ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

5年前の事件とご遺族側の最後の警告について


 今朝、「雪組 宝塚大劇場公演 『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』 『FROZEN HOLIDAY』 は、公演を安全に実施することが困難なため、12月8日(金) 〜 12月10日 (日)までの公演を中止させていただきます」というお知らせが発表されました。


 なぜ無理して昨日の午後公演を実施させたのか。映像収録だったからなんて言い訳聞きたくないほど、本気で意味が分かりません。


 もちろん、舞台に立った雪組生、観劇したお客様たちはなにひとつ悪くありません。ただ、「上が止めるべきだったでしょ」 としか言いようがありません……。


 ご遺族側が会見する日だったと劇団なら知っていたはずで、だから、宙組の発表を前倒ししたんだと思います。


 雪組は、遺族側に組子がいらっしゃいます。だからこそ、精神的負担を必要以上に気にかけてあげなきゃいけない組なのに、本当の意味で生徒さんたちを大切にする気は一寸もなさそうで、どうにかしてくれ……と絶望してしまいます。


 劇団の粗末な対応や大切な組子が遺族側として全日程休演すること、 大劇場で先陣切って矢面に立ちながら舞台に立っていること、会見が開かれまた批判にさらされること。それらすべて、人がひとり簡単に追い詰められてしまうような 「大きな心理的負荷」 です。


 昨日も言いましたが、「安全配慮義務を謳うなら、 昨日の午後公演は止めてあげるべき」でした。


 結果として今日からの公演が中止となりましたが、 劇団がご遺族に不誠実な対応を取り続ける限り、雪組公演は不安定な波のように東京でも公演の中止と再開を繰り返すかもしれません。


 なぜなら、舞台に立っているのは、「商品」 じゃなくて「人間」だからです。血も涙も通った心を持った人間が誠心誠意つくりあげてようやっと成り立つ世界です。彼女たちの心を追い詰めたまま、素敵な舞台が成り立つことはないのだと素人だってわかります。




 そんなゴタゴタの中、昨日は夕方からご遺族側の会見が開かれました。その模様を映像にて拝見させていただきました。15のパワハラが提示され、証拠も公開されていました。


 皆様ももうご存知かもしれませんが、15のパワハラ行為についての詳細は以下のとおりです。



1)上級生Aが被災者が断ったにも関わらず、ヘアアイロンで被災者の髪を巻き、やけどを負わせたこと


2)Aがやけどを負わせたにもかかわらず、真摯な謝罪をしなかったこと


3)Aが髪飾りの作り直し等、深夜に及ぶ労働を課したこと


4)上級生が、新人公演のダメ出しで人格否定のような言葉を浴びせたこと


5)週刊誌報道(※週刊文春によるヘアアイロンに関する報道)後、上級生がやけど事件加害者の責任を問わず、被災者を呼び出し、詰問し、劇団員の前で被災者を孤立化させ、過呼吸の状態に追い込んだこと


6)劇団幹部がやけど事件を「全くの事実無根」と発表したこと


7)劇団幹部が、睡眠時間が一日3時間程度しか取れないような、極めて過酷な長時間労働を課し、過大な要求をしたこと


8)宙組幹部が「振り写し」の復活により、一層過大な要求をしたこと


9)宙組幹部が「お声がけ」の復活により、一層過大な要求をしたこと


10)演出家が怠慢・不備により、到底対応不可能な業務を課したこと


11)宙組幹部が配役表事前開示に関し、9月初め2日連続執拗な叱責を行ったこと


12)宙組幹部が「振り写し」に関し、大声で宙組組員の面前で叱責を行ったこと


13)宙組幹部が「下級生の失敗はすべてあんたのせいや」等叱責を繰り返したこと


14)宙組幹部が9月28日、幹部部屋で大声で叫び、威圧的な言動を行ったこと


15)宙組幹部が「お声がけ」に関し、詰問し、叱責し続け、罵倒したこと



 以上15項目のパワハラを提示。これら全てを認めることを求められています。



 そして証拠について。


 「納得できないのであれば遺族側は証拠を出してほしい」という村上氏の発言は記憶に新しいと思いますが、その結果、「劇団の方にできるだけしっかりした証拠を提出して、認識を変えてもらう他ない」という経緯で証拠が提出されました。


 亡くなられた方の尊厳を守るため、 本当は公開したくなかっただろう火傷写真やLINE の文章が提示され、本当に胸が痛くて仕方ありませんでした。


 また、報告書について、


「看護師発言は虚偽証言であること」(新たな証拠として故人と皮膚科医のLINE公開)


「報告書の証言採用が恣意的であること」 (下級生の証言を伝聞証言として切り捨てしている等)


 なども訴えられていました。また、「きちんと証言している劇団員に対して、絶対に変な圧力を加えたり、行動をとらないよ
うに劇団の方には強く求めたいと思っている」とも示されていて、あんまりに誠実で私は泣けました。劇団にもこういう姿勢を見せてほしいと痛感しました。



 会見後、宝塚公式HPには、『ご遺族代理人からの意見書の受領について』という当たり障りのないコメントが掲載されていました。どれだけ綺麗な言葉を並べても、大事なのは行動です。


 ちなみに本日、フジテレビ系列にて、「5年前宝塚音楽学校で“パワハラを巡る問題”で生徒が追い詰められ、学校の寮から飛び降りるという出来事」についての放送がありました。以前週刊誌にも取り上げられていた件になります。

 その女性Aさんの親族を取材。宝塚側とのやりとりを記録した当時の音声には、マスコミへの公表を避けようとする宝塚側の主張も残されていました。


 隠蔽はもう、本当にやめてほしいです。悪いところを認めて、やり直してほしい。テレビを見ていて、心が張り裂けそうでした。



 今回の件に関して劇団は、『引き続き誠実に協議』と記されていましたが、誠実に協議してくださらないからご遺族がこんなに頑張ってるんじゃないんですかね。


 そもそもご遺族が頑張り続けているのは、大切な娘が亡くなってしまったにもかかわらず、「劇団の結果ありきの不誠実な調査報告書と、 粗末すぎる哀悼の意もない会見と、劇団の思いやりもない不遜な態度」に納得がいかないからです。


 亡くなられた方を踏みにじり続けているから、ご遺族側は頑張り続けている、 ただそれだけです。


 また、ご遺族側は、過重労働とパワハラの事実を認め、阪急・劇団・一部の上級生が謝罪および補償をすること、体制改善をすることを求められていましたが、 劇団が誠意を尽くさないからこそ、 「阪急阪神ホールディングス会長である角氏の直接の謝罪」も訴えられていました。


 こんなにも不誠実な対応を続けてしまったからこそ、 企業トップとして責任を果たしてもらいたいということでしょう。人がひとり死んでいるのにそれに向き合えていない結果だとしか言いようがありません。


 ご遺族の皆様は悲しみのどん底にいらっしゃいます。再び不適切な対応をすれば、もうご遺族側に温情をかけてもらうことさえないかもしれません。今、劇団は国際問題にも発展しかねない危機的状況に直面しています。


 そういう不安を肌で感じているのはファンだけでなく、団員の皆様も同じだと思います。


 12月後半に予定されている歌劇団側との面談では、「なぜパワハラを認めることが出来ないのか」その理由も説明してもらうとお話しされていました。会見でかなり「次回の面談」が鍵になることを感じました。もう本当に最後のチャンスというより最後の警告であると覚悟して誠心誠意対応してほしいと思います。


 これ以上ご遺族の皆様を傷つけないのはもちろんのこと、ご遺族に寄り添いながら変わっていきたいと願っている方々を劇団の粗末な対応が踏み潰さないことを心の底より願っています。


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