ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

新人公演と労働時間とスケジュールについて思うこと


 まずは本日、月組東京宝塚劇場公演『フリューゲル -君がくれた翼-』『万華鏡百景色』を休演されていた白雪さち花さんが、11月12日(日)11時公演より復帰されました。


 白雪さん、公演復帰本当におめでとうございます。


 そして麗さん、桃歌さん、天愛さん、白河さん、咲彩さん、それぞれ代役・代役の代役、本当に本当にお疲れ様でした。


 この状況下の中で舞台に立つこと、さまざまな不安や怖さがあるとは思います。

 どうか皆様ご無理だけはなさらず、そして何より、月組の皆様の心身の健康を、休演中である彩音さん、飛翔さんの快癒を心の底より願っています。







 そして宝塚は今、労働時間に対する問題が浮き彫りになっています。


 稽古等の話になると労働時間問題は議論が難しそうですが、先日のご遺族側の訴えで初耳のことがたくさんありました。それは新人公演に関するものです。


『新人公演に向けた稽古や約45人いる下級生の指導のほか、女性は演出家の補佐、役柄配置の決定、シナリオ作成といったものまで担っており、歌劇団は極めて過重な業務を課していたとした。』


 新人公演の長の期が新人公演学年全員を引っ張るのは、一番学年が上の立場として「士気を上げる」とか。「まとめあげる」とか。そいう意味あいだと思っていたんですよ。

 
 それが今回、「女性は演出家の補佐」に「役柄配置の決定」に「シナリオ作成」という業務内容の公表。

 いちファンとしても「なんでそんな業務を、演出家を目指しているわけではない、ましてや本公演も新人公演も控えている一部の生徒に任せるのか。本当なんですか??? 本当だとしたら正気なんですか???」という気持ちでいっぱいになりました。


 長いこと宝塚を観てきましたけど全く知らない事実で、毎公演そうなのか全組そうなのか分からないのですが、彼女のスケジュールを知って、普通に泣きました。私も社会人で、勤務時間以外に資格の勉強などありますが、それでも今回公表されたのは(こんなの絶対無理)と引くようなスケジュールでした。


 私は新人公演を無くせなんて言いません。ただ、「新人公演に出演するだけでなく引っ張っていく立場の生徒に対し、芸事に集中出来なくなるような業務まで押し付けるのは違いませんか?」という気持ちだけは訴えたいです。


 どの新人公演もそれが常だったのかは分かりませんが、その業務がなくなるだけで、負担は随分変わってくると感じました。

(というか彼女自身が声を上げたにも関わらずこれに対する改善措置がなされなかったことは非常に罪深いと思います)


 あとはもう、私の意見でしかないのですが、そもそも「A組の大劇場の千秋楽 (日曜)からB組の初日 (同じ週の金曜)までの準備期間がわずか中4日なのは短すぎるんじゃないか」と思います。


 各組千秋楽迎えたら1週間足らずで集合日を迎え、本番が始まったら週1のお休み以外ずっと舞台に立ち続ける。


 この「あんまりにキツキツの公演スケジュールを見直さないと、新人公演稽古含めた労働時間問題は恐らく解決しない」と私は思います。

 言い方を変えれば、「このキツキツの公演スケジュールを見直せたとき初めて、劇団の労働時間問題は多少解決する」のだと思います。


 素人考えですが、千秋楽から初日までの「中4日」という期間を「中11日〜15日」ほどに延ばせば、それだけ生徒さんたちも休める時間・休める日が増えるわけです。


 幕が開くまでの日にちが増えたら、もちろんですがゆとりができます。ゆとりが出来ると無理なスケジュールが緩和されます。無理なスケジュールが緩和されると普通の社会人と同じ程度の労働時間に近しくなります。


 今は週に1日の休演日ですが、週に2日の休演日もアリだと思います。生徒さんやスタッフさんたちの心身の健康のためならチケットが取りづらくなろうがチケット代が上がろうが、私は受け入れます。じゃないと、誰かの犠牲の上に成り立つ構造は変わらないと思うからです。


 長年宝塚を応援してきましたが、こんなに悲しい出来事は初めてでした。誰がどんなに悔やんでも彼女の尊い命は戻ってこないので、今からの改革なんて本当は遅いんです。

 しかしながら、このままでは同じことが繰り返されます。もう二度と同じことが起きてほしくないので、それをご遺族が彼女の苦しみと共に訴えてくださったので、きちんと受け止め、根本的に改革をしてほしいです。


  内情を知らない部外者なので口を噤むべきだとも分かっているのですが、


「スケジュールを見直してほしい」

「新人公演でのよく分からない業務を長の期に任せて苦しめないでほしい」

「芸事に身を置いている以上、歌も芝居もダンスも自主練習したい気持ちがあるだろうに、よく分からない業務のせいでそういう時間を奪わないであげてほしい」


 部外者だからこそ、ご遺族の方の訴えを聞き、以上の願いが込み上げてきたので、記させていただきました。(パワハラの件についてはまた今度記します)




 今回の件で新人公演に対して負の側面ばかりが目立つ反面、生徒さんたちにとってその学びの場がどれほど大切なものであるかも知っています。

 劇団が「根本のスケジュール見直し」を、そして「長の期への仕事内容改善」をしなければ、この学びの場は失われる可能性があります。


 もちろん生徒さんたちが、「新人公演なんていらない」と言うのなら、そんなもの必要ありません。もう上演しなくて構いません。ですがおそらく、生徒さんたちにとって新人公演はそんなに軽いものでも蔑ろにしていいものでもないと思います。


 劇団がこれから先、どういう環境づくりをしてあげるかによって、生徒さんたちの未来は確実に変わっていきます。


 まずはご遺族の皆様への対応が第一ですが、亡くなった方ととことん向き合えば向き合うほど「劇団が改善しなければいけなかったもの」は確実に見えてくると思います。


 ご遺族に誠心誠意尽くしながら、「変えていくべきものについては、全力で改革に取り組んでまいります。」の言葉通り、全力で改革に取り組んでください。



 最後に。近日中にお知らせされるだろう調査結果および今後の改革の方針が、何の反省もないと感じさせる内容でないことを、ご遺族の意志が尊重されたものでありますことを心より願っています。


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