ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

会見を受けて問題に感じたこと


 昨日、最低ラインに達した劇団に対してご遺族側が譲歩してくださった結果、合意書締結がなされました。


 劇団側とご遺族側の会見を両方見て食い違っている部分が多々あるなと感じましたが、それは目的の違いが大きいのだと思いました。


 ご遺族側の会見は、「最低ラインだけれど合意した。 まだ改善してほしいことは山のようにあるけれど、過重労働だけでなくパワハラを認めてくれたことには大きな意味がある」と、今回の合意書締結に至った経緯と、その内訳などをありのままに示すのが目的でした。


 劇団側の会見は、合意書締結の中身より、「とにかく合意締結ができたこと、そのうえで全責任は劇団にあると強調し謝罪することで宙組生を庇いつつ、ゆくゆくは宙組を再開させたいこと」を示すのが目的だったように思いました。


 どうして話し合いがこんなにも長引いたのかは、こうした目的違い(自死に向き合ってほしいご遺族と宙組を再開させるために動く劇団)によるものだったのでしょう。


 もっと早く真摯に向き合ってあげてほしかったですし、証拠を〜などといった威圧的な会見も劇団には開いてほしくなかったです。昨日村上理事がその件についても質疑応答の末謝罪をしていましたが、人の心を持てないのならそのポジションは相応しくないと私は感じるほかありません。




 劇団側の会見でも、報告書でも、『「経営陣の怠慢」 (現場における活動への無理解や無配点等)によって長年にわたり劇団員に様々な負担を強いるような運営を続けてきたこと』が強調されていました。これは本当にその通りだと思いました。



 なので、今日は今回の会見を受けて、経営陣や上層部に対して思ったことを記します。





 まず、今回の半年間に渡るご遺族に対する対応だけでも、経営陣や上層部にはたくさんの問題がありました。


 なかでも、きちんとした第三者委員会を設置した調査を頑なにしなかった点。

 有耶無耶に出来ると思っていた認識の甘さおよびそれを発表する際の粗末な会見は、「最低最悪の愚行」でした。



 また、どのような行為があったのかを羅列したもので特に感じた宙組プロデューサーの怠慢は以下の2点です。


 ③宙組上級生が新人公演のダメ出しで人格否定のような言葉を浴びせたことならびに『当時の宙組プロデューサーがこのことを認識しながら放置したこと』


 ⑤宙組プロデューサーが『その会議室を確保し、被災者が精神的負担を受ける場を設定したこと』ならびに『被災者が組替え希望を求めたが、これを無視したこと』

 (※その会議室とは、④にある宙組幹部4名が被災者を呼び出した会議室のこと。そこでの出来事により被災者は過呼吸になるほど大きな精神的負担を生じました)



 人格否定のような言葉を浴びせた事実を知っていてなお放置し、彼女が精神的負担を受ける場まで確保し、さらにはそういったすべてを知っているにも関わらず彼女の組み替え希望を無視したこと。


 まとめるだけでも、当時の宙組プロデューサーがどこかで彼女のために何かをしてあげていたのなら、こんなにも悲しいことは起きなかったかもしれませんでした。




 そして、私が今回の劇団の会見で一番モヤモヤしたことは筋が通っていないことです。


 今回の件の責任はすべて生徒ではなく劇団にあり、経営陣の怠慢を強調していました。宙組を再開させたいがためにこのような発言をしていることも察しますが、劇団に責任があることは紛れもない事実です。


 ただ、そういう発言をしているにも関わらず、経営陣および上層部は減給すらなく、改革を見守るなどといった姿勢をとるのみで刷新されることもないようでした。


 自分の勤めている会社ならあり得ないことなのですが、これがまかり通るのでしょうか。




 さらに、昨日提示された「再発防止に向けた取り組み」において、経営陣や上層部の方々に対する取り組みはどこにあるのでしょうか。


 先述したように、当時の宙組プロデューサーが、どこかで彼女のための行動ができていたのなら、こんな悲しいことは起きなかったのかもしれないんです。


 本当に全責任が劇団にあり、経営陣の怠慢を認めるというのなら、一番に改善しなければいけないのは経営陣および上層部の意識改革やプロデューサーの在り方についてではないのでしょうか。


 また、再発防止について、「現場の問題を把握し、意見を吸い上げる仕組みの強化」と記されていましたが、今回の件を見るに、「問題自体は把握していたし、組み替えの意見も聞いていたのに放置していた」ことが問題だったんです。


 つまり、意見を吸い上げる仕組みの強化、それも重要ではありますが、一番重要なのは、問題が発覚したときに「どう対処してあげるか」なんですよね。

 そこの議論を詰めないと、再発防止に向けた取り組みなんてものは正直、言葉だけのものだと感じてしまいます。



 ご遺族側と合意があった以上、合意書締結内容について第三者があれこれ言う必要はありませんが、昨日の合意書締結はあくまで自死した彼女を巡る問題でご遺族と交わされたものであり、これから劇団が同じ悲劇を繰り返さないための仕組みを構築していけるかについては、いち株主としてもいちファンとしても厳しい目を向けていかなければいけないと思っています。


 「すべての責任」という言葉を使うのです。それに見合うだけの具体的で明確な措置および対策および改善が成され、番手スターだけでなく下級生ひとりひとりの意見を大切にする組織になりますことを心の底より祈っています。




 最後に。「チケット先行販売のお知らせ」118号が公開されましたが、当たり前のように宙組公演は記載されていません。明日は月組公演が初日を迎えます。110期生たちの初舞台公演でもあります。

 110期生たちは組回りすることが発表されました。宙組が公演できていない今、最善の方法だと思います。ただ、宙組公演の実施がまだ先になるのなら、宙組109期生をはじめとした下級生たちにも組み回りなどの救済措置があってほしいと思います。

 長くなりましたので、宙組の今後についてはまた後日記しますが、誰かが理不尽に苦しむことのない職場環境が整えられますことを心の底より願っています。、


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