ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

雪組『蒼穹の昴』原田先生は大丈夫なのか


 まずはじめに、わたしは専科の方々が大好きです。
 芝居を締め、 まとめあげ、若手たちの手本となり、役作りの見本を見せる。 作品を何倍も良いものにしてくれる専科の方々が、わたしは大好きです。

 宝塚で培ってきた力で舞台を深める専科さんが本当に大好きなのですが、 専科の方々は確かな実力を持っているがゆえに、 「確実な役付き」 があります。 (というか、やってほしい役があるからこそ専科さんは招かれる)


 何の話をしているのかと思われるかもしれませんが、 先日 『蒼穹の昴』 の出演者が発表されました。

 驚いたことに、 専科から6人もご出演の本作。 (これだけの人数の出演はかなり前まで遡ります。 専科6人の出演は恐らく歴代で二番目の多さだと思われます)


 劇団が、 雪組のために、彩風さんや朝月さんのために、力を注いでくれるのはとても嬉しいです。 絶対成功させようという気概も感じます。
 スポンサーをつけて、潤沢な資金で、 豪華絢爛な舞台にしてくださるなら、こんなに嬉しいことはないです。 見ごたえたっぷりの予感がして、今からわくわくが止まりません。
 そもそも、浅田次郎先生の原作小説はまさに歴史超大作で、人々の関係性や物語の展開に唸り、手が止まらないほど面白い、 最高級の内容です。(時代の波に翻弄される若者たちの描写がとにかくすごいです)


 公演解説にて、「壮大なスケールで挑む」 の文言を読んだときから、期待がとても膨らんでいます。 この面白い、 ドラマ化もされた大作を、 宝塚でどんなふうに上演されるのか。


 期待は膨らんでいるのですが、 今回の発表により、「路線外の雪組生たちが本当にちゃんと輝けるのか」が心配になってきました。 (娘役は元々心配だったし、 発表後には男役に関しても心配しています)


 わたしは本作決定のとき、 娘役の出番は気になったものの、男役の役が多いだろうことに安堵していたのですが、 まさか専科さんが6名も出るとは思っていなかったです。 ( 2〜3名かな、と思っていました)


 せっかく出演してくださる専科さんを雑に扱われるのも嫌ですし、 下級生を雑に扱われるのも嫌なわたしは、 専科からの6人の出演について、「原田先生はそれだけの専科人数とフルメンバーの雪組生たちを使いこなせるのか」ということに引っ掛かりました。 (専科6人の豪華な出演は、ヅカファンの興味を促す良い宣伝にはなると思うんですけれども)



 原田先生の得意分野は勝手に、 「衣装、舞台装置、重厚な男役、歴史、コメディ」 だと思っています。


 原田先生はポスターをはじめ、 極上な衣装や、 「そうきたか!」の舞台装置など、 「壮大なスケールを挑むのに相応しいビジュアル感覚」をお持ちだと思います。 (ポスターなんて毎回「さすが原田先生〜」 ってなります)


 そんな原田先生の舞台でいつも惜しと思うのは、娘役の使い方 (ブロードウェイ・ミュージカルは別)です。


 恐らくなんですが、 歴史ものや、 男たちの権力争いや革命なんかが得意な原田先生は、芝居の中に恋愛を上手に組み込むことが苦手だと、今までの作品を観てきて勝手に思っています。
 渋くて格好良い男たちの生き様を描くのは得意なのに、 乙女たちの心は置き去りで、過程も余韻もないけれど取り敢えず最後くっつけとけ展開が多いな、と思っていまして。 (それはそれでアリな作品もいっぱいある)



 だから、 原田先生は専科の方々が大好きだと思うんです。 蒼穹の昴は武官に政治家に軍人など、 原田先生が好きだろう重厚な登場人物であふれているので、好みど真ん中なんだと思います。


 わたしも専科の方々が大好きだから良いんですよ。 だけれど同じくらい、 雪組生たちも大好きなんですね。
 思い浮かぶ貫禄のある役柄を専科の方々に演じてもらえるのは、 原作ファンとして至上の喜びなのですが、 雪組ファンのわたしが、「じゃあ雪組生たちの役は……? 記者か???」 と心配してしまうわけで。(もちろん蒼穹の昴には細かい役がたくさんあります)


 先日の夢介での新公でも、下級生までお芝居にこだわっていて、 とても良い作品をつくりあげていました。
 それに、奏乃さん、 透真さん、真那さん、 久城さん、叶さん、 諏訪さんなど、 上級生の方々は、貫禄ある役が回ってきても良い役づくりをされると思います。


 「雪組公演」なのでね。あまり専科の方々に頼りきらず (かと言って雑に扱わず)、 雪組生も存分に使う『蒼穹の昴』 になったらいいなと思います。 (一本物なので原田先生頼みます)


 一本物は、スポンサーのつきやすい豪華なミュージカルに仕上がり、作品として申し分ないものが多いのですが、下級生の役の少なさに泣かされることが多いので……。
 さききわの代表作になりそうな気配がするからこそ、 同じ轍を踏まないで欲しいな……と思います。


 また、「宝塚歌劇版としてドラマティックに」と公演解説にも記されているので、原作は大切にしつつ、宝塚歌劇版としてドラマティックに、 朝月さんをはじめとする娘役もちゃんと輝く舞台になることを願います。



 専科の方々が6名も出演する 『蒼穹の昴』、迫力は今までの宝塚の作品の中でも一、二を争うことになると思うので、あとは原田先生が雪組生たちにどれだけ 「やりがい」 を持たせられるかだと思います。

 お稽古の頃には108期も加入しているでしょうし、「物語のスケールの壮大さを完成させること」 と同時に 「最下級生まで目を向けること」にも気を配って欲しいなと思います 。 (また、 本作は彩風さん主演舞台として代表作及び人気作になりそうな雰囲気が漂っているので、 この作品で雪組下級生の魅力を売らないと勿体ないとも思います)


 長い長いこの物語を、恐らく主人公を変更して描かれる本作。 原作ファンの人間としては、 決定したときから楽しみで楽しみで毎週ムラに通う気なので、 専科さんの迫力と雪組生の力が美しく融合したらいいなと思います。


 原田先生初めての大劇場1本物が、専科生及び雪組の皆さんと共に大成功しますように。(そしてチケットが取れますように)


 まずは美麗だろう原田先生監修の 『蒼穹の昴』 ポスター (予想は複数人タイプ) が今から楽しみです。



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