ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

花組公演再開前の木場理事長の声明について


 本日、花組 東京宝塚劇場公演『鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)』 『GRAND MIRAGE!』が、10月6日(金)より公演を再開される旨が発表されました。


 「公演の再開にあたっては、 出演者の体調面に十分配慮し、公演運営に万全を期してまいります」とのことです。


 本音を言いますと、午前中は公演再開に対して喜びより心配の気持ちの方が大きい複雑な心境でした。

 それは花組公演再開が嬉しくないということでは決してなくて、 本当の意味で心配事と不安が胸の内に沸き起こってくるからです。



 まずは今回お亡くなりになられたことについて、 劇団がしっかりと向き合ってくれているのか、向き合う意識があるのかが私たちには分かりません。

 当たり前ですが、事実をどこまで公表するのかはご遺族の意向が最大限に尊重されるべきであり、何もかもの情報開示を求めたいなどとは決して思っていません。


 ですが、それを「隠蔽」だという人や、「時間とともにほとぼりが冷めるのを待ち、何事もなかったかのように風化させようとしているのではないか」と考える方がいらっしゃる気持ちもわからないではないです。


 だって、わたしたちはこれから劇団がどんな対応をしてくださるのかの未来視はできないからです。



 今、宝塚歌劇団の体制が宝塚ファン以外からも問題視されていることについては、劇団側も認識していると思います。 誰にも真実はわかりませんが、週刊誌等での報道により宝塚歌劇団という組織そのものを極端に敵視されている方もいらっしゃいます。



 そんな中での公演再開において、花組の皆様が批判や非難の的にならないかが心の底から心配でした。




 心配な気持ちを抱えたまま明日を迎えるのはしんどいなと思っていた頃、「宝塚歌劇団 理事長より」と題して新たな発表がありました。以下、引用させていただきます。



『このたびの歌劇団生徒の急逝につきまして、改めまして、心より哀悼の意を表するとともに、お客様にご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。


 また、宝塚大劇場並びに東京宝塚劇場の公演を中止させていただくこととなり、重ねてお詫び申し上げます。
 歌劇団といたしましては、生徒の体調を最優先に考え、一人ひとりの心身のケアに取り組んでおります。

 東京宝塚劇場公演については、公演の安全な実施が困難と判断し、急遽公演を中止させていただきましたが、医師や専門家にも診ていただける体制を整えて、一人ひとりの思いを聞き取ったうえで、明日より公演を再開させていただく運びとなりました。

 どうかあたたかく見守っていただけますようお願い申し上げます。


 なお、一部週刊誌において、弊団生徒の逝去に関する記事が掲載されておりますが、ご親族の心情ならびに関係者の心身の状況を考えると、このような時期に、個人の尊厳やプライバシーを侵害するような内容が記載されておりますこと、甚だ遺憾に存じます。

 報道関係の皆様におかれましては、ご家族、ご親族の深い悲しみにご配慮いただき、ご親族への取材や、歌劇団員や近隣への取材、憶測での記事掲載などはご遠慮くださいますよう、お願い申し上げます。


 また、SNSやインターネット上における、不確かな情報に基づく噂や憶測あるいは誤った情報の拡散や誹謗中傷により、関係者が多大なる精神的ストレスに晒されております。このような心無い記載はどうかお控えいただきますよう切にお願い申し上げます。

  宝塚歌劇団理事長 木場健之』




 以上のような文章が公開されました。


 トップさんたちの挨拶は否応なしに注目を浴びます。明日からの公演再開において、とくに千秋楽での挨拶等、その注目を柚香さんや美風組長がすべて引き受けなければならないのかと思うとどうしても公演再開に対して手放しに喜ぶことができませんでした。


 劇団が今回のことに関してしっかり向き合う気持ちがあるならば、公演再開の口火を切ることになった花組公演再開に先立ち、事前に理事長からの挨拶ならびに説明があってほしい。

 そう願っていたので、今回例え形だけであっても、そういう誠意があったことは最低ラインとして良かったと思います。



 あとは、明日無理して舞台に立つ人がいないことおよび劇場付近等でジェンヌさんやスタッフの皆様の入り出を狙って心無い人がつきまとわないことを遠くから祈っています。




 そして今回の後半部分には改めて大切なことが記載されていました。


 今回のような取り返しのつかないことが起き、さまざまな憶測や誹謗中傷が飛び交っているのは皆様ご存知だと思いますが、過激なものによって二次被害が起きたらと思うと心が凍りつきそうになります。

 劇団からの後半のお願いを無視して突き進んだ先に手に入れられるものは、取り返しのつかない傷跡だけだと思います。



 疑う気持ちやこのままでいいのかという不安が胸につかえている方は大勢いらっしゃると思います。わたしも正直、もやもやとした言葉にならないような居座りの悪い気持ちが心の真ん中にはあります。

 しかしながら、わたしたちには憶測で人を裁く権利はありません。その憶測が例え正義感に基づくものであっても、司法そのものではない私たちは、人を裁く権利なんて持ってはいないのです。それを今一度咀嚼してほしいなと思います。


 また、わたしたちが部外者だからこそ、部外者ではない劇団にどうにかしてもらわなくてはいけません。


 あえてキツイ言い方をしていいのならば今回の劇団によるお願いは、「生徒さんのために黙することが大事」だと、ファンの心を利用しているわけです。わたしたちは「生徒さんのため」という使命感にはとても弱い生き物なので、宝塚ファンの多くは憶測を広げないよう心がけると思います。



 ですが、わたしたちは見守ることしかできないのですから、劇団にすべきことをしてもらわなければならないのです。

 劇団側がこちら側にお願いをする権利があるように、こちら側も劇団にお願いする権利はあるはずです。



 わたしたちファンがお願いすることは「ごく自然で当たり前のことだけ」です。


 「今回の悲しい出来事としっかり向き合ってください。自分たちの何が至らずこのような悲しい出来事が起きたのか身を持って理解してください。そしてご遺族の方に誠心誠意尽くしてください。」そして、「綺麗な言葉だけを並び立てるだけではなく、それを行動で示してください。」というお願いです。


 宝塚には110年に近い歴史と伝統があります。その伝統を守り抜くことはとても大切ですが、人の命や人権より大切な伝統などこの世にはひとつとしてありません。

 宝塚の良い部分は今後も大切に残していきたいですが、悪い部分は変えていかなければなりません。この意識がなければまた同じことが起きる可能性があります。行動です。ここで、行動をしなければいけないんです。



 今回の件で二度と宝塚を見ない人がいると思います。今後の劇団の対応でこれからの宝塚を見ないと決める人も出てくると思います。何度も何度も、今、行動を起こさなければならなかったんです。いちファンとしてのお願いです。どうか、今後の劇団のあり方を間違えないでください。



 何の権利もない部外者として言えることはここまでだと思います。あとは、明日の花組公演が誰ひとり無理強いされない上で(休みたい人は休める上で)無事に上演されることを心から祈るのみです。
 


 最後に。何度も言いますが、今回の訃報を取り扱う際、亡くなられたご本人、そしてご家族や関係者への最大限の配慮が一番に考えられますことを心より祈っています。そしてご遺族をはじめ、今回の訃報で傷ついたすべての人がこれ以上傷つくことがありませんことを心の底より祈っています。


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