ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

複雑な理由。ベルサイユのばらという名前を使わせて頂くからこその話

 先日怒涛の演目発表があった宝塚。そして宝塚が久しぶりに『ベルサイユのばら』を再演することが決まって以降(否、決まる以前から)賛否両論あり、なかなか過激な発言も見られて、原作ファンであり宝塚ファンである人間としては、複雑な気持ちを抱えてしまいます。


 ので、個人的にな〜んで複雑な気持ちを抱いているのかをここに記させていただくのですが。



 まずわたしは、原作 『ベルサイユのばら』という作品が好きだからこそ、宝塚版『ベルサイユのばら』 が再演を重ねるごとに原作から乖離し、オスカル様が絶対に言わないだろう台詞を加筆し、そもそも原作にない意味の分からない場面をつなげていく有様に、原作へのリスペクトを感じなくなってしまい、再演に微妙な顔をしてしまうんですね。


 だって、宝塚版ベルばらを観劇かつ原作を読んだことがない方々にとっては、『ベルサイユのばら』 のすべては宝塚に直結するわけです。

 そこで、もしもベルばらについて 「古臭い、ダサい、面白くない」 というイメージが植えついたならば、それはその人にとって『ベルサイユのばら』というコンテンツへの主な評価になってしまいます。



 というのも、「『ベルサイユのばら』というコンテンツの評価が、宝塚の舞台で決まる層がいる」というのは、漫画が発売されてから年数の経ったベルばらだからこそ、大きくあり得る事態なんですね。

 だからこそ、舞台化や実写化にあたって、原作っていうのは本当に一番大切にしなくてはいけないものだと個人的には思っています。


 原作ヒットの一端を担ったのが宝塚の舞台化だからこそ、立場は強いのかもしれませんが、原作者様にとって我が子のように大切な作品をお借りするのですから、丁重に扱うべきに決まっているじゃないですか。それで、勘違いしてほしくない点といたしましては、「ベルサイユのばらの原作はめちゃくちゃ面白い」ということなんですよ。



 つまるところ、「宝塚でまたベルサイユのばらが上演されるのが嫌」 なのではなくて、「宝塚でまたベルサイユのばらを上演してくださること自体はとても素敵なことなのですが、どうか演出家の皆様たちには今一度ベルサイユのばらをじっくり読んで頂きその作品やキャラクターたちへの理解を今一度深めては再演を重ねて原点を見失いつつある作品に今こそ真摯に向き合っていただきたい」わけです。


 せっかく 50周年なのだからこそ、伝統という言葉だけで突き進まず、手間暇をかけてその伝統作品を改めて味わい、そのうえで宝塚の舞台で素敵に甦らせてほしいわけなのです。



 けれど実際、【 「それを実行してくれなさそう」 という無力感】が、再演に微妙な顔をしてしまう、つまりは手放しで喜べない点なのです。



 彩風さんのフェルゼン、 夢白さんのマリー・アントワネット、 朝美さんや和希さんのオスカル及びアンドレ。きっと今の雪組にはぴったりですし、その役になりきるジェンヌさんを見れることは本当に嬉しいです。わたしも観劇を楽しみにしています。 ですが、「原作に寄り添った舞台」 だと、 もっともっと心の底から嬉しいわけです。


 だって、「原作に寄り添っていると、もっともっともっっっとベルサイユのばらは見応えのある作品になっているはず」なんですね。


 わたしは幼き頃よりめちゃめちゃに宝塚版『ベルサイユのばら』に通っては、ビデオが擦り切れるほど観ていた人間なので、宝塚版『ベルサイユのばら』がどういうものか知っていますし耐性もあります。10年前のベルばら祭りでもそれはそれは観劇しまくりさせて頂きました。


 だからもちろん愛着もあります。ベルばらは宝塚の財産に間違いありませんし、ベルばらという財産を愛しているジェンヌさんたちもたくさんいらっしゃいます。そういうファンの方々もたくさんいらっしゃいます。


 だからこうしてケチをつけられる時点で面白くないと感じる方々もいらっしゃるとは思うのですが、宝塚を愛しているかつ、ベルサイユのばらの原作を愛しているからこそ、再演されるたびに原作とは別物になっていく流れが心苦しく、それゆえベルばらそのもののコンテンツが不評になっていくことも悲しくてたまりません。


 また、少しでも文句がある人は観るな、文句なく観たい人はたくさんいるんだ、と言われると、観に行く気まんまんの人間としては上記のような意見を言うことさえ勇気が必要でした。


 ですが、わたしはただ単に、「『ベルサイユのばら』を好きだからこそ、あの作品をもっと繊細に取り扱って欲しい」という願望があるだけなんです……。

 そして、宝塚のポテンシャルを知っているからこそ、ベルばらをもっともっと素敵に舞台化することができるのに、その可能性に伝統という言葉で蓋をされ、全ての意見や可能性を排除されてしまうと本当に複雑な気持ちでいっぱいになってしまうので、別にこの意見が何になるわけでもありませんが、紡いでおきたいと思い記させて頂きました。



 上記のような理由により再演に手放しでは喜べないですし複雑な気持ちを抱えているのも事実ですが雪組の皆様のビジュアルは大変楽しみですし、特別出演があるかもしれないことにソワソワもしてしまいますし、好きな場面だってもちろんあるので、少しでも脚本が変わるのかな〜とドキドキしながら観劇を楽しみにさせていただきたいと思います。



 以上。いろいろ記してしまい、申し訳ありませんでした。いろいろ記したのですが、雪組ベルばらのチケット、頑張ってゲットさせて頂けましたら幸いです。


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