ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

宝塚を愛する人たちの努力をどうか踏みにじらないでほしい話


 本日、宝塚公式にて、昨日文春で報じられた原田氏の事件についての声明がありました。

 事実がきちんと事実として認められたことだけは良かったのですが、「そういう事実があった」ということは本当にショックですし、今回の声明はハラスメントに対する怒りよりも、報道への怒りのように感じました。

 保身よりも大事なものがありますよね。そして、ハラスメントという簡易表記で罪の重さを理解していないのではないかと感じました。


 ハラスメントは事実だと認めて原田氏は退職しているなら会社としてこれ以上することは確かにないかもしれません。あとは、今後同じようなことが起こらないよう徹底すること、今回の件で二次被害が起きないようにすること、被害に遭われた方のケアをすること。確かにそれのみかもしれませんが、このような事件は今後一切あってはならないというような強い強い言葉が欲しかったです。




 わたしは宝塚のファンですし、これ以上宝塚の印象を落としたくはないと思っているのですが、宝塚を愛する人たちの努力がこれから先踏みにじられることがないよう、改めて感じたことを記させていただきたいです。



 本日以降、この件に関しては被害者の方の気持ちも考え控えさせていただきますが、今日だけは感じたことを記すのをお許しください。



 まずはじめに、ジェンヌさんたちや、宝塚を愛し支えてくださっているスタッフの皆様には何の落ち度もありません。 娯楽が多い世の中でも、わたしたちが宝塚に夢中になるのは、その方々が、毎公演必死につくってくださる舞台のエネルギーに夢や元気や幸福をもたらせてくださるからです。演出家をはじめ、宝塚愛にあふれたスタッフさんたちは、本当にたくさんいらっしゃいます。


 だからこそ、それをひとりの身勝手な演出家がボロボロのズタズタに壊したら駄目でしょう。
 文春の記事を全文鵜呑みにはしませんでしたが、「隠蔽や不適切な対応や不誠実な発言は事実と異なる」という公式声明も一言一句を鵜呑みにはできません。劇団を信じたい気持ちはもちろんありますが、本当にひとりでも、運営側で不適切な対応をした方はいらっしゃいませんか? 加害者側を擁護はしませんでしたか?


 人を傷つけてはダメだし、誰かが必死でつくりあげているものを身勝手に壊したらダメ。そんな簡単なこと、小学生でも理解できます。


 宝塚ってこういうのを繰り返しているんだろうね、じゃ駄目なんです。 隠ぺい体質だもんね、でも駄目なんです。 伝統芸能を守るため、なんて言い訳にもなりません。


 例えばですが、宝塚音楽学校の受験者数がただでさえ少子化で減少しているというのに、こういうことが起こる場所だと不安視されたら、受験を反対する親御さんが増えていきます。氷山の一角だと捉えられて、今回露見したことより悪い想像をする方たちだって出てきます。愛する我が子をそんな場所に入れたいとは思いません。


 未成年の彼女たちを預かるのだから、「自分の大切な子どもを預けても大丈夫」だと思えるような環境にしなければ、現在倍率の高い宝塚が定員割れだって起こすかもしれません。

 定員割れをおこしたくなくて「隠しごとをする」のではなく、「何かあった」 なら、公表しなければいけません。報道があって、その内容が事実と異なるから、ではなく。報道がなくても、こういうことがありました。今後どうしていきます。そういうしっかりとした発表が必要なんです。


 「事件が起きてはいけない」がもちろん大前提なのですが、宝塚歌劇団はきちんとした対処が出来る場所なんだ、おかしなことがあったらきちんと正されるんだ、と。そういうところなのだと安心できなければいけないんです。


 もう一度言うのですが、報道があって、その内容が事実と異なるから、ではなく、何かあって適切な処置をしたのなら堂々とそれを報道よりも先に公表してください。


 そして、被害者が声をあげなければ見逃されるような空間をつくりあげてないか、今一度見直していただきたいです。
 傷つけられた側は、心が磨り減っている状態で、 精神的に追い込まれて、立つことだってやっとのことかもしれません。声を上げるには物凄い気力や体力が必要で、傷ついた出来事を思い出しながら口にするのはさらに心が摩耗することだと、誰だって簡単に理解できます。


 閉鎖された空間なのだから、外にさえ漏れなかったらいい。では、ダメなんです。報道されたから、では駄目なんです。



 辛いときや悲しいとき、 気分が落ち込んでいるとき、元気をくださるのが宝塚なんです。同じような毎日を生きている上で、華やかな夢を魅せてくださるのが宝塚なんです。

 ですが、 今回の事態を受けて、宝塚に対する嫌悪感がうまれてしまった人たちもいらっしゃると思います。しらばく宝塚を心から楽しめなくなった方もいらっしゃると思います。


 そのくらい、嫌悪感というのは簡単に拭えるものではありません。 100年以上の歴史があれど、落ちるときは一瞬なんです。 でも、そんな歴史をこれからも守っていくのは、舞台に立つジェンヌさんたちであり、宝塚を愛するスタッフの方々です。


 宝塚を継続させたいならば、彼ら彼女らが息をしやすい空間づくりをしていく必要があります。「隠蔽や不適切な対応や不誠実な発言は事実と異なる」と声明文にありましたが、以前、退団されたジェンヌさんがジェンヌさんたちにも心のメンタルケアが必要だという考えを述べていました。

 現在、劇団内でのケアが足りているとは、やはりどうしても思えません。


 ジェンヌさんだとか、スタッフだとか立場だとか、 男だとか女だとか関係なく、宝塚に所属するすべての方々が、からだと心の安心と安全が保証され、その上で素敵な舞台を構築してほしいです。
 はっきり言って、ジェンヌさんや弱い立場のスタッフの方々の犠牲の上で成り立つ夢なんて欲しくはありません。


 宝塚を愛し、守り続けようと努力してくださるジェンヌさんやスタッフの皆さまがいる限り、その方々を応援するためにわたしはこれからも宝塚を観ますが、 周囲に「あんな劇団にお金を落とすなんて」 と思われるかどうかは、劇団のこれからの対応によると思います。

  声明文の最後にある「ハラスメントの防止のさらなる徹底に努める」を確実に実行して欲しいです。



 今回の事件を受け、男性演出家に苦手意識をもたれた方もいらっしゃると思います。ですが、人はひとりとして「同じ人はいない」のです。 だからこそ、他の演出家の先生を、事件を起こした方と一緒くたにはしないでいただきたいです。 宝塚への愛に溢れたひとたちが、ひとりの事件によって同じように蔑視されることは、二次被害に繋がります。そんな悲しい連鎖は起きてほしくありません。


 また、ジェンヌさんたちやスタッフの皆様が苦しむのは、芸事や自分の実力に対してだけでいいんです。演出家の先生から怒られることだってあると思います。舞台のため、その生徒さんの役に対する表現を引き出すためなら、それは必要なことでもあります。
 しかしながら、舞台のためではなく、演出家の身勝手で自己中心的な言葉の暴力のような叱責はないか、線引きは難しくても、どうか今一度確認をお願いしたいです。


 悩まなくていいことで心を病まないようにしてほしい。正しいこと以外で追い込まれるほど苦しまないでほしい。わたしたちファンに、「大好きなジェンヌさんたちを宝塚という環境の中にいさせたくない」と。そんな本末転倒なことを絶対に思わせないでほしい。そのためには、やはり、劇団のアップデートも必要なのではないかと思います。



 大好きなものを作ってくださっている方々が辛い目に遭わないように、 夢を持って入団できるように、アップデートして澄んだ空気を劇団がつくってくださることを心より願います。

 そして、未来、「ジェンヌさんたちのファンであり、宝塚のファンではない」なんて、たくさんの人がそんな悲しい結論に至るようなことが起きないよう、しっかりと「宝塚を愛する人たちを守り抜いて欲しい」です。



 昨日と今日、続けてこのような記事で申し訳ありません。被害に遭われた方がこれから先、想像もできなかったような幸福で満たされますことを、加害者の方と2度と顔を合わせなくて済むことを心の底より願っています。


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