ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

チケットを取らなかったことを本気で後悔した花組『二人だけの戦場』について


 本日は待ちに待った花組公演『二人だけの戦場』梅田芸術劇場メインホール公演のライブビューイングを拝見させていただきました。


 今日以外どうしても仕事が抜けられず、5月5日のみ抽選やカード先着に挑んではいたのですが、見事に撃沈してはライブビューイングオンリー観劇となった本作。


 先ほど終演したわけなのですが、他の日に有給をもぎ取ってでもこの公演のチケットをゲットしなかったことを本気で後悔しました。それほど、好みの脚本・好みのお芝居で、柚香さんと星風さんのトップコンビの作品で一番好きな作品になってしまいました。

 本当に、わがまま言ってでもお休みを1日もらったら良かったと思わせてくださるほど作品の質、そして花組の皆様ならびに専科より出演してくださった高翔さんと凛城さんのお芝居が本当に素晴らしかったです。涙が止まりませんでした。



 歌もダンスももちろんなのですが、個人的にはお芝居が上手いジェンヌさんにとにかくハマる傾向がありまして。だからなんというかもう今回の花組はお芝居のパワーが集結していて、キャスト全員丸ごと大好きの気持ちが止まりませんでした。それプラス大好きな朝葉ことのさんが今回も最高の娘役として輝いていて本当に嬉しかったです。羽立さんと合わせて本当に最高でした。



 さて、わたしは初演に上演された『二人だけの戦場』を拝見したことがなく、(スカステでの6月の放送が本当に楽しみです)初演と違う箇所があるのかも分からなかったのですが、柚香さん演じるシンクレアが上官殺害の罪による法廷のシーンから始まります。


 どうして上官を手にかけてしまったのか分からないまま2幕に突入するので、ミステリー小説好きの血も騒ぐ仕様と言いますか。そのあたりがきちんと2幕では語られ、なおかつ感情移入できる流れなのが見事です。


 そしてこの法廷シーンが挟まれる緊張感と、柚香さんシンクレアと星風さんライラの許されざる恋への葛藤とときめき、さらには柚香さんシンクレアと永久輝さんクリフォードの友情、そして少数民族独立運動が絡まりに絡まり、くすっとする場面もあれど、流れるように骨太の物語が進行して、あっという間にフィナーレになってしまいました。
 

 いやもう、本当、柚香さんの麗しい白軍服姿が拝見できるのが楽しみだな〜くらいのテンションで映画館に向かったので、こんなに登場人物たちの不安に寄り添いながら一緒に涙を流すとは思っておらず、1幕からすでにほっぺたが痒くなるほど泣きました。あとポスターとか公演解説では想像もできない明るい場面があるのも良かったです。


 柚香さんの呼吸が荒くなるシーンがあるのですが、本当に凄くてこっちもそれに合わせて呼吸が荒くなりそうでした。主演である柚香さんが繊細なほどに感情をしっかりと表現することによって、難しいところもある正塚先生の作品そのものが現代人の心に響く仕様になっていると言いますか、ストレートな物語だからこそ、柚香さんの演技が光ました。主演男優賞そのものでした。


 また、想像していたよりも柚香さんと星風さんふたりの場面が多かったのですが、ふたりの掛け合いがあんまりにナチュラルで、そして徐々に惹かれ合う表情が抜群で、『元禄バロックロック』にて、ふたりの恋模様に恋した気持ちを思い出しては、今回のふたりのやりとりにもまた苦しいほどに恋をしてしまいました。もうまぶしくて切なくて泣けて泣けて仕方なかったです。苦しさ含めて最高の最高の最高でした。


 星風さんは正塚先生の描くヒロインセリフが本当にしっくりきて、感情を体当たりで爆発してくださるからその感情が痛いほどダイレクトにこちら側にも伝わってきて、ボロボロ泣く姿につられるようにボロボロ泣きました。星風さんは本当に永遠のヒロインだし主演女優賞です。すごいです。


 そして永久輝さんも本当に良かったですよね。ちょっとしたコメディシーン含めて良かったのですが、特にもう柚香さんシンクレアのために裁判にて熱く弁護する永久輝さんの長台詞が最高でした。感情と緩急が伴うからこそ状況説明も分かりやすい熱弁のシーンはきっと今回の最大級の見せ場だと思うのですが、正義への訴えが本当に素晴らしかったです。


 あと、希波さんがしっかりとした三番手役を担っていて感動しました。花組公演『花より男子』で抜擢されてから注目の的だった希波さんの「まさにこれから!」と言ったときにコロナ禍が直撃してしまい、コロナによる影響を受けてしまった筆頭ジェンヌさんだと思うのですが、歌も芝居もダンスも見せ場がしっかりあって、特にライラとのリフトが凄く、これからの希波さんにとってかけがえのない作品になったのではないかと勝手に感動してしまいました。



 そして、花組に久し振りに帰還してくださった綺城さん。久しぶりの花組の舞台であり、スチールも発売されましたが、出番としては少なめでした。かなりの重要人物なのにこんなに出番が少ないのかと少し驚いてしまったのですが、シンクレアを目の敵にする裁判発起人の兵士をしっかりと演じ切ってくださり頼もしかったですし、これからの綺城さんの花組でのご活躍もとても楽しみです。



 『二人だけの戦場』はラストがまたもうたまらない仕様だったのですが、この時代に生きた人々の恋と友情を最後までこんなにもしっかりと丁寧に表現してくださってもう、素敵な余韻で心が満ち満ちました。本当に素晴らしかったです。


 人の感情を真摯に、そして丁寧に描いてくださる脚本、そしてその役を大切に生きる役者が揃えば、派手なナンバーであふれていなくたって人はこんなにもひとつの作品を心に焼き付けることができるのだと。そういうことが身に沁みるような良作に巡り会えて感謝の気持ちでいっぱいです。


 こんなにも素敵な作品を、柚香さんと星風さん率いる花組で上演してくださり本当にありがとうございました。花組の皆様、そして専科のお二方の生きたお芝居に誘われるように物語に引き込まれ、血の流れるような本気の、そしてなにより繊細な演技に心の底から感動してしまいました。


 もう本当に感情移入してしまい涙が止まらなかったのですが、 願わくば劇場に足を運んで端々の下級生たちのお芝居までも拝見したかった気持ちでいっぱいなのですが、劇場ではなくても画面越しでも大感動してしまった作品『二人だけの戦場』が、無事に大千秋楽まで完走出来ますことを、そしてひとりでもたくさんの人がこの重厚な物語の虜になりますことを心の底より願っています。


 それでは、花組『二人だけの戦場』チームの皆様、素敵な作品を、そして素敵な時間を本当に本当にありがとうございました。円盤発売日が、今からとってもとってもとっっっても楽しみです!


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