2023年の2月4日から宝塚大劇場にて月組公演 『応天の門』『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』が上演されます。
本日は、そんな『応天の門』について、少し聞いて欲しいなあと思う話があるので記させていただきたいと思います。
さてはて、お芝居である 『応天の門』には原作漫画が存在することは既にご存知の方も多いと思うのですが、では実際、『応天の門』の漫画をまだ読んだことがない方々も多いのではないでしょうか。
(※応天の門は未完作品であり、現時点で16巻まで発売されています)
そんな応天の門が、この度『くらげバンチ』という新潮社のwebマンガサイトにて配信されるようになりました。
そして、その配信を記念して、昨日(11月15日)から「期間限定50話無料」の大盤振る舞いがはじまりました。
50話は、おおよそ9巻までの内容になっているのですが、なんということでしょう。50話までということは、 既刊コミックスの半分以上のお話が無料開放されているということです。
本当に無料でいいんですか!? と確認したくなるほどには驚きの大盤振る舞いです。
コミックを持っているのですが、興味があって確認したところ、本当に無料開放されていて「ひょえ〜」と驚きましたし、「応天の門に触れたことがない方々にこの機会を逃して欲しくないなあ」と感じました。
終了時期が記されていないので、無料開放はいつまで続くのかが分からないのですが、【期間限定】だとは記されているので、時間を見つけて早めに覗いてみて頂けたら幸いです。
というのも、純粋に、応天の門という漫画がとってもとってもとっても面白い作品でして。
月組公演の予習だとかを堅苦しく考えず、純粋に楽しんで読んでいただきたいな〜と。「面白いから読んで欲しいなあ」とオススメしたくなるほどには面白い漫画です。
舞台が平安時代ということで、歴史が苦手な人は敬遠されるかな、とも思われるのですが、本当に読みやすい作品です。
物語としましては、平安時代のひねくれた権力嫌いかつ学問の天才 「菅原道真」(月城かなとさんが演じます)と
女を口説く才能にあふれたモテ男 「在原業平」(鳳月杏さんが演じます)のふたりが中心となって展開されていきます。
ざっくり言えば、 年の差が20歳はある (業平が年上) 得意分野の違うふたりがひょんなことから知り合い、さまざま起きる怪事件を「道真が頭脳で説き伏せ」ます。
その見事な推理力に感心した業平が、さまざまな怪事件に道真を巻き込み、怪現象を理論的に解いていく物語です。
だいたい、1~3話の間で「ひとつの怪奇現象」や「ひとつの事件」 が解決されます。
物語が進むにつれ、人と関わりを持とうとせずひたすら書物と向き合ってきたひねくれものの道真が、「どうにもならない現実」や「知識は力だが、 知識だけでは意味がない」ことを知っていき、心に微かな変化がうまれていきます。
頭が良すぎるあまり生意気でかわいくない発言をしてしまう道真ですが、自分の興味のあるものには目を輝かせたり、真っ直ぐ褒められると不意に照れる一面もあって、かなり魅力的な主人公になっています。
上演が決まったときは、大人っぽい月城さんに似合うのかどうかざわつきもありましたが、聡明でひねくれた道真は、「大人顔負け」の発言や性格をしているので、個人的には月城さんにとっても似合うと思います。
また、それに対して業平は、そもそもがモテにモテる「色男」なのですが、鳳月さんが演じるとなると、魅力増し増しの格好良さだろうな、と。今から自分の頬が緩みっぱなしになります。
再び月城さんから「役作りがいらない」と言われそうなほど、鳳月さんの業平はすでにしっくりきているので、舞台上でその色気を振り撒き女性に慕われまくる姿を拝見できるのがとても楽しみです。
応天の門はひとつの怪事件が数話で完結しますが、道真の「兄」の存在や、女なら誰でも良さそうな業平の過去の女性 「藤原高子」の存在。
それぞれの登場人物が抱えるトラウマや想い人、そして「平安時代の闇」 が根底にあり、 「ひとつの怪事件は解決されても続きが気になる」 仕様になっています。
さらに、1巻から出てくる「昭姫」 (海乃美月さんが演じます) や、「紀長谷雄」など、たびたび登場する 「おなじみの登場人物たち」 が存在します。
それとは反対に「この登場人物はこの怪事件でしか登場しない」というキャラクターたちも存在します。
もしも田渕先生のオリジナル脚本ではなく原作の話を抜粋して脚本がつくられるならば、その他配役が発表されたとき、 「このキャラが出るならこの辺りの事件を舞台化するのかもしれない」という指標になります。
また、 主な配役しか発表されていない今だからこそ、「この役をどの月組生が演じるのかな」と、考えながら読むのも非常に楽しいです。
恋愛ものではないのでバディものよりですが、信頼し合っているバディというよりも、道真の頭脳の出来に感心した業平のおじさん (イケオジ) が何かあるごとにひねくれたひきこもり道真を頼ったりちょっかいかけにきたりします。(※話が進む連れ、事件の出会し方もワンパターンではなくなっていきます)
また、 海乃さん演じる「昭姫」について、 「どんな感じの役柄なんだろう……」と気になっている方も多いとは思うのですが、妖しい見た目とはうらはらに、昭姫は都の遊技場を経営する面倒見のいい姉御肌な女性です。
面倒ごとは嫌いな昭姫ですが、「唐物」の知識の詳しさゆえに、たびたび道真や業平から相談を受け、結局道具たちの手助けをするなど、「昭姫は道真が頼ってしまうほどの女性」です。
昭姫は1巻から最新16巻にいたるまで、必要な場面で登場される女性なので、「どのあたりのストーリーを脚本に持ってくるか」 によって出番が変わってくると思いますが、ポスターで公開された海乃さんのビジュアルを拝見して、「絶対期待したらいい昭姫」だな、と感慨深くなっております。
(ポスター、本当に御三方とも美しくて、舞台上で実際に動かれるのがとても楽しみです)
月城さんと海乃さんの恋愛物ではないことを残念がっている方もお見かけしますが、 「恋心がなくても頼り合う関係性」は、「トップコンビとして頼り合い、一緒に良い舞台を作ろうとする同志のような関係性の月城さんと海乃さん」にかなりハマると思います。
新しくも魅力的なトップコンビの関係性が垣間見えると思うので、個人的にはロマンスではない本公演での二人の絡みがとても楽しみです。
『応天の門』の最新刊である16巻はつい先日発売されました。 帯には「宝塚舞台化」 と題され先行画像の月城かなとさんのお写真も掲載されています。
読めば読むほど続きが気になる 『応天の門』。 宝塚の舞台でどのように形作られるのかはまだ分かりませんが、ベースとなっている原作漫画、 ぜひこの機会にお読みいただけたら幸いです。
※50話無料公開へ辿り着く方法としまして、「くらげバンチ」 で検索していただけたら、 新潮社がお届けするWEBマンガサイトが検索結果に出現すると思います。
そのサイト内にて 『応天の門』 を検索して頂いたら、無料公開されているページに簡単に辿り着けます。
面倒な登録なども一切不要で50話を拝読できるので、お時間のある方やご興味のある方々は、ぜひこの機会に応天の門をよろしくお願いいたします。
そして、本日より月組公演 『応天の門』『Deep Sea -海神たちのカルナバル-』宝塚ホテル観劇プランの発売があったのですが、サーバー障害が起きてもなお1時間以内に平日関係なく全日程完売してしまうという売れ行きを見せたので、和物だけれどチケ難公演の可能性が漂ってきたように感じましたことを、ここに情報共有として載せておきます。
さてはて、『応天の門』を紹介したく、かなり長いお話をしてしまいましたが、信頼の厚い月組での舞台化、どんな素敵な宝塚の作品に仕上がるのか、今からとってもとってもとっても楽しみです。