ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

劇団が敷いた「かん口令」。新人公演の在り方について今考えてほしい話


 ご遺族の証拠提出の会見を経て、さまざま思うことがあるのですが、今日は新人公演の在り方について(そして劇団の隠蔽体質について)自分が思うことを記していきたいと思います。


 というのも、皆様すでにご存知かもしれませんが、関西の“いま”を掘り下げる報道番組「かんさい熱視線」にて、『あるタカラジェンヌの死  宝塚歌劇団で何が…』が放送されていました。


 音声変換されてはいますが、現役生やOGの方々、複数の証言を元に、過重労働についての問題点と改善案が提示されていました。



 私は特に、現役生の方が語られた、「芸事以外でやるべきことが苦痛に感じることが多い」ということ。それでも、「これを乗り越えない限り舞台に上がれない」と、いい聞かせてやっていたという内容にとても心が痛みました。


 今回ご遺族側が提出されたLINEにて、演出家の方との新人公演に関するやりとりを拝見しましたが、絶句しました。



 私は新人公演は生徒さんが「芸事に関してステップアップおよび研鑽するもの」だと思っていました。


 それに加えて、新人公演担当演出家が本公演の演出家と違う場合は、「新人の演出家が研鑽や場数を踏むためのものでもある」と思っていました。そうでなければ、新人公演を担当する演出家がわざわざ用意されている意味が見出せないからです。



 しかしながら、少なくとも今回亡くなられた方と演出家の方とのLINEを拝見するに、「新公の演出家が本公演の演出家と打ち合わせするほどの内容を長の期に強いている」ことが窺えました。


 ご遺族側の会見にて「業務上過大な要求をすること自体がパワハラ」とおっしゃられていましたが、その通りだと思いますし、少なくとも新人公演長の期として亡くなられた方が任されていた仕事量は「あまりに過大すぎたもの」であると感じます。



 組に関係なく全ての新人公演がこんなにも長の期に過大な要求をしているのでしょうか。だとすると、新人公演の裏側は、私が望んでいたようなものではなかったのだと、ただただ応援していた自分がひどく浅はかにさえ思えました。


 (もちろん頑張っている生徒さんたちは悪くありません。ただ、生徒さんたちには芸事以外のことで苦しんでほしくないというのが個人的な意見です)



 次に予定されているのは雪組東京の新人公演と星組大劇場の新人公演です。しかしながら劇団は「業務上過大な要求をすること自体がパワハラなことをまだ認めていない」わけです。


 そんな中で、新人公演における、特に長の期の仕事は本当に軽減されるのでしょうか。今回、かんさい熱視線を拝見して、劇団の「人手不足問題」はハッキリと浮き彫りになったと思います。



 適材適所に必要な人数と時間。それを与えることもなく、人の真面目さと我慢強さにつけ込んで搾取し続けるやり方は、ただただ人間を壊していくだけです。



 その見直しが本当の意味でなされないままなら、新人公演実施に対して今までのような感覚では応援できません。人がひとり亡くなられてしまったのです。問題が浮き彫りになった今、相当の改善方針を打ち出す必要があり、そうでなければ、新人公演においての再発防止策を打ち立てたことにはならないと思います。



 新公学年の皆様の研鑽と成長の場を奪いたいわけではありません。研鑽と成長の場になってほしいからこそ、芸事とかけ離れたところで追い込まれないでほしい環境を整えてほしいんです。そしてそれは、生徒さんたちだけでなく、他のスタッフの皆様の負担についてもです。



 また、ここで改善されなければいけないと強く思っているのは、劇団の隠蔽癖を危険視しているからです。



 5年前の飛び降り事件を劇団が隠していたことが少し前に週刊誌、最近ではテレビで報道されましたが、そこで親族の方が問題視していたのは、『学校側が生徒を集めて敷いた“かん口令”』についてです。


(※ かん口令……ある事柄について口外することを禁ずること。 また、その命令。 口どめの意)


 都合が悪いので隠しましょうってことを音楽学校の学生相手にしてしまっているんですよね。そうやって、劇団の問題は内に内に隠され、「外の世界で問題にならないようにしている」わけです。


 つまり、これから先、また悲しいことが起きても、人が死ななければニュースにもならないかもしれない。私たちファンも、誰かの犠牲の上に成り立った舞台だと知らないまま観劇しなければいけないかもしれない。



 でも、今回、こんなに悲しいことがあった末に、劇団の悪いルールとか、人を苦しめるだけの習慣とか、そういうことを外の世界にいる私たちが知りました。


 これからも宝塚歌劇団は秘めた世界であっていいんです。その代わり、今回露呈した見直すべき部分や改善すべき箇所をきちんとした形で整える必要があるんだと思います。


 まずは、新人公演の在り方について。12月後半に予定されている劇団とご遺族との面談結果(劇団からの回答)によって、「どれだけ今回の問題に向き合っているか」、私たちは知ることになります。


 人の命が大切ならば、本気で対応してほしい。安全な形で、新人公演が実施されてほしい。ご遺族と向き合えば、一部の変わるべき部分は既に見えてくるはずです。


 どうか、これから先「かん口令」なんてものを敷かなくていいくらい、安全な環境が整いますことを心の底より願っています。


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