ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

会見を受け感じたこと①


 柚香さんのディナーショー夜の部の前後にて、ご遺族側および劇団側の会見を拝見しました。『宝塚歌劇団宙組劇団員の逝去に関するご遺族との合意書締結のご報告並びに再発防止に向けた取組について』も読み返しました。


 その結果、言いたいことがありすぎて、何から話せばいいのか難しいのですが、まずこの合意は「ご遺族にとって最低限のラインにやっと達した」ために成されたものです。最低限ということを肝に銘じておかなければなりません。


 また、パワハラに関して、個々の責任はもちろんのこと、「経営陣の怠慢」というものが今回の件に関してとても根深い問題だとも感じました。(それなのに運営側の再発防止策が皆無な点においては後日記載します)


 一番ショックだった事実は彼女が組み替えの申し出をしていたにも関わらずそれを拒否していた件についてです。
 もしも組替えが出来ていたら、彼女が自死を選ぶことはなかったかもしれない。他の組で大階段を降りてたくさんの人に囲まれながら笑顔で退団できていたかもしれない。それを思うと、やり切れない気持ちでいっぱいになりました。


 また、ご遺族側および劇団側の会見は同日同時刻に実施されましたが、両方を拝見した限り、食い違っている部分がいくつか見受けられました。会見の食い違いを見るだけでも協議が難航した理由が伝わってくるようでした。



 それでも、合意締結に至れたのは、ご遺族側の皆様および弁護士先生の強い正当な訴えによって成されたものだと思います。



 劇団が認めたパワハラ内容、謝罪人数の内訳、再発防止策への疑問、宙組の今後など、さまざま記したいことはあるのですが、まずはこのコメントを大切にしなくてはいけないと思います。



 【全文】「娘に会いたい、生きていてほしかった」宝塚歌劇団が死亡の団員側に謝罪…母コメント「時間は止まったまま」 (https://news.yahoo.co.jp/articles/06c99d83c08bafb3e0adcd1a50831aeb510bf364


 以下、お母様のコメント全文です。



『あの日から季節は幾度か変わりましたが、私たちの時間は止まったままです。
 娘を想わない日はありません。娘に会いたい、抱きしめたい、ここに居てくれたらと一日のうちの瞬間、瞬間に何度も思っています。

 そして、助けられなかったことを悔い、娘に謝っています。

 娘の夢をみて、目覚めた時の現実の虚しさに打ちのめされる、そんな朝を何度迎えたでしょうか。

 パワハラが無かったことを前提に作られた調査報告書は、こともあろうか劇団HPに掲載されました。

 過重労働については見解の違いはあったものの、ある程度認める内容でしたが、パワハラ については、全ては娘に非があった、そのための正当な範囲内での指導だった、パワハラは一切無かったという酷い内容でした。

 劇団が依頼した弁護士の聞き取りの場で、私たちが提出した娘の悲痛な言葉や証拠、そしてパワハラを実際に見聞きし、全てを話してくださった劇団員さんの数々の証言も全く反映されておらず、パワハラを行った側を擁護する内容でした。

 劇団側にHPでの掲載を止めるように繰り返し求めましたが、1ヶ月以上経ってからよう やく抹消されました。

 調査報告書の内容を盾に「パワハラはありませんでした」と断言され、「証拠があるなら是非お見せいただきたい」と画面越しに挑んでこられた劇団の記者会見は、今でも鮮明に覚 えています。

 それに対して、調査報告書の誤りを詳しく指摘し、私たちが入手した証拠や劇団員さんからの証言を、直接提出しましたが、劇団は、第三者委員会を設置することはなく、パワハラを行った人の意見のみを聞き、それを擁護しました。

 今更ながら、2年半前にヘアアイロンによる火傷があった時に泣き寝入りせず、声を上げれば良かった、昨年2月に劇団がヘアアイロンによる火傷の事実を「事実無根」と発表した時に抗議すれば良かったと、後悔してもしきれません。

 いずれにしても、事実は隠蔽され、娘の居場所は無くなっていたかもしれません。けれど、声をあげておけば、娘の命は救えていたはずです。

 阪急阪神ホールディングス宝塚歌劇団の幹部の方々に、もしご自分の娘が同じことになったら、どうされたのかと、お尋ねしたいです。

 娘は決して弱かったわけでも、我慢が足りなかったわけでもありません。過酷な労働環境と、酷いパワハラの中でも、全力で、笑顔で舞台に立っていました。強く生きていました。私たちはそんな娘を誇りに思っています。

 娘の尊厳を守りたい一心で、今日まできました。

 事実を訴え続けた結果、当初は過重労働のみを認め、一切パワハラは無かったと主張された劇団が、多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました。

 言葉では言い表せないたくさんの複雑な想いがあります。

 娘に会いたい、生きていてほしかったです。

 最後になりましたが、娘にお心を寄せてくださった方々に感謝を申し上げます。』


 以上がコメント全文です。


 私は一文一文頷きながら、やっぱり涙が出ました。特にあの杜撰な調査報告書。そして粗末な会見。あれを受けてのご遺族側の悲痛な会見を私は未だに忘れることができません。


 大切な娘さんを亡くし、苦しみのどん底にいるご遺族の皆様が、それでも力を振り絞って立ち上がらなければ、こうして劇団がパワハラに向き合うことさえなかったと思います。


 私は何も知らずに、宙組の舞台で輝く彼女の笑顔に幸せをいただいてきたひとりです。せめて私に出来ることは、あの素敵な笑顔を、あの素敵な歌声を、この先一生忘れないことだと思っています。



 合意締結には至りましたが、ご遺族の気持ちとして、和解だとかそういう感覚とはかけ離れたものがあると思います。複雑な思いがたくさんたくさんあって当然だと思います。


 それでもご遺族の皆様がずっと劇団に対して大人の対応をし続けてくださったこと、温情にてやり直すきっかけをくださってきたこと、いちファンとして言葉にならない思いがたくさんあります。


 会見などをするたびに、身勝手なファンにたくさん傷つけられたと思います。彼女に関する信じられないような名誉毀損も見かけたかもしれません。それでも必死に踏ん張り、正当に訴え続けてきた皆様のお言葉やご意志が、天国にいる娘さんに届きますように祈っています。




 また、合意締結があったことにより、彼女の名前が宙組プロフィールの中から削除されました。
 追悼行事等は予定されていないということでした。私たちファンが無理に強要することもできませんが、公に名前を記すこともできませんが、大好きだった彼女に、改めて哀悼の意を表します。


 
 そして最後に。苦しい中、辛い中、半年もの長い期間、耐えに耐え続けてきたご遺族の皆様が、ほんの少しでも、ほんの少しだけでも、頭や身体を芯から休めることができますように。

 辛いことに心や身体が引っ張られそうになるとは思うのですが、皆様のご健康を心よりお祈り申し上げます。


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