先ほど、6月23日(木)より、『ガイズ&ドールズ』 の公演再開のお知らせがありました。6月21日(火)~6月22日(水)にかけてのの公演中止が本当に悲しかったので、早期に再開出来たこと、本当に嬉しく思います。
以前より舞台の公演中止や延期の日数は減少傾向にありますが、ロングランであればあるほど、なかなか公演中止を回避することができません。
ガイズに関して、わたしは博多座で観劇予定なのですが、 1枚しかチケットを取れていないため、チャンスは1回限りです。
その1回が公演中止に含まれれば、ドキドキ焦りながらゲットしたチケットも、宿泊予約をしているホテルも、移動手段の新幹線も、いろんなものが水の泡となります。
なにより、 楽しみにしている心が、萎れます。
そして今回、ガイズの中止期間で、1回だけ観れるはずだったわたしの友人のチケットが消えました。
友人は元々、 明日海さんの頃から花組の大ファンで、なかでも明日海りおさんと瀬戸かずやさんのことが大好きでした。
明日海さんの退団後も、 瀬戸さんを中心に、花組生全員を応援していた彼女でしたが、 コロナ化へと突入し、持っていた花組のチケットはすべて無意味なものになりました。
皆さんもよくご存じだと思うのですが、 花組公演は高頻度で中止に追い込まれ、演者も観客であるわたしたちも、とても辛く悔しい思いをたくさんしてきました。
それでもめげなかった友人は、 瀬戸さんが退団される公演の、ムラ千秋楽のチケットを手に入れました。 このご時世に退団される大好きな人を、今までの感謝を込めて、盛大に送り出すためです。
しかしながら、無情にも、ムラ千秋楽は中止が決定し、 花組は無観客配信を実施する事態になりました。サヨナラショーつきの千秋楽を、です。
このときの中止を経て、 友人の観劇に関する心はいよいよ折れました。それ以降、彼女が花組のチケットを取ることは、舞台のチケットを取ることはありませんでした。
チケットを持っていても、中止と決まったときにショックに陥りたくない。 だから、チケットを持っていても、 「どうせ中止になるんだろうな」 と期待しない。期待しないということは、舞台観劇の当日はもちろん、観劇までの数か月間を心待ちにするあのワクワク感を抱けない。期待するほど痛い目を見るなら、そもそもチケットを取らない方が安定する。
舞台観劇が栄養素だった友人は、こうして舞台離れをしてしまいました。 花組を一緒に見に行く際の相棒のような存在だったので、とても寂しかったのですが、公演中止でひどく落ち込み続けた友人の姿を思い返し、気軽に誘うことも出来なくなりました。
そんな友人が久しぶりに、 本当に久しぶりに取ったチケットがガイズでした。
元々、 明日海さんが好きだったこと、 ガイズという作品が好きだったこと、そして外部作品は、宝塚よりも公演中止期間が比較的短く、リスクが軽減されること。
中止に落ち込んだ心も、月日を経たことにより少しだけやわらぎ、吟味に吟味を重ねた友人は、「やっぱり舞台を生で観劇したい」とチケット取得に挑戦しました。
そしてゲットした貴重なガイズの帝劇チケット。1回の公演を友人はとても楽しみにしていました。
しかしながら、そんな友人が行くはずの公演は、急遽、中止が決定してしまいました。
どんなふうに声をかけたらいいのか分からなかったのですが、友人は苦い顔をしながら、「やっぱりもう観劇には行かないかなー」と。
落ち込んでいるのを隠すように告げられ、とても心が痛みました。
精度の良いオペラグラスを購入し、宝塚観劇が大好きだった友人。今も欠かさず花組の円盤を購入する友人は、だけど、宝塚友の会の会員をそろそろやめるそうです。
公演中止に、わたしもいつも、ショックを受けます。
コロナ化以降、宝塚の劇場に足を運ぶときはいつも、頭の片隅で(公演中止になるかもしれないな)と危惧していることも事実です。
公演中止が当日に発表され、劇場を目の前に、観劇をできないのは、本当に辛いものがあります。
その辛さが嫌になって、観劇離れをする人も出てくるのだと、身をもって痛感しています。
また、一度離れた顧客を取り戻すには、今の顧客維持にかかる費用の、5倍以上のコストが必要になるのが、宝塚という世界です。
ムラにて、現在もコロナ前よりチケットを取りやすくなったのは、遠征を控えられている方たちだけでなく、観劇離れもあるのかなと思わざるを得ません。
誰のせいでもないからこそ、とても切なく、仕方なく、もどかしい気持ちになります。
現在、宝塚大劇場・東京宝塚劇場・別箱、すべての公演が止まることなく幕を開けています。ガイズの舞台も、明日から再開することが決定しました。
辛い思いをされた方々の気持ちは痛いほどわかります。舞台はナマモノなので、「今」がとても大切なことも理解しています。
だからこそ、観劇離れをしてしまった人々が、心置きなく劇場に戻ってこられるような、そういう世界に「今」なってほしいと、強く強く、感じました。
宝塚だけではなく、すべての情熱を持った舞台が、どうかひとつでも公演中止の事態に陥りませんように。明日からのガイズの幕が、千秋楽まで無事に上がることを祈っています。