現在、宝塚大劇場で上演されている『ディミトリ～曙光に散る、紫の花～』にて、瀬央さんは「ジャラルッディーン」という役を演じられているのですが、その役作りが大変好みであるため、今回記させていただこうと思います。
まずはじめに、瀬央さんは９５期の中でも比較的ゆっくりゆっくり抜擢され、他の同期の方々と比べたら、なかなか大劇場作品で大きな役がつかなかったこともありました。
ですが、だからこそ学年に応じてそのとき吸収できるものをいっぱいいっぱい染み込ませたように、瀬央さんのお芝居の土台はとてもしっかりしていらっしゃいます。また、轟さんとの共演が多かったのも功を奏したのかなあと思うほど、落ち着いた役などがとても得意な印象があります。
たくさんの人が大好きだろう星組バウホール公演『龍の宮物語』がわたしも例に漏れず大好きなのですが、この作品を拝見するたびに、（あら〜この清彦役を演じる瀬央さんとっても素敵だわ〜これは玉姫様とセットで素敵すぎるわ〜うわ〜瀬央さん素敵だわ〜）と、うっとりしてしまいます。
このお役は派手な衣装を着るわけでもない、むしろ平凡な青年と称した方が適している役柄なのですが、「それでも素敵に見える」ところが、本当に素晴らしいと思います。
そして、そんな瀬央さんに、個人的に回ってきてほしいなあと願っていたような役柄が、今回、本当に回ってきてくれまして。
それこそが、ジャラルッディーン役なわけです。
亡国ホラズムの王であり、簡単に言えば物語の敵役ではあるのですが、ディミトリにとっては一概に敵とは言えない存在でして。
この、「敵なのに分かり合えてしまえる、敵すぎない存在」 という、非常に難しい役柄を瀬央さんがしっかり仕上げていらっしゃることにより、物語としても舞台作品としても何倍にも何十倍にも良きものに仕上がっているな、と感じました。
身内には甘そうなところが、「到底敵わない、話の通じない男」なのではなく、「この人も、愛する土地や愛する家族を失っている人間」だということを裏付けているようで、しかしながら、「敵とみなしたら最後、報復をやってのけてしまえる感じ」が「強い兵を束ねている王」って感じで、そのあたりの塩梅が「やりすぎていなくて」すごく良いんですよ。
こういう役柄こそ、大袈裟に演じすぎると結構シラけてしまうのですが、こういう男役さんが路線にいるとお芝居は何百倍も良くなるんだよなあ、と感じました。
登場が中盤からなので、出番がかなり多いわけではないのですが、目利きセンスが良さそうなところや、頭の奥には冷酷さが染み付いていそうなところや、だけれど器の大きそうなところなど、出番が多くなくても、それだけ「人物の雰囲気を観客に印象づかせる力」が本当に凄いな、と感じました。
つまるところ、本作で瀬央さんが演じる役柄への信頼感がさらに増し増しになったので、ぜひこれからもやりがいのある役柄がたくさん回ってきたら嬉しいな、と思いました。
また、これは余談なのですが、わたしの目が探しきれていないのか、瀬央さんジャラルッディーンのソロ舞台写真が１種類しか見つけられませんでした。
お芝居にて衣装が変わらないので仕方がないのですが、せめてあと２種類ほどは欲しいので、気の早い話にはなりますが東京での舞台写真を期待したいなあ、と。瀬央さんジャラルッディーンにどハマりしている人間は思うのでした。
はてさて、出番や歌唱シーンは２番手役としては少ないけれども、こんなにもジャラルッディーンのことを考えてしまうのは瀬央さんの芝居力なわけですが、そんな瀬央さんの素の魅力が満載なのが、スカステの番組「CAST＃７～瀬央ゆりあ side-A～」でして。
瀬央ゆりあさん、天希ほまれさん、蒼舞咲歩さん、夕陽真輝さんという最高の星組メンバーが揃った番組が少し前から放送されているのですが、開始30秒で笑ってしまう愉快な番組になっていて大変面白かったです。（自己紹介さえ面白くて本当に面白い番組になっています）
上級生と一緒でも下級生がのびのび出来る、瀬央さんの優しくて下級生に気を遣わせない素敵な人柄が溢れすぎていたのですが、なおかつ面白くて、お芝居ではないところでも人を笑顔に出来る瀬央さん、本当に大好きだなあ、と感じました。（そして瀬央さん人選の下級生３人がこれまた大変素晴らしかったです）
30分間ほとんど笑いっぱなしでしたし、 未公開映像がふんだんにあるだろうことは分かっているので、ぜひともノーカット版で販売してくれないかなあと願ってしまうほど、本当に楽しい番組でした。side-Bも、とても楽しみです。
また、先日発売された歌劇12月号で、瀬央さんは初表紙を飾っています。
瀬央さん、初表紙おめでとうございます！
紫を背景に澄ました表情の瀬央さんがとっても美しくて、表紙をまずは拝んでしまいました。定期購読しているのに、本屋でもう１冊買ってしまうほどには本当に素敵でした。初表紙、本当に本当に嬉しく思います。
スターが多すぎて９５期が渋滞していることや、暁さんの組み替えや、番手問題など、瀬央さんを取り巻く環境もさまざまなことがありますが、とにもかくにも、今回わたしはジャラルッディーンという難役を見事に演じた瀬央さんに惚れ惚れしてしまいました。
星組を明るく包んでくださる瀬央さんが、これから先も星組の舞台にて「これでもか！」とばかりに、楽しそうに輝き続けてくださることを、笑顔が絶えませんことを、心の底より願っています。
