そのエッセンスを料理する月組の皆様が「真面目に上手」と言いますか、大袈裟ではなく自然と、その「クスッ」と出来る瞬間を上手く体現してくださっていて、世界観を壊さないけれど面白みのある作品に仕上げてくださり、月組の皆様への信頼度が増し増しになりました。


 また、月組の皆様は全員台詞回しがうますぎるのですが、『ブラックジャック』という台詞の多い作品で滑舌と間のいい台詞回しをこれでもかとばかりに披露してくださり、それを浴び続けられる時間が本当に最高でした。


 月組のお芝居を観た後の(いいものを観たな……)と満たされる感覚が、本当に本当に心地良かったです。


 もう、通行人や職員といったメイン以外の役柄でも、下級生に至るまでの全員の役への作り込みが(月組を観たなあ! わたしは月組を観たぞ!)という感覚にさせてくださり、本当に素晴らしかったですし、大好きだなあと再実感しました。


 全ツverのショーも最高だったのですが、長くなるのでまた後日記したいと思います。

 日帰りだけれど、福岡に遠征に来てよかったなあ、と。そうしみじみ思わせてくださる、本当に最高のお芝居とショーでした。
 

 明日、12月4日(日)16:30公演では、ライブビューイング・ライブ配信が実施される予定なので、そちらもとっても楽しみです。



 楽しすぎて、今日がマイ楽だったなんて信じたくないのですが、月組全国ツアー公演 『ブラック・ジャック 危険な賭け』および 『FULL SWING!』が、12月7日の千秋楽まで無事に上演出来ますことを心の底より願っています。



 月組の皆様、最高に楽しい時間と、最高に楽しい思い出を本当にありがとうございました!



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