ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

理想はヒット作を生み出してからの話


 
 若手演出家を急ピッチで育て、劇団が続々とバウデビューされている今日この頃。露骨な演出過不足を補うために頑れ〜!!! の気持ちと共に、実力がついてない演出家が大劇場を任されるような未来を私は望んでいなくてですね。


 近年でいえば、ウエクミ先生や指田先生、栗田先生のように、話題になるオリジナル作品を生み出してから大劇場デビューしてほしい。


 というのも、別箱の代表作が一つだってない演出家が、経験値だけで大劇場デビューしたところで、チケットの売れ行きは悪いだろうし、水準を満たしていない脚本で頑張らなければいけない組子たちの苦労は計り知れません。


 さらには、組子がエネルギーを使って頑張ってくれている作品を、簡単に駄作なんて言いたくないし言われたくないんですね。


 それでも、脚本演出の力のなさは、組子たちの演技より歌唱力より、その作品自体の評判になってしまうのが常です。



 大劇場・東京の長い期間付き合っていく演目が致命的に面白くないなんて、そんな悲しいことってないですよ。

 宝塚らしさとか男役芸とか、それはもちろん大切だと思うけれど、何より大切なのは客席を物語に集中させるだけの脚本と演出だと私は思います。


 あと、単純に面白くない作品でトップコンビの作品の一つが消費されてしまうのが悔しいからです。


 じゃあどんなオリジナル作品を生み出したらいいのかと言われたら、贔屓が出演していない舞台でも見たいと思わせるだけの脚本や演出。これがオリジナル作品への理想です。


 別箱でオリジナルのヒット作を一度でも生み出してくれている先生は、「舞台への美意識」が高いことが大きく(そうでないと話題にならないから)、そういう先生の作品ならオリジナルでも楽しみだと思わせる力があります。そういう評価がチケットの売り上げにもつながります。


 若手演出家の先生方には、評判が評判を呼ぶような作品をぜひ「別箱」で生み出してほしい。そして満を持して大劇場デビューに至ってほしい。

 大劇場は別箱より公演期間は長く比較的チケットも取りやすく、宝塚ファン以外も見る機会がたくさんあります。

 そこで心を掴むためには、好きな贔屓がいてもなお「面白くない」と感じるような脚本じゃダメなんですよね。

 だって宝塚ファン以外は贔屓すらいないんですから。ひたすら無の時間にしてはいけない。そんなんじゃ到底リピーターにはなってくれません。


 また、はっきり言って、オリジナル脚本を書くのが別箱の時点で向いていない先生には「原作もの」や「海外ミュージカル」の担当にするのも一つの手だと私は思っています。


 一から生み出すのは苦手でも、そこにある物語を宝塚らしくまとめるのは得意かもしれない。海外の作品を宝塚らしく存在させるのは得意かもしれない。無理せずそういう可能性を開花させてあげたらいいと思います。

 
 今回阿修羅城の瞳で宝塚でやる意義みたいな論争をよく見かけましたが、私はタイアップ作品も海外ミュージカルも、ワクワクさせてくれるような面白さがあるならどんどん上演してほしい派です。

 そういう注目作で宝塚に興味を持ってもらって、ちゃんと面白い話が書ける演出家のオリジナル作品で宝塚の更なる沼にハマってもらう。こんな流れが出来たら最高です。



 ただ、ここからは余談になりますが、私はせっかくの宝塚で下品なものは見たくないです。例えば現在上演中の記憶にございませんには個人的に好ましくない描写があります。映画を見ているので、そういうシーンがあるのはわかっていますが、宝塚では改変してもよかったと思います。


 あの映画を宝塚で上演するのは良いけれど、正直ジェンヌさんにああいうことをさせたり言わせたりするシーンをカットできない演出家の感覚にはいつものことながらドン引きです。


 原作あり作品を宝塚で上演するにあたって、このシーンは下品だから変えたいな、と。そういう感覚を持った演出家の先生が原作ものとかに携わってくれるようになったら、個人的にはとても嬉しいなと思っています。



 最後に。明日は星組大劇場千秋楽です。舞空さんフォトブックを読みながら寂しい気持ちが膨らみつつも、舞空さんサヨナラショーが楽しみ……さみしい楽しみさみしい……みたいなめちゃくちゃな情緒ですが、映画館で堪能したいと思います。

 明日も元気に、そして悔いなく星組の皆様が舞台に立てますことを心の底より願っています。

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