ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

やっと観れた月組『ELPIDIO』への感想&千秋楽おめでとうございます


 本日、月組公演『ELPIDIO』が、千秋楽を迎えられました。月組『ELPIDIO』組の皆様、千秋楽までの完走おめでとうございます。

 KAATにて初日から無事に幕開き、梅芸DCにて月組の皆様が今日という日までたどり着いたこと、本当に本当に嬉しく思います。



 さてはて、タイトル通りなのですが、昨日ようやっと月組公演『ELPIDIO』を観劇できました。

 ライブ配信も終了し、今日は千秋楽ということで、『ELPIDIO』がどんな作品だったか知っている方はたくさんいらっしゃると思うのですが、昨日初めて観劇させていただき、公演決定時に思い描いていた物語とは180度ほど違っていてびっくりしました。

 以下、本公演の下手くそな感想になります。



 今回の演出の先生である謝先生の作品には苦手意識があったのですが、今までの謝先生の作品の中で一番受け入れやすかったですし、純粋に面白いと感じました。

 当時のスペインの問題など、政治色もあり、物語自体は重厚で、少しメッセージ性の強さに辟易としそうなところ、物語のテンポの良さと月組生の芝居の上手さで、見応えと見易さを両立させた作品に仕上がっているな、と感じました。


 正直、脚本自体には(ん?)となるところもあったのですが、月組生たちの熱演と舞台技術でねじ伏せては良作となり、そしてなによりも想像よりも明るくて前向きな作品で、最後にハッピーエンドへ持っていくところもとても良かったです。


 ダンスの振りや脚本や曲などが良かったのはもちろんなのですが、「役の位置づけを自身がきちんと理解している月組生の適材適所なお芝居」があってこそ、この作品が「良い」となっているんだなあ、バランスのとれた舞台になっているんだなあ、と。しみじみ月組さんたちの身のこなしの素晴らしさを感じられました。



 本公演、月組のお芝居の上手いが凝縮されていて、全ツ『ブラックジャック』でもお芝居の上手さが凝縮されていたのに、「どっちの別箱もこんなにお芝居が上手いなんて本当に凄い」の気持ちで感動してしまいました。

 終演後は(とっても素敵な月組のお芝居を観たなあ……)の気持ちで恍惚としてしまい、シンプルに大満足でした。



 物語は基本的に「酒場 Camino」と「侯爵邸」の場面を交互に繰り広げつつ進んでいくのですが、場面によって出演メンバーが固定されているため話の流れも分かりやすいです。




 キャスト別感想として、まずは主演である鳳月さんについてなのですが。

 本作、鳳月さんが主演だからこそこの作品は成立したのだろうと思わせてくださる圧倒的な演技力を改めて発揮してくださいました。


 鳳月さんの演技には良い意味での「クセ」のようなものがありますが、今回もそれが「いい味」を出されていました。
 また、ロレンシオ、ロレンシオが演じるアルバレス侯爵、アルバレス侯爵本人という実質3役(いや4役かな?)を完璧に演じ分けていらっしゃって、(凄すぎる。それが普通に出来ちゃうのがすごすぎますよ鳳月さん……!) と、大感動してしまいました。


 さらにはまろやかな歌声、輝月さんとのデュエット、彩さんパトリシアとの恋模様、歌も踊りもギターの弾き語りもフィナーレでの色っぽさも最高で、とにかく鳳月さんの様々な見せ場がすべて最高でした。




 ヒロインであるパトリシアを演じられたのは彩みちるさん。

 月組に組替えされて初めてヒロインを演じてくださったのですが、気が強くて芯があり、だけれど柔らかさと温かさと落ち着いた品のある侯爵夫人パトリシアがとっても素敵でした。貴族であり奥様であると分かる所作が素晴らしかったです。

 あれもこれも御衣装が似合うことや、ますます美しくなられていたこと、本当に素敵な娘役さんだなあ。こんな大人っぽいヒロインが回ってきてよかったなあ、と思わずニコニコしてしまうほど、素敵な役柄でした。


 予想はしていたのですが鳳月さんと彩さんの相性は抜群で、素敵な主演とヒロインで素敵なお話を浴びれたなあ、ととても幸せな気持ちになりました。




 本公演、幕が開くまで分かりませんでしたが、 彩海さんがしっかり二番手役を担われていましたし、しっかり場面のあったソロもとっても素晴らしかったです。

 鳳月さんと彩海さんの絡みは本当に新鮮だったのですが、 彩海さんは初めて出演した月組の舞台 『ブエノスアイレスの風』のときから、本当に月組のお芝居への馴染み方が凄くて、今回の鳳月さんとのお芝居も、違和感どころかしっくりくるほどでした。


 個人的に彩海さんのお芝居が大好きなのですが、 ギャツビーでの新人公演を経て、 さらに歌が上手くなったと感じた彩海さん。 毎公演 「ひとつ前の舞台より頼もしく成長してる姿」がとっても素敵で、セシリオ役が完璧でした。




 また、この物語で欠かせない 「コメディ担当」としてご活躍された輝月ゆうまさんと蓮つかささんの演技が抜群に上手すぎて本当に面白かったです。


 輝月さんは専科からのご出演なので出番が結構あるとは思っていたのですが、蓮さんがナウオンに出演されないと判明したとき、(出番が全然ない役だったらどうしよう……)と頭を抱えながら不安を覚えていて……。

 ですが心配なんてなんのその、執事役として、鳳月さんと輝月さんと一緒にコメディ部分を担っていて本当に嬉しかったです。



 輝月さんは月組時代も専科生の今も本当に当たり前のように上手く、上手いだけではなく恵まれた体格で背中を向けているときでさえ格好良くて、本当に素敵な男役さんだなと思います。

 あと、鳳月さんとのデュエットも当たり前のように良すぎて、これからもたくさんの組でたくさんたくさんその素晴らしき舞台姿が拝見できたら幸いです。



 蓮さんは、頻繁に革命家や反社会的な役が回ってくるのですが、今回の執事役であるアンソロを大変キュートに演じていらっしゃってときめきましたし、すらっと美しい執事で惚れ惚れしました。

 蓮さんの慌てたときのセリフ回しの、普通の人がやったら絶対に聞き取れない台詞が耳に心地よく届いて笑いを生む技術が本当に素晴らしくて、宝塚のコメディ作品には全出演してほしいと思うほどには素晴らしすぎる口跡の良さ。
 『川霧の橋』 にて本当の江戸っ子のような声色とセリフ回しをされていた蓮さんですが、今回のセリフ回しも本当に最高で、蓮さんがこの先も月組の舞台で輝き続けることを願わずにはいられないほど、ますます大好きになりました。




 また、ベニータ役のきよら羽龍さんが相変わらず良すぎてまたもや虜になってしまいました。
 キュートできゃぴきゃびしていて、でもそれがキャラクターとして成立していて表情も豊かで、今回は元気な役柄でしたけれど、月組の娘役って感じが本当に最高でした。

 冒頭の歌も声量も最高です。かわいくてかわいくて、相変わらず声が綺麗でこういう役柄でも嫌味なくハマっていて、目立つ出番はあまりなかったですが、信頼と安定感が今回も爆発していて、とても印象に残りました。



 白雪さんと千海さんは酒場の場面で出てくるのですが、この上級生コンビがこれまた強くて上手くて頼もしくて。特に白雪さん、歌っても踊っても台詞回しも「良し!」な上級生娘役さんすぎて、本当に頼もしい限りでした。

 酒場にいる佳城さん、英さん、瑠皇さん、和真さんなどなど、上級生から下級生に至るまで全員のお芝居が良すぎてどうしたらいか分からなくなるほど良かったです。歌もセリフもダンスも最高でした。


 また、桃歌さんは歌の場面で重宝されることが多い娘役さんなのですが、ソロのフラメンコがとっても格好良くて素敵でした。 実力のある娘役さんが別箱公演でしっかり実力を発揮できることが本当に嬉しいです。 傍らでギターをひかれていた天つ風さんの目を惹く存在も本当に素敵でした。
 そして、彩海さん演じるセシリオのことが好きな蘭世さんが本当に可愛らしくて、歌もダンスもとっても華やかでした。


 さらには、ロメーロ大佐は上級生がやるような難しいお役だったと思うのですが、芸達者な柊木さんが本当に芸達者に魅せてくださり迫力もあって、(これがプロ……)と思わせてくださる仕上がりでした。 102期なのが未だ信じられない上手さです。


 104期の真弘さんの圧と凄みと迫力ある演技も大好きで、出番が少なくてもとびぬけて上手いので本当に心に残りました。彩音さんはダンサーとしてはもちろん、お芝居でも熱い役が回ってきて、フランシスコを幸せにしたい気持ちでいっぱいになりました。



 主演のお二人はもちろん、下級生に至るまで本当に本当に本当に役のつくり込みが素晴らしくて、大勢としての出番もあって、細かい部分にまで言及したくなり、感想が書ききれない現象に陥ってしまうのですが、今回の月組も大好きだなあ、の気持ちでとにかくいっぱいになりました。 フィナーレも扇子とか格好良すぎてデュエダンが素敵すぎてもう幸せで幸せでたまりませんでした。



 謝先生、月組生たちのお芝居が活きる作品を本当にありがとうございました。心配していたのが本当に申し訳なくなるほど楽しかったです。2023年、雪組のお披露目公演を担う謝先生の作品、とても楽しみにしています。



 昨日観劇したばかりなのでなんだか信じられないのですが、月組の皆様の良さがぎゅうぎゅうに詰まってあふれだす『ELPIDIO』が、無事に千秋楽まで完走できたこと、月組の皆様が笑顔で今日という日を迎えられましたこと、いちファンとしてとってもとっても嬉しいです。



 月組『ELPIDIO』組の皆様、とっても素敵なお芝居を、歌を、ダンスを、ありがとうございました。

 1度限りの観劇になってしまいましたが、月組生ひとりひとりの「お芝居をするのが楽しい」という感情が客席にまで伝わってくるようで、見応えたっぷりで、観劇していてとても楽しかったです。素敵な思い出を本当に本当にありがとうございました!


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