ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

音楽学校での報道について思うこと


『「人間以下の扱い」 元劇団員が激白・・・ 宝塚歌劇団での日々 上級生40人に“連続謝り”トイレ行かせてもらえず「粗相する子も」』(https://news.yahoo.co.jp/articles/8a7d79920247cef86137613fed5d79c1ad9f2325)


 彩風さんの退団会見があった日、仕事から帰ってテレビをつけると、フジテレビ系列で上記のニュースが放送されていました。


 翌朝もニュースで取り上げられていて、「連続謝り」がトレンドに入っているほどで、あーまた世間での宝塚のイメージが最悪のものになってしまっただろうな……と感じました。


 音楽学校の話と入団してからの話をされていましたが、多分世間がドン引いたのは音楽学校の話の方かなと思いました。(なぜなら私も事実か事実でないかは置いておいてその内容にドン引いたからです)


 当たり前ですが顔とお名前、何期生かは伏せられているので、いつ在籍されていた生徒さんかは分かりません。ただ、亡くなられ方に対して「話聞いてあげればよかった」 とおっしゃっていたので、勝手な解釈ではありますが亡くなられた方よりも学年が上で同組だったのかな……とは思いました。



 私には今回の証言が1から100まで真実なのか誇張はないのか、何期生たちの時代なのか、など。そういった詳細な部分は分かりません。


 ただ、「毎年こういうことが行われていてそれは今なお続いている」かのような報道の仕方は、宝塚にさして興味がない人ほど既成事実として受け入れられ、今の音楽学校に通う生徒さんたちが誹謗中傷される要因になるかもしれません。

 現状と比較しない報道の仕方については、いちファンとしてはあんまりに繊細さがない扱い方だな……とは感じてしまいました。




 というのも、私は NHK 生活情報クラブに掲載された『不文律見直し 宝塚音楽学校に聞いてみた』【2021/10/8】(https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/800/455274.html)を拝見した
ことがあるのですが、数年前ニュースになった宝塚音楽学校で不文律の指導方法の見直しがどのように行われたのかが記されています。


 以下、引用させていただきます。


「本科生(上級生)が予科生 (下級生)を選び、1年間、1対1で指導する仕組み」

「生活記録や掃除の状況などを、予科生がノートに書き、本科生に提出させることが過度になっていたこと」

「上級生が乗っているかもしれない阪急電車へのあいさつ」

「上級生の前では眉間にしわを寄せて口角を下げる「予科顔」という表情をすること」


 こうした指導方法は生徒の間で受け継がれてきた 「不文律」 だったとされ、見直されたことは、数年前ちょっとしたニュースになりました。


 結果として、「1対1の指導を、より透明化・客観化できるようグループ単位での指導に変更したほか、電車へのあいさつなどもほとんど見られなくなった」 とされています。


 この裏に 106期生の飛び降りがあったとは当時の私は知らず、のんきに変わるべきところは変わった方がいいよなあくらいにしか思っていませんでしたが……。



『学校によると毎年の学年末、新しく入学してくる生徒を指導することになる “新・ 本科生 ” が全員で学校側と協議するそうです。
 そして1年間受けてきた指導方法に過度なところはないか、自分たちが指導するに当たって足りていない部分は何かなど、 後輩への指導方法の見直しを話し合います。』


 本科生が全員で学校側と協議をするということは、学校側は「どんな指導をするか」知る機会がきちんとあって、しかもその指導を認めている、ということです。このあたり、きちんと機能していれば、健全な指導だけ生き残ると思うのですが、協議の仕方が分からない以上コメント出来かねるな……というのが本音です。



 宝塚音楽学校 広報担当者の方は、「私たちは宝塚歌劇団で舞台人となるためだけの学校です。 ここで過ごす 2年間は『修行』 ですし、『舞台人としての心構え』がすべてに優先されます。 それは学校側がああしなさい、こうしなさいと言って育つものではなく、上級生から下級生へと伝達されるものだと考えています」と回答されていました。


 そのうえで、「舞台人としての指導をすることに変わりはありません。 団体として1つの舞台を作り上げるという性質から、協調性、あるいは上の方針に従うという要素はなくすことはできず、制約なしに自由気ままな学校生活ということにはなりません。 ただ、時代が変わっていることも踏まえながら、是々非々で、改善を進めていきたいと考えています」とも締めくくっていました。


 この広報担当の方のコメント、なかなかにハラスメントを黙認しそうな雰囲気があるな……と当時感じたことは記憶に新しく。


 学校が修行の場であっても、舞台人としての心構えがすべてに優先されても、上の方針に従うという要素はなくすことはできなくても、それはまあ芸事に身を置く以上、致し方ない部分もあります。


 ただ、人間としての尊厳を踏みにじられることは、決して許されることではなく。それは中学生にだって芸能人にだって適用される当たり前の事実です。


 まあ何が言いたいかと言うと、確かに芸事に関しては学校側がああしなさいこうしなさいと言って育つものではないかもしれませんが、「立場が下の子たちの尊厳が踏みにじられるようなことをされそうなとき」は、上級生に対して注意と反省を促せるちゃんとした大人がいてほしいということです。





 ここまで記しましたが、私は内部の人間ではないので、報道をでっち上げと決めつけることも証言を100%信じることもしません。

 ただ、106期生の飛び降りのこと、毎年指導の見直しを学校側と協議すること、さらにはコロナ禍もあった中で、音楽学校の中身は毎年変化があり、ここ数年はかなり大きめの変化が起きているんじゃないかな、とは思います。


 その変化が毎年良い方向へと更新しといってくださることをいちファンとしては願うのみなのですが、とにかく、例え「上の方針に従うという要素はなくすことはできない」としても、上級生だからといって下級生に何をしても許されるようなこと、黙認されるようなことはあってはならないという当たり前のことが、今の音楽学校では通用していてほしいとひたすらに願っています。



 最後に。人が生きる上で当たり前に大切な尊厳が伝統や指導によって踏みにじられるのなら、それは誇り高き伝統ではなく一刻も早く廃止した方がいい悪習でしかないと私は思います。どうか、上級生下級生スタッフ等関係なく、人の尊厳が守られる。そう断言できる劇団になってくださいますことを心の底より祈っています。


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