ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

一禾さんの休演とご遺族のコメントについて

 本日、雪組公演『ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル』『FROZEN HOLIDAY』の休演者及び新人公演その他配役が発表されました。


 本来なら初日を迎えるはずだったこともあり、今日発表があったのかなと思います。


 その中で、一禾あおさんが宝塚大劇場東京宝塚劇場の全日程を休演されると発表がありました。

 わたしはひどく複雑な思いを抱えながらそのお知らせを目にした後、宙組所属の女性が急死した問題で、ご遺族の代理人弁護士が東京都内で会見したことを知りました。


 そして、ご遺族のコメントが発表されました。



 『【速報】「上級生から強烈なパワハラ」急死の宝塚歌劇団の団員(25)遺族がコメント 劇団は「捏造隠滅」とも 』(https://www.fnn.jp/articles/-/613746)にて、「遺族の訴え」 と題されたコメントの全文を拝読しました。

 心とからだが鉛のように重たくなりました。こんなに訴えないと劇団には何も伝わらないかと打ちひしがれる気持ちにもなりました。


  以下、「遺族の訴え」 と題されたコメントのいくつかを引用させていただきます。



 『宝塚歌劇団に入ったこと、何より、宙組に配属された事がこの結果を招いたのです。』


 亡くなられた事実に対し、強い訴えがありました。 「宙組に配属されたこと事が」という文言には、身内に他組の生徒さんがいるご家庭だからこそ、比較したくなくても強く感じていたことだったのかもしれません。


 また、①本来なら今年の夏に退団する予定だったこと。 ②しかしながら同期 2名が退団の意向だと知り、新人公演の長としての責任感から、来春に延期したこと。

 自分が辞めたら1人になってしまう同期の為、そして下級生の為に退団を延期していたことが語られていました。



 その後綴られた、『自分のことだけを考えなさいと強く言って辞めさせるべきでした。』 というご遺族の皆様の後悔の念が、 コメントを読んでいてとても苦しかったです。



 大劇場公演のお稽古が始まった8月半ば以降、新人公演の責任者としての膨大な仕事量により、 睡眠時間も取れなかったこと。


 また、『日に日に指導などという言葉は当てはまらない、強烈なパワハラを上級生から受けていた』


『劇団は、娘が何度も何度も真実を訴え、助けを求めたにもかかわらず、それを無視し捏造隠蔽を繰り返しました。』とのコメントに、読んでいるだけでも胸が張り裂けそうでした。


 どうしてそこで助けてあげられなかったのか。介入してあげられなかったのか。助けを求めても現状が何も変わらなかった彼女の心境を想像するだけで、胸が抉られるような気持ちになります。


『私たちは、声を上げる事も出来ず、ひたすら耐え、堪え、頑張り続けてきた娘に代わって、常軌を逸した長時間労働により、娘を極度の疲労状態におきながら、これを見て見ぬふりをしてきた劇団が、その責任を認め謝罪すること、そして指導などという言葉では言い逃れ出来ないパワハラを行った上級生が、その責任を認め謝罪することを求めます。』


 記事ではそう締めくくられていました。



 まずは、悲しみのどん底にいるご遺族の皆様が自ら動き出さなければならないほど、劇団はご遺族に対しての対応をおざなりにしていたのかと想像するだけで、心に氷を当てられたような気持ちになりました。


 彼女の訃報を受けて以来、劇団が今回の件にとことん向き合い、誠心誠意ご遺族に尽くしてくださることを心から願ってきました。 それがなされていなかったことに、今は言葉もありません。


 もちろん、事実関係や原因を把握するため、調査中の段階であるとしている現在、「何もわからなかったために動けなかった」と口にすることは容易でしょうが、そういう問題ではないように思います。



 人の命より大切なものはありません。だというのに、何を認めるのが怖いのでしょう。何を変えることが怖いのでしょう。伝統にあぐらをかいて、変えなければいけない習慣を変えないことの方が私にとってはとても怖いことだと思います。



 今回の件について、わたしたちファンに真実のすべてを語る必要などありません。ただ、きちんとご遺族に事実を伝えること、そして誠心誠意謝罪することは、人としてそして企業として至極当たり前のことだと思います。

 そして、そんな当たり前のことをしてもなお、彼女の尊い命は返ってきません。それがどういうことなのか、ご遺族にとってどれほどの苦しみなのか、どうして劇団側にそれが分からないのか理解できません。


 今回の取り返しのつかない悲しみについて有耶無耶にせず、彼女の失われた命ととことん向き合ってほしいです。その上で、二度とこんなことが起こらないよう対応してほしいです。それが、部外者であるいちファンとしてひたすらに望むことです。


 コメント全文、読んでいるだけで胸が張り裂けそうでした。この世で一番悲しいことが起き、悲しみにくれたまま動き出さなければいけなかったご遺族の皆様の気持ちを考えると、心が痛くてたまりません。


 部外者である私は誰をさばくこともありませんし、祈ることしか出来ませんが、今は何より、彼女のために声を上げたご遺族の皆様が、これ以上何かに傷つけられることがありませんよう、そして劇団から誠心誠意尽くされますことを心の底から願わせていただきたいと思います。



 そして、舞台に立つことが幸せだったと言ってくださったかけがえのない彼女に対して、改めて心よりご冥福をお祈りいたします。


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