ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

理由は大事。公演中止の中身とそのハードルについて思うこと


 宝塚の公演中止とはまた別なのですが、いろいろ思うことがあるので記したく。



 というのも先日、ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』初日 (2/6) 〜2/8の公演中止のお知らせが発表されました。



 最近、舞台およびミュージカルの公演中止は多い為、また体調不良等の関連かなと思っていたところ、

 「開幕準備に想定以上の時間を要すこととなり、 万全の状態で公演をお届けすることが難しいため、やむを得ず2月 6日 (火)〜8日 (木)の公演を中止とさせていただきます。」との理由が掲載されていました。



 2月10日 (土)以降の公演につきましては、東宝演劇ホームページにて 2月8日(木) 16:00までに改めてご案内があるとのことなのですが……。



 いやいや、数日前の中止理由がこれなんですか……??? 私は梅芸で本作を観劇予定なのですが、これは流石に、私なら納得できません。



 そもそもの話、近年はあまりにも舞台やミュージカルの公演中止のハードルが下がってきているように思います。


 もちろんすべての中止が悪ではありません。必要な公演中止は存在します。しかしながら、反対に、「すべての中止が何でもかんでも許される、納得されるわけではないこと」だけは記しておきたいなと思いました。



 というのも公演中止について、 コロナ禍前とコロナ禍後では、随分とそのハードルの高さが違うように感じます。


 コロナ禍前ではさまざまなミュージカル・舞台において、 「公演中止」というものは非常に珍しい出来事であり、私自身、台風等の自然災害以外の理由での公演中止に当たったことなどありませんでした。


 それがコロナ禍に入り、まずは舞台そのものが上演することができなくなりました。

 月日の経過とともに幕が上がるようになれど、演者・スタッフの皆様の罹患によって公演はやむを得ず中止になることも頻発し、チケットを取っていても観劇できるかどうかは「運」 でしかなかったです。


 それからまた月日は流れ、 ルールは緩和され、舞台を通常通り実施できるようになったのは去年のことです。


 それでもなお、2023年から本日にかけて、あちこちの舞台・ミュージカルが 「公演中止」 になりました。

 公演ごとさまざま理由がありますが、「昔なら演者やスタッフに無理をさせていたところ、どうしても無理な時 (体調不良等)は休ませるようになった」ために、公演中止が発生する事態は多かったように思います。


 私は演者・スタッフの皆様の健康がなければ舞台は成立しないと思っているので、そういった理由ならば、公演中止はやむを得ないと思っています。この場合の中止は悪ではありません。



 ただ、公演中止というものは観客としては本当に辛い事態です。精神面でも辛いのに、数日前の中止決定は、キャンセルが間に合わないゆえの遠征費用が発生する金銭面での辛さも存在します。


 そのため、 公演中止の理由は「観劇する側が納得できるようなしかるべきもの」であるべきなんです。むしろ、中止にはそれが必須事項だと思います。



 しかしながら今回のジョジョミュージカルの中止理由は「準備に想定以上の時間がかかる」というものであり、私としてはまるで納得できないと感じました。



 もう一度言いますが、私はジョジョミュについて梅芸で観劇予定なので、 公演中止回に当たっている当事者ではありません。


 けれども、初日のチケットを取る人がどれだけ本作を楽しみにしていたかなんて想像にたやすく、そのような方々にこれだけの中止説明しかないことは部外者でさえ甚だ遺憾であり、当事者の皆様の虚しさや辛さは計り知れません。



 この理由ならば、少なくとももっと前に中止を発表することができたはずです。



 イレギュラーな何かが起きたのかもしれませんが、それならば、その公開できうる限りの詳細な理由を記すことこそ、公演中止に対するせめてもの誠意だと思います。



 私は当日の公演中止にぶち当たったこともあります。公演中止という悲劇に対する感覚がコロナ禍以降麻痺してしまった自覚もあります。


 劇場前で絶望するものの、まだそれを受け入れてこれたのは、演者の体調不良等、無理して幕を開けさせてはならないと感じる理由があったからです。




 これから先、今回の中止に関してもっと丁寧で納得できるほどの理由が公表されるかもしれません。


 ですが、それは初めから公表されてしかるべきでしょう。炎上したから公表するなんて順番はおかしいですし、もしも公表されないのなら、おざなりにもほどがあります。



 プロ意識の高い荒木先生の、魂こもった素晴らしい作品を扱う舞台なのだから、その作品を扱うにふさわしい運営体制であってほしかった。


 初日〜8日のチケットを持っていた方々に、それ以降のチケットを持っている方々に、何のモヤモヤを抱えることなく楽しく観劇してほしかった。


 原作ファンで、ミュージカルは初めてという方々もいらっしゃるだろうから、そういう方々に、ミュージカルの世界に浸ってほしかった。


 東宝は、今回の発表で、どれだけの人を蔑ろにしたのか、傷つけたのか、がっかりさへたのか、誠心誠意自覚してほしい気持ちでいっぱいです。



 せっかくのジョジョミュージカル。 原作が大好きな人間として、ケチなんてついてほしくなかったですし、チケットを取った全員が楽しく観劇できる日々を過ごしてほしかった、本当にただそれだけです。



 納得できる理由が提示されていない以上、私は今回の件については「酷い中止だな」と嫌悪するしかありません。


 ジョジョファンとして、傷ついた人たちの気持ちを考えてほしいですし、ミュージカルファンとして、こんなの殿様商売だと敬遠されてしかるべき失態だと自覚してほしいです。


 私がここで何を記しても仕方ないのはわかっているのですが、 (そのため東宝に意見も送りますが)「コロナ禍で感覚が麻痺してしまっているけれど、 公演中止はしかるべき理由がなければ到底納得できないもの」だということは改めてここに刻んでおきたいなと思います。



 同じ舞台は二度と戻ってこないので、本当の意味での代替等無理なのですが、せめて、2月10日からジョジョの舞台が幕開きますことを、中止チケットを持っていた方々に救われる何かがありますことを心の底より祈っています。




 こんなふうにジョジョが話題になること、本当はすごく嫌で、取り上げるかも迷ったのですが、なあなあにしていい問題ではないですし、決して他人事ではないため、記させていただきました。不快な思いをさせてしまった方がいらっしゃいましたら、申し訳ありません。



 最後に。もう一度言いますが、公演中止のすべてが悪なわけではありません。しかしながら、そこにはしかるべき理由が必要であり、これから先、理不尽な公演中止がどの界隈でも起きませんことを心の底より願っています。




 追記・本日、中止理由やチケット返金・遠征費用等への補償に関する発表がされました。補償が手厚くとも同じ公演は二度と返ってきませんが、皆様が泣き寝入りにならなかったことだけはよかったです。ジョジョミュが皆様にとって嫌な思い出で終わりませんように。この悲しみに等しき幸せがありますよう祈っています。


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