ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

【星組】有沙瞳さんに思いを馳せる

 星組宝塚大劇場公演 『1789-バスティーユの恋人たち-』 が千秋楽を迎えてからはや1週間。


 ジェンヌさんたちに無理をさせていたことが発覚した初日を観劇していたこと、他に持っていたチケットは公演中止で全部消えてしまったことなどなど、さまざまな要因ゆえに、退団者の皆様が「退団される」と自覚できるほどの余裕というものがなかった本公演。


 しかしながら、1週間前に退団挨拶を聞いて、次の別箱にもご出演されないことを自覚しては、 (ああ、 本当に有沙さんが退団されてしまうんだなあ)と。寂しさでぼんやりしてしまいましたので、少し思いを馳せさせていただきたいと思います。




 有沙さんは98期生として入団され、雪組に配属された娘役さんです。その美しさと実力は下級生の頃から注目の的であり、研3にして、『一夢庵風流記 前田慶次』の新人公演初ヒロインに大抜擢されました。


 その後も、『銀二貫』 にてバウホール公演初ヒロインに抜擢。 そして、この銀二貫という作品で、 わたしは有沙さんという娘役さんの虜になってしまいました。松吉たちの優しさに触れる瞬間のお芝居が本当にいいんですよね……。


 このあたりで有沙さんのファンになった方々は多かったように記憶しているのですが、その人気を確固たるものにしたのは『ドン・ジェアン』 だったと思います。

 まだ新人公演学年の、下級生と言っていい有沙さんの、舞台度胸や娘役としての実力派素晴らしく、どこまでも響き渡るような歌声に聞き惚れた方々はたくさんいらっしゃると思いますし、主人公のために 「らしくない女」を演じようとする不憫さと健気さと狂気をあわせもった役柄は、有沙さんの役の幅をこれでもかとばかりに広げたことを覚えています。


 また、宝塚内外あわせて注目度が抜群に高かった 『るろうに剣心』 にてエトワールに抜擢されるなど、有沙さんは本当に雪組の誇る最高の娘役さんでしたが、2016年12月、雪組から惜しまれつつ、有沙さんは星組へ組替えされました。



 はてさて星組での有沙さんの立ち位置はどんな感じになるのだろうか。きちんと栄転なのだろうかとソワソワしていましたが、『THE SCARLET PIMPERNEL』 で2度目の新人公演ヒロインに抜擢。

  『阿弖流為』 では東上公演初ヒロイン。そして、大劇場ではおなじみ、池田泉州銀行のイメージガールに就任された有沙さん。

 雪組時代同様、 星組時代も有沙さんの勢いは止まらず、 『ドクトル・ジバゴ』ではあの轟悠さんの相手役を立派に務め上げました。



 そして、体感的に有沙さんの人気が爆発的なものになったと感じるのが、『龍の宮物語』 です。

 これはまず指田先生の脚本演出が素晴らしく、主演の瀬央さんが素晴らしく、その上で、なによりヒロイン玉姫を演じた有沙さんの歌や演技力がこれでもかとばかりに素晴らしくて、わたしは今でも映像を流せばあの日の余韻に浸ってしまいます。本当に演出・キャスト全てを含め素晴らしい作品だなあと今でも感慨深く思います。



 そして今年上演された 『Le Rouge etle Noir』 でのヒロインも、本当にとんでもない素晴らしさでしたが、その素晴らしさをまた更新したのが退団公演である 『1789』のマリーアントワネット役です。

 まさに有沙さんの娘役集大成に重要な役柄であり、無邪気なのに貫禄があって、どこまでも高貴な美しさを魅せてくださり、そして極めつけのあの美しい歌声。さらには感情を持っていかれるあのお芝居。


 千秋楽、 「これでいいのよ」の台詞だけで、映画館の片隅でどれだけの涙を流したことか……。


 もう本当に、本当に、大好きな作品の大好きな役柄を、 大好きな娘役さんに演じてもらえる幸せに感激いたしました。



 こうやって振り返ってみると、 有沙さんは「常に今が全盛期」とばかりに、どの時代も舞台をその力強い存在感で彩ってきてくださいました。
 だからこそ、これから先何年宝塚に在籍しても、「常に今が全盛期」 を発揮してくださるだろうと想像しては、退団を本当に惜しんでしまいます……。


 有沙さんは下級生の頃から抜擢続きでしたし、池田泉州銀行のイメージガールに選ばれたこともあって、抜擢に対して厳しい意見を述べる方々もいらっしゃいましたが、それを跳ね除けるほどいつだって素晴らしい実力を魅せつけてくださり、 舞台を上質にしてくださってきた有沙さん。


 彼女が雪組からいなくなると思ったときの喪失感もすごかったですが、有沙さんが星組どころか宝塚からいなくなってしまう喪失感は、今は未だ言葉に出来ません……。



 それほど、心に届く舞台をいつもわたしたちに届けてくださった有沙さん。

 退団は本当に寂しく、惜しく、まだまだ現実味もございませんが、有沙さんが悔いなく卒業できますよう、どうか、どうか、東京公演は初日から大千秋楽まで無事完走できますことを心の底より願っています。



 有沙さんの娘役集大成、ひとりでも多くの方がその目に焼き付けることができますように。


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