ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

義務とこだわり。難しいけれどファンに出来ることもあるよね話


 亡くなられた方のハードスケジュールにたくさんの人が心痛めている中、その件に感化され、私たちファンでも知っている「娘役がしている作業」について、さまざまな意見を見受けました。


 というのも、娘役さんが手作りするアクセサリー等についてです。


 数年前、とある娘役さんの髪飾りが市販のもの。それに手を加えたものをつけていて「手抜き」だと指摘しては憤慨しているファンをSNSで見かけました。確か、コロナ禍前でしたかね。何年経っても未だに忘れられない意見です。


 元々宝塚ファンとして入団したわけではないことなど含め、そもそも彼女が気に入らなかったのでしょう。

 何かにつけて彼女の悪口をSNSに記していた方だったので、(また責められるポイントを見つけた。こんな子を抜擢するなんて有り得ない)みたいな気持ちでSNSに書き連ねていたのだとは思うのですが、まあ辛辣でした。


 ですが、そんな辛辣なひとりの意見は、SNSが発展したことにより、「相手に直接的に届くかもしれない悪口」になりました。


 その人が言うまで、誰も市販とか気にも留めていなかったのに、「やっぱり宝塚愛がないから手抜きなんですね」と賛同するようにいいねがついていたり。


 つまり、「市販品を使うなんて手抜きで、娘役として手を抜いていて、やっぱり宝塚への愛情なんてない」みたいな論理を生み出す人たちがいました。


 「細かい作業が好き、嫌い」は誰にでもあるのに、「得意、苦手」も誰にでもあるのに、「市販品を使うと叩く人たち」が一定数いて、それはもう生きづらかったと思います。


 (ちなみに私は、「市販品かどうか分かるなんてどういう審美眼を持っている人なんだろうな」という感想でした。)



 そしてもし彼女が全部手作りしていたとしても、その人は「センスがなさすぎ」とか「あんまりにへた」とか。結局彼女の悪口を記していたように思います。


 話が逸れましたが、まあ、そんなふうに、娘役への指摘が厳しい人が、SNSでは目立っていたんですよね。

 そういうこともあって、(細かい作業まで自分の仕事であり、買って終わりは娘役としてよくない)とか。そういう先入観を持ってしまった娘役さんもいるんじゃないかなと思っていて。


 つまり、アクセサリーづくりなんかは、ファン(ではない人たちも含める)の意見や理想像や要求によって、娘役さんたちを追い込んでしまっているところもあると思うんです。


 大抵のファンは既製品であろうが誰かから貰ったものであろうが、その人に似合っていたら、その人を輝かせていたら気にもしません。(と、私は思っています)


 ですが、アクセサリーや髪型、お団子キャップの作成など、それらすべての自作がこれから先「悪しき習慣」だと片付けられるのは、「んんん?」と引っかかってしまいまして。


 これは別に伝統を重んじろというわけではなく、「こだわりたくてこだわっている人に口出ししてその人の自己プロデュースの邪魔をするのは違うんじゃないかな」ということなんですね。


 例えば私のしょぼい例ですけど、文化祭とかステージに出るとき、めちゃくちゃ気合い入れて髪巻いて編み込んだり、その日のためにクラスTをアレンジしたり、そういう、「誰のためでもなく自分が満足するためにしているこだわり」っていうのがありました。本番でどんな髪型にするかとか。考えて実行する時間はとても楽しかったです。


 だから、舞台に立つ娘役さんたちのこだわりは、あっていいと思うんです。より自分に似合うものを身に付けたくて、素敵になりたくて、アクセサリー作りにもこだわりたい娘役さんがいる。それは、何も悪いことではないと思います。


 問題なのは、こんなキツキツの環境下でそれを「義務」にしちゃダメだよねってことなんですよね。ですから、


 ①劇団が貸し出せるアクセサリーがある。

 ②購入したものを使ってもいいしその一部をアレンジして使ってもいい。(購入費や材料費は経費)

 ③作りたい人は作る。(材料費は経費)


 など。例えばこんなふうに、選べる選択肢を用意しておくのが一番いいんじゃないかなと思っています。

 スケジュールを緩和すれば、③で睡眠時間が削られるほどギリギリの環境にもならないと思います。(なので一番大切なのはやっぱりスケジュール緩和ですが)


 絶対的に見直しが必要な宝塚ではありますが、問題は「手作り」じゃなくて、「経費に出来るかどうか」と「時間」だと私は思っています。

 彼女たちのためを思って「手作りは悪・自作文化は即効廃止」と決めつけることは、彼女たちの自己プロデュースを、表現の場を阻害することに繋がるのかもしれませんし、私は選択の幅を広げたらいいんじゃないかな、と考えます。


 宝塚に対して最近さまざま考えますが、舞台や芸術に関する労働環境って、考えれば考えるほど難しいなと思います。


 そして考えてもファンに出来ることはあまりありませんが、ファンとして出来ることは、「男役さん・娘役さんたちを追いこみすぎる発言をしないことに尽きる」と。最近しみじみ感じていますので、私も気をつけていきたいなと思います。



 今の宝塚を好きでいていいのか。たくさんの人が思い悩んでいることが伝わる今日この頃。

 調査結果および今後の改革の方針内容が劇団から発表されたとき、「これからも宝塚を応援する人」と「もう応援できない人」で分かれそうですが、前者の人が増えるよう、ご遺族への誠心誠意の対応含め、劇団が真っ当な発表をしてくださいますことを心の底より願っています。


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