ワッフルと宝塚のブログ

宝塚がある世界に乾杯

私たちにパワハラは判断出来ないけれどもの話


 ご遺族と劇団側の面談予定がおそらく日々近づいており、それは良い方向へ動くのかそれとも悪い方向へ動くのか、正直怖い今日この頃。


 パワハラはあった、パワハラはなかった、と。報道、世間、擁護派が好き勝手口にしますが、私たち外野が出来ることは、15のパワハラの有無を勝手に判断することでも、亡くなられた因果関係を証明することでもないと痛感する毎日です。


 ただ、15のハラスメントが実際にあったのかなかったのかは判断出来なくても、宝塚歌劇団という閉ざされた世界は独自のルールを用いており、そういう世界はハラスメントを生みだしやすい環境である、ということだけは理解しなければならないですし、だからこそ、今の宝塚に「ハラスメント教育」というのは必要不可欠だと思います。



 芸事に関して、愛ある指導って言葉はよく用いられがちですが、「何がハラスメントであるのか」「どこから指導というものがはみ出てハラスメントになるのか」。


 こういう認識を示したり、線引きをしてあげないと、何も解決しないですし何も改善できないですし、なんなら同じ不幸は繰り返されると思いますし、これから先の未来も、ハラスメント問題で公演が中止になることはザラにあると思います。


 だけど、そんな不幸、誰も望んでなんていません。


 ハラスメント問題が浮上している今だからこそ、見直すべき箇所がたくさん浮き出ていて、まず劇団は第三者協力のもと、「こういうことがハラスメントです」と、きちんと定義しておかなければいけません。(そうでないとこの状況で指導する側もされる側もやりにくいですしね……)


 「何がハラスメントであるのか」「どこから指導というものがはみ出てハラスメントになるのか」。そういうものを劇団に所属するすべての人に教える機会を設けて、「この伝統は変えるべき」と取捨選択する必要があると思います。


 今まで、伝統という名で許されてきたことがあるかもしれない。それは当たり前の日常だったかもしれない。けれど、こういうことはハラスメントだ、と。それを提示して見直していかなければ、きっと同じ不幸の繰り返しです。



 また、「時代が変わった」「昔なら許されたが今は許されない」。そういうフレーズをよく耳にしますが、本当は、昔だからって、許されるべきではなかったことはたくさんありました。


 昔も本当は許されていなかった。だけど、「『これは許されてはいけないことだ』と分からない人が多かった」というのが正しいと言いますか。


 周りの理解が得られなかった。だから、許されていることにされていた。それが時代とともに、声をあげる環境が整ったり個人が主張できる媒体が増えたことによって、「これは許されないことだったのだ」とか。「これは間違っていたのだ」とか。外からの指摘や刺激で自分に降りかかっていた理不尽に気づくことが出来るようになったんですよね。


 そうやって、それぞれの会社や学校でひとりひとりの意識が変わりはじめて、生きやすい時代へと、社会が動き始めて今に至ります。(今はそれが行き過ぎて、ある種生きづらい時代にもなってきているわけですが、話が逸れるのでここでは割愛します)



 話を戻しますが、宝塚歌劇団は閉ざされた世界だからこそ、そういう意識に触れる機会は一般企業よりも少ないと思います。


 それに少なくとも、宝塚に入団(入学)するのは宝塚の世界を愛する少女たちです。青春かけて足を踏み入れた場所で直面する現実に「違和感やおかしさ」を感じても、「宝塚を好きだからこそ、今まで繋がれてきた伝統を自ら批判することはとても難しいこと」だったと思います。


 ただ、宙組生が意見書を提出した事実からも分かるように、きっと、変えるべきところはいくつかあって、でもそれを伝統という一言で蓋をしてしまっては、「これは変えるべきだ」とたくさんの人が気づいて違和感を持っていても、これから先も変えることが出来なくなってしまうんてすよね。


 でもそれじゃ、やっぱり不幸は繰り返されると思いますし、理不尽は蔓延していくと思います。


 今回の件に関して部外者である私が15のパワハラを判断するつもりはありませんし、この伝統を変えるべきだとか偉そうに言うつもりもありません。ただ、いちファンとして、変わるべきところがあるなら今変わっていってほしい。そういうことだけは戒めのためにも記していきたいと思います。



 最後に。生徒さんやスタッフの皆様が、理不尽が蔓延していない職場環境で、自分のメイン仕事にだけ没頭できること。ひたすらそんなことを願っているのですが、人と人が関わる以上、いくら組織や環境が整えど、問題が起きることはもちろんあります。


 ですがその土壌を、環境を、まずは整えなければいけないですし、そのためには生徒さんひとりひとりの意識も重要になってくると思いますので、正しい研修等、そういう取り組みが実施されますことを心の底より願っています。



 過激な批判も過激な擁護もしませんが、大好きな生徒さんの命がひとり失われたことはどうしたって辛く、こんなことがもう二度と起きないよう、因果関係は分からないからこそ、劇団にはしっかりご遺族の皆様と向き合ってほしいと改めて祈っています。


にほんブログ村 演劇・ダンスブログ 宝塚歌劇団へ
にほんブログ村